北海道コンサドーレ札幌U-18 キャプテン・坂本勘汰が見据える目標「もう一度、コンサドーレに戻ってサッカーがしたい」
プリンスリーグ2024北海道、第13節で北海道コンサドーレ札幌U-18が旭川実業高校を2-1で下し、札幌U-18は最終節を残し、2021年以来となるプリンス北海道の優勝を決めた。
今年度より、プレミアリーグ 2024 プレーオフにおける北海道の出場枠が2→1に減少されたこと(プリンス北海道の優勝チームのみに出場権)や旭川実業がプリンス北海道に戻ったことも相まり、熾烈な戦いになることが予想されたが、札幌U-18が夏の中断明けから、5連勝を飾り、プレミア参入戦の切符を勝ち取った形だ。
北海道コンサドーレ札幌U-18 VS 旭川実業
個人的に、札幌U-18の試合を生で見るのは7月のクラブユース以来、約2ヶ月ぶりとなったのだが、間が空いたからこそ、その幾つかの変化に目がいった。ポイントを3つ触れたい。
まずは、今シーズンの前半戦、トップチームに倣い、取り組んでいた、3-4-2-1から4-4-2(攻撃時は4-3-3へ可変)に変わっていたこと。
シーズン当初は、オールコート気味にかけていたプレスのスタートラインもググッと下がり、チームとして、バランスを意識した戦い方になっている。
その狙いを森下監督が説明してくれた。
キャプテンの坂本勘汰(3年)も手応えを口にする。
2つ目の変化が、ボランチをメインにしていた菅谷脩人(3年)がCBの一角を担うようになったことだ。札幌がボールを保持するゲーム展開においては、その強みは札幌の攻撃の拠り所となってきそうだ。
3つ目が、夏までAチームに絡むことが少なかったメンバーが台頭し出していること。その代表格が、この日も前線で攻撃のリズムを作っていた加藤竜之介(2年)だ。
8月の青森遠征で存在感を示したという加藤は、前線と中盤を繋ぐリンクマンとして、連勝中のチームにおいて、攻撃の重要なピースになり始めている。森下監督もその台頭ぶりを高く評価し、加藤自身も充実の表情で語る。
また、この日の2点目を挙げたのが、1週間前にAチームに加わったという牧野岳(2年)。後半25分に途中出場すると、直後のファーストタッチでの得点となった。
今後、彼らのような存在が、チーム力の底上げにおいて非常に重要になってくるはずだ。まだまだ多くの選手の活躍を期待したいところだ。
今年度のトップ昇格は無しの方向
下級生の台頭も望む一方、プレーオフで勝ち抜く為には3年生の活躍が必要不可欠だ。
特に彼らの年代は、課題よりも強みを重視するというスカウティング方針の下、選出された面々だけに、一芸に秀でた選手が揃っている。
本当に潰揃いの個性豊かな学年だが、今年度、札幌U-18からのトップ昇格は見送られる方針となった。
特にルヴァンカップでも出場機会を得るなど、アピールを続けた坂本勘汰は守備面の対人能力は高く評価されていたが、大学経由がベターとの判断に。
坂本は悔しさを覗かせる一方で、進学予定の関東1部リーグの強豪大学で更なる成長を誓う。そして、再び札幌に戻ってくることが目標だと語る。
今年の試合を見ていても、この年代において1対1でやられるような場面はほぼない。そのストロングを磨きながら、攻撃での貢献度も高める事が出来たなら、きっと道は拓けるはずだ。
また、同大学には札幌アカデミーのOBも在籍しており、早くも多岐に渡り、相談に乗ってくれているという。
ちなみに今の札幌のトップの状況をどう見ているか?と坂本に問うと、クラブの力を信じてやまないようだ。
札幌帰還を目論むのは坂本だけではない。関西の強豪大学に進学予定の菅谷脩人が「大学で成長して、札幌に戻ってきたい」と語れば、関東の大学に進学予定の竹内琉真も「プロにいくことが大前提ですけど、ここに戻れるのがベスト」と口を揃える。
彼らがこういった考えになっているのは、きっとこれまでアカデミーで接してきた方々の想いが伝わっているのだろう。
そんな彼らが札幌U-18でやり残すミッションは後一つ。
2015年の降格から、長らく立ち塞がり続ける、10年ぶりとなるプレミア復帰だ。昨年の参入戦もフル出場した、キャプテンの坂本は力強く言い切る。
現状、代表活動で負傷してしまった川崎幹大を始め、離脱中の選手も少なくないが、大一番までには揃って復帰できる見込みだ。
現3年は、しまふく寮に暮らす選手が非常に多い世代で、文字通り、寝食を共に過ごす時間も長く、オフもチームメートと一緒に過ごすことが大半だという。
そんな彼らの結束力が、最後に結ぶことを願ってやまない。
高円宮杯 JFA U-18サッカープレミアリーグ 2024 プレーオフは1回戦が12月6日(金)、2回戦が12月8日(日)に開催予定だ。
12月8日はJリーグの最終節と同日に当たる。
トップはJ1残留、ユースはプレミア昇格。
Wの歓喜を達成できたら、札幌にとって歴史的な1日になり、クラブが更なる飛躍を遂げる転換期となる予感もする。
コンサドーレはJ1とプレミアにいなければならないクラブのはずだ。