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『東京公園』を歩く                           第1回 公園巡り

春馬くんのこれまでの旅路とこれからの長い旅を応援していこう
まだ会っていない人が春馬くんと出会えるよう

世の中が春馬くんを忘れてしまわぬよう
そのきっかけとなれるように祈りを込めて

3年経った今年7月にこんな考えで始めたnoteへの投稿。
わたしのようにほぼ 100%知らなかった人間をも夢中にさせる春馬くんの魅力をなんとしても後の世に残したい! なんておこがましいけど、ネットの世界ならそれができるかもしれない。『アキハバラ @ DEEP』のページくんだって「ユイさんに、ネットの海で永遠に生きてもらおうよ」って言ってるじゃないか。
それには作品について語っていくのが一番。
とにかく観てほしい、感じてほしい —— まずはそこから始めよう。
多くの人に春馬くん作品が届きますように。

/おもいっきりネタバレします。ご注意ください/
/基本的に敬称略。“春馬くん”だけ例外/

〈初出について〉 
今回の記事『東京公園』を歩く(第1回~第4回)は、ムギコさんのブログ「大切なことはすべて春馬くんが教えてくれる」に全6回寄稿し掲載されたものを少し加筆訂正、全4回に改編したものです。
掲載は 2021年12月8日~2022年2月11日。掲載時の署名は@マンゴ。なお現在、同ブログの当該ページは通常非公開となっています。ご承知ください。
ブログURL:http://haruma-miura.blog.jp

春馬くんとの出会いは…👇


『東京公園』が好きだ。
あの穏やかな雰囲気に浸りたくて、光司のじんわり染みる声を聞きたくて、何度も何度も観ている。けれど解けない謎がある。
原作の小説も読みメイキング映像も見た。それでもわからないことがある。
謎や疑問があっても好きになったのだから解明されなくても一向にかまわない。けれど、一度湧き上がってしまったものにはきちんと向き合いたい。これは単なる私の好奇心。
セリフが少なくてナレーションや文字による説明もない——
こういう映画は「観た人が思ったように解釈すればいい」とよく言われる。
でも言葉による情報が少ない分、つくる側は細かいところに言いたいことを詰め込んでいるのではないか、見つけてくれるのをドキドキしながら待っているのではないか。
それを探したくて今日もせっせと深掘りする。
でも掘っているだけでは疲れるので、掘り出したものを少しずつ外に放とうと思う。

まずは準備運動から。
光司の行った公園を廻ってみることにしよう。公園はこの映画の重要な要素。青山監督が「出演者の名前と並べてクレジットに入れたいくらい」というほど大きな役割を担っている。女性を尾行し写真を撮ってほしいとの依頼を受けた光司は、指示された東京の公園を次々と巡ることになる。
最初に女性を撮影した公園から、最後に初島さんが奥さんをまっすぐ見つめる公園まで全部で10か所。
ありそうでなかった『東京公園』巡りガイド。
ツアーガイドは@マンゴが担当いたします。それでは出発!

公園巡り一日目
① 代々木公園(渋谷区代々木) 
光司がベビーカーを押す女性を見かけ、初めて写真を撮った公園。
なにかに魅かれ、望遠レンズで何度もシャッターを切る。それを見知らぬ男性にとがめられて話が始まる。
 ♬落ち葉を踏む音、鳥の声、風の音♪
後日、その男性に呼び出され尾行の依頼をされたのもここ。テーブル後方に黄葉した木と白樺らしき同じ木が映っているのが見える。きっと「明日○○時にこの前の公園の同じテーブルで」との電話だったのだろう。
〈公園情報〉元は陸軍代々木練兵場。戦後、米軍宿舎ワシントンハイツとなり、東京オリンピック選手村を経て1967年に開園。都心にありながら樹木が多く、芝生でのんびりできる広大な公園。原宿、渋谷に近く、ランニングする外国人の姿も多い。

② 潮風公園(品川区東八潮) 
「潮風公園、よろしく」と初島さんから初めてメールで指示されて行った公園。カメラを向けると海を見ていた女性がこちらを向き、慌ててカメラを隠す挙動不審な光司。空に目をやる女性につられて光司も青空を見上げる。
 ♬波と風の音♪
撮影場所は海沿いの噴水広場付近らしい。階段に座って女性をねらう光司だが、隠れるものがなにもなくてちょっと大胆。光司が見上げた先にある赤白のタワーは、隣りにある船の科学館の展望塔。
〈公園情報〉東京湾お台場にある1974年開園の公園。停泊するコンテナ船など港の景色を楽しめる。現在(*)はオリンピック会場撤去工事などで一部閉鎖中。噴水広場のある南側エリアは、12月1日から利用できるようになった。(*2021年12月初出当時。現在はこの件による閉鎖は解除)

③ 猿江恩賜公園(江東区住吉) 
初島さんへのメールを打ちながら歩いていると女性が前から来てしまい、慌てて電話するふりをしてすれちがう光司。
「いやー、あぶないところでした」とひとりごと。
 ♬遊んでいる子どもの声、ウォーキングする女性たちのおしゃべり♪
光司が最初に一眼レフカメラのシャッターを切ったのは三角頭の時計塔のある中央広場。その後、デジタルカメラで女性を撮ったのはその周辺の並木道だろう。
「今日は猿江恩賜公園というところに行ってみます。お仕事がんばってね」
百合香という人からのメールを見て初島さんが「猿江恩賜公園よろしく」と光司にメールする。これで観ている人はあの女性が初島さんの奥さんだとわかるが、光司にはわからない。
〈公園情報〉元は江戸時代から続く猿江貯木場。東京市に下賜された部分が日本庭園のある南園として1932年開園。1972年に貯木場が廃止されると北側の跡地を東京都が買収して1983年に全面開園。

④ 上野恩賜公園(台東区上野公園) 
広場の真ん中で「広ーい。広すぎる」とつぶやく光司。「やっぱり動物園かなー」と行ってみるが見当たらない。「いそっぷばし」を渡り「こどもどうぶつえん」でやっと2人を見つける。
 ♬動物の鳴き声 パオーン、メエェー♪ 
橋を渡るとき光司は一眼レフカメラを首から下げている。ゾウさんやサルを見る子どもたちの笑顔でも撮っていたのだろうか。
最初に映るのは上野公園の象徴、西郷どんの銅像。連れている犬の名は「ツン」だって。
〈公園情報〉1873年に開園した日本最初の都市公園のひとつ。美術館、博物館、図書館、音楽ホール、動物園など多数の文化芸術施設を有する東京の文化の中心地。巨大なので待ち合わせするときは要注意。

⑤ 城北中央公園(練馬区氷川台)
光司は大きな木にもたれかかりながら女性にカメラを向ける。木と同化しているつもりなのだろうか。
 ♬落ち葉を踏む音、子どもたちの声♪
光司がじっと見ている朽ちかけた屋根は、公園内の栗原遺跡に復元された奈良時代の萱葺き住居。右手には縄文土器の絵のある看板が立っている。
〈公園情報〉戦時中、防空緑地だった場所。石神井川沿いの起伏に富んだ地形で、園内には旧石器時代から平安時代にわたる複合遺跡の栗原遺跡と旧石器時代の茂呂遺跡がある。1957年上板橋緑地として開園し、1970年に現名称に変更された。
                🍂

5か所も公園を廻って疲れたので今日はここまで。
帰ってきた光司も富永と二人でおでんを食べ、コタツでまったりと過ごしているようです。

はみだし公園情報】 赤松公園(世田谷区赤堤)
バー屋上でのパーティー後、美咲と光司が話しながら歩く場所は世田谷区立赤松公園。東急世田谷線松原駅からすぐの住宅地にあり、世田谷線のかわいらしい車両がすぐ横を走るのが見える。
かなり古くから映画やドラマに使われていてロケ地として有名。

         
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公園巡り二日目
疲れは取れましたか。それでは二日目、スタートします。
「誰か探したほうが幸せなんだろうなあ」
「おい。俺はいつまでここにいるんだ?」
みんな迷ってぐるぐるしている。
美咲もヒロも、そして光司もまた公園を巡る。

⑥ 光が丘公園(練馬区光が丘)
リンゴをかじりながら撮影チャンスを待つ光司。寝ころんで空にカメラを向け、そのまま体を返してうつぶせになる。カメラの先には子どもにお弁当を食べさせる女性。かなり離れているのに女性がこちらに顔を向け微笑んだように見える。
 ♬子どもたちの声、楽器の音♪
驚いた光司の豆鉄砲食らった鳩のような目。怪しまれないように考えた作戦だったのだが…。
見事に黄葉したイチョウ並木を歩く女性を見送ると美咲から電話がきた。
〈公園情報〉元は陸軍成増飛行場。戦後はグラントハイツとして米軍の管理下におかれた。その後返還されて1981年開園。緩やかな丘をなす広大な芝生地やバードサンクチュアリなどがある。

⑦ 石神井公園(練馬区石神井台)
母親が入院したとの連絡を受けて、両親の住む伊豆大島へ夜行船で向かった姉弟。
光司は「石神井公園。よろしく」とのメールを病院で受け取る。「やっぱりきたかあ…」
〈公園情報〉三宝寺池と石神井池、2つの池を中心とした起伏に富み武蔵野の自然がよく残された公園。1959年開園。

⑧ 善福寺公園(杉並区善福寺)
伊豆大島にいるので、光司は今日も指示された公園に行くことができない。昨日、初島さんに返信しなかったのだろうか。
〈公園情報〉武蔵野三大湧水池のひとつだった善福寺池を中心とした公園。池は公園全体の47%を占め、野鳥の聖地としても有名。1961年開園。

はみだし公園情報】 伊豆大島(東京都大島町) 
ほぼ全島が公園の伊豆大島。伊豆七島国定公園だったものが1964年に富士箱根伊豆国立公園に編入された。筆島を含む 97% が国立公園に指定されている。2010年には、地球科学的な価値を持つ遺産として日本ジオパークにも認定。三原山をはじめダイナミックな自然が魅力。
春馬くんのクランクアップはここで。監督から「大島お疲れセット」を贈られている。軽そうに見えるけれど何が入ってたのかな? 

⑨ 野川公園(調布-三鷹-小金井市)
 ♬風の音、カラスの鳴き声♪ 
林の中でデジタルカメラを手にする光司。
女性に近づき、前から横から自由に何度も一眼レフカメラのシャッターを切る。にこやかな笑みで応える女性。
 ♬シャッターの音♪ 
突然、富永に肩を叩かれて光司は我に返る。 
〈公園情報〉前身は国際基督教大学(ICU)のゴルフ場で、国分寺崖線に接した野趣あふれるエリアを含む広い公園。1980年開園。

「あんたが行かなかった公園どこだっけ?」「石神井公園と善福寺公園」
公園の場所を順に地図でたどり ‟渦巻き” を読み取った富永。
「で、意味は?」「ただのゲームだよ」「えーっ、ゲーム~?」

⑩ 野川公園(調布-三鷹-小金井市)
美咲をまっすぐ見つめてけじめをつけた光司は、その夜「やめたいと思います」と初島さんにメールを送る。
翌日、診療を放り出して公園に行く初島さん。
「同じ公園に2回続けて来ることは今までなかった。おかしいじゃないか」
疑惑が膨らんで酒を飲まずにはいられない。
奥さんの行動はこうなっていると宙に渦巻きを描いてみせる光司。初島さんがなぜか笑い出す。
「なんですか。あれ? 夫婦の秘密ですか」「いやなんでもない。アンモナイトだよ」
アンモナイトは2人の出会いのきっかけ。2回続けて同じ公園に来たのはここで終わりという意味と初島さんは解釈した。
光司に渡されたカメラで百合香さんをまっすぐ見つめて写真を撮る。カメラを受け取って百合香さんが初島さんを撮る。まっすぐ見つめ合った2人。「帰ろう」。空が青い。

実は⑨と⑩は本編中にヒントがなく、どこの公園だか判断できない。メイキング映像を見ると、服装から⑨⑩ともに百合香さんの最終撮影場所の野川公園のようだ。ということは2回続けて来ているという公園がこの野川公園なのだろう。
                🍁

ようやく10か所全部を廻り終えました。
では地図上で順にたどってみますよ。
代々木公園(渋谷区代々木)➡ 潮風公園(品川区東八潮)➡ 猿江恩賜公園(江東区住吉)➡ 上野恩賜公園(台東区上野公園)➡ 城北中央公園(練馬区氷川台)➡ 光が丘公園(練馬区光が丘)➡ 石神井公園(練馬区石神井台)➡ 善福寺公園(杉並区善福寺)➡ 野川公園(調布ー三鷹ー小金井市)➡ 野川公園

どうでしたか?
光司が初島さんにして見せたようにぐるぐると何重にもとはならないけれど、たっぷりひと回りしました。小さなアンモナイト1個ってところかな。さてだれにプレゼントしましょうか。

と、ここですごいものを発見。
東京23区には総務省の決めた順番があって、それは千代田区から始まり「渦巻き状」になっているというのだ!
幕府が江戸の町を造る際、江戸城(千代田城)を中心にして監視の目が届きやすいように「の」の字状に開発して、その順が今も引き継がれているという。23区になる前、明治時代の15区(旧東京市)は顕著な渦巻き型を示している。その後加わった周辺部は順序が少し迷走してきれいな渦になっていない箇所があるが、大まかには最後の江戸川区までぐるりと回っている。
23区の順序と公園巡りの順番に関係はないけれど、ウンチク好き春馬くんなら面白がってくれるだろう。
え、知ってたって?
フランス・パリの区部もエスカルゴ状に順番が決められているそうだ。
なにかすてきなエピソードでもあるのかと思ったけど、まったくそうではなかった…。
           🍁     🍁     🍁                    

もう日が沈みます。
ガサゴソ落ち葉を踏みながら、そろそろ家に帰りましょうか。
                        〈第2回につづく〉

作品情報
東京公園/TOKYO KOUEN
2010年製作/119分/日本
第64回スイスロカルノ国際映画祭金豹賞審査員特別賞(準グランプリ)受賞
第85回キネマ旬報ベスト・テン第7位
劇場公開日:2011年6月18日(土) 
配給:ショウゲート
原作:小路幸也『東京公園』(2006年10月 新潮社刊)
脚本:青山真治、内田雅章、合田典彦
監督:青山真治

この頃の春馬くん🐴】
2010年4月5日:20歳誕生日
9月25日:『君に届け』劇場公開
10~11月:『東京公園』撮影
2011年1月17日:ドラマ『大切なことはすべて君が教えてくれた』第1回放送
6月18日:『東京公園』劇場公開
7月21日:ドラマ『陽はまた昇る』第1回放送

@マンゴの“ちょいと深掘り”-三浦春馬出演作品を観る③
『東京公園』を歩く 第1回 公園巡り
© 2023 harumanis@mango/© 2021@マンゴ

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