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見知らぬ、天井|扁桃摘出手術日記①

手術までの経緯

去年急性扁桃炎を発症してから、多い時は月に一回ずつ喉に膿ができるようになった。
発熱はないものの、扁桃を摘出しないとこのまま繰り返すことがわかり、手術を決断。
八日間の入院の様子と退院後の生活を、日記として記録していこうと思う。
最終的には同じ手術を受ける方に向けて、まとめ記事も書けたら。


入院一日目

いよいよ入院当日。昨日はなんだかハイになって珍しく0時くらいまで起きていた。準備は予めできていたので、追加のものだけ詰めて洗濯物を干す。夫は隣の部屋で在宅ワーク。私はリラックスするため、『家、ついて行ってイイですか?』をボーっと観ていた。昼前にシャワーを済ませ、昼ご飯に生姜焼き弁当を食べる。ついでにナスの味噌汁も食べた。時間になったのでバスで病院に向かう。バス停にいる間が日差しがじりじりと暑かったが、夏真っ盛りではないのが救い。
病院は空いていたが、手続きには時間がかかり、病室に入るまで約1時間半要した。夫が同行していたが兄妹に見えるのか「…ご家族ですか?」と言われることが何回かあったのが、なんか面白かった。待ち時間は夫と話したり彼から借りているタブレットで電子書籍を読んで過ごした。
病室はまさかの大部屋。一人部屋が一つしかないらしく埋まっているらしい。それでも私のベッドは窓側で、景色がとても良かった。

青空と山並みがきれい

夫が「今お金使うと、入院生活で大変だから」と、水やジュースを買ってくれた(優しい)。
彼が帰り、無事に病室に着いたことを母にLINEする。すると家族LINEでも話すように促され、LINE祭りに。実家は自営業なのでいつでも連絡が取れる故に、即レスの人しかいないのだ。しばらくしてからタブレットで『カルト宗教信じてました。』を読了。Prime readingで無料で読めるが、カルト宗教の実情を漫画で理解することのできる貴重な資料だと思った。
夕方、少し時間があったので売店を物色。看護婦さんに男女で入浴日が分かれていること、手術で暫く入浴できないことを聞いていたので、拭くタイプのドライシャンプーを購入。ベッドに戻り片付けをしていると、あっという間に夜ご飯の時間。病院食、みんな口を揃えて美味しくないと言っていたからどんなものかと思ったら、普通に美味しくて驚いた。

左上にブドウのゼリー、右上にほうじ茶まで付いてた

窓の外を見ると、ちょうど辺りが暗くなっていく時間帯だった。どこからか鈴虫の声が聞こえる中黙々と食事をしていると、すごく正しいことをしている気持ちになった。一人で食事すると手持ち無沙汰でつい何か見たりしてしまうが、こういう静けさはいいものだなと思った。21時から禁食になってしまうため、食後はまた売店でお菓子を探すことに。ミニスナック菓子が50円(安い)で買えた。ベッドで『家、ついて行ってイイですか?』を観てからのんびり就寝。しかし、その後腹痛で目が覚めた。多分お菓子を食べたせい。

入院二日目(手術日)

手術当日。7時間くらい寝れた。病院ボロボロだしプライバシーもないけど、半日くらいで慣れたしなんなら過ごしやすい。点滴を打ってもらったり事前準備のため、入れ替わり立ち替わり看護婦さんがやって来る。ぬいぐるみとベッドにいたら、「何それ!犬?」と驚かれた。明るい人が多くてちょっとした会話に元気出る。

背中のクッションにもなってくれる優秀さ

手術の同行を担当してくれる看護婦さんが小動物的可愛さがあり癒された。夫もかけつけてくれて、みんなで手術室へ向かう。緊張しながら手術室に入ったところで夫に手を振る。姿が見えなくなるまで手を振ってくれたところに優しさを感じた。
いざベッドに横たわり、手術のメンバー紹介(?)が始まる。外来で診てくれていた先生がおり、安心できた。麻酔医の先生に麻酔を打たれ、手をさすられる。これで眠れなかったらめちゃくちゃ気まずいな…と思っていたらいつの間にか眠っていた。夫が夢に出てきて幸福な気持ちで目が覚める。「これが取った扁桃ですよ〜」とふたつの瓶に入ったレバーみたいな肉の塊を確認する。その後も何度か眠ってしまって先生たちに起こされながら部屋を後にする。廊下に夫がおり、手を伸ばしてくれたので無意識にギュッと握り返した。
元の病室に運んでもらうと、だいぶ目も覚めてきて看護婦さんがスマホを渡してくれた。「旦那さん、優しそうな人ですね。ほっこりしました。」と言われて嬉しい気持ちに。とりあえず生存報告…と思って夫と母に自撮りとメッセージを送る。即レスの母から早速返信があり、家族LINEにも私の写真が転送された。父と兄は騒がしく、距離を置きたかったからあまり連絡したくないのになぁと思う。明日、母が病院に来てくれることになったので「一人で来て欲しい」と頼むも、それについては返事がなかった。もう家族に対して自分で出来ることはやり切ったなと思い、夫から母に話してもらうことにした。今までもなんとか夫の手を借りようと思ったが遠慮していた。でも今日、手術時に夫に支えられて「私の家族はこの人だ」って思たから、助けてもらいたくなった。
ベッドで5時間横になっていなければならなかったので、星野源ANNや映画のサントラなどを聴いて気持ちを落ち着かせる。トイレにも行けないので、桶みたいなものをお尻の下に敷いて用を足した。なかなか難しかったけど、無事にできた。動いていい時間になってから、看護婦さんが一緒に歩く練習をすることに。立ち上がるとフラフラしてしまい、無理しない方がいいとのことで時間をあけてリベンジ。やがて歩行もできるようになり部屋に戻ると、先生と夫が同じタイミングで来てくれた。夫はシマエナガのぬいぐるみを連れて来てくれた模様。こういう気遣いが嬉しい。イラストを交えながら筆談で話すと、夫がそのメモを気に入ったのか写真を記念に撮ってくれた。また日曜日に来てくれるのを楽しみに乗り切るぞ。
面会が終わった後は吉本ばななの『幸せへのセンサー』を読了。夜ご飯もないので夕方からは気になっていた映画『スパイの妻』を観た。蒼井優と高橋一生の組み合わせは『ロマンスドール』を思い出させるし、昔ながらの世界観が好みだった。しかし手術日にこんなに作品を観たり、のんびりできると思わなかった。21時半に就寝。

入院時あって良かったもの

  • タブレット
    ダウンロードすればWi-Fiなしでも作品が楽しめる

  • ウェットシート
    食事前後など意外とすぐ手を洗いに行けない

  • ドライシャンプー
    入院期間中一回しかシャワーを浴びるチャンスがない

  • ぬいぐるみ
    癒しにもクッションにもなるし、意外と恥ずかしくない

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