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拝んでいたら壁から推しが出てきたので共に暮らします!第三話
第三話
選手たちがはけ、閉会式に向けて整備が行われているグラウンドを見ながら、高瀬くんが強い声で言う。
「ねえ、松崎さん」
「ん?」
「俺も必ずここに来て、あの土を踏む。チームメイトと一緒に。そして、優勝する」
強い風が吹いた。高瀬くんの前髪が揺れる。視線は前を向いていてとても力強い。
先ほどまで年下の男の子だったのに、その姿は自分よりずっと大人に見えた。現実でも、高校球児が年下に思えな
拝んでいたら壁から推しが出てきたので共に暮らします!第二話
第二話
四月になってもこの超常現象の解決策は浮かばなかった。というより、考えている時間が少なかった。
高瀬くんがあまりに自然だからか、それとも暮らすことで精一杯だったのか、なんとかしなきゃと思う反面、どこか必死じゃなかったのかもしれない。
(帰す方法なんて分からないしな……)
私がそのような中だるみをしていたある日、午前零時頃。高瀬くんが先に寝てて、とキッチンで水を汲みながら言った。