これから扁桃摘出手術を受ける人へ
先日、扁桃摘出手術のために人生初めての手術・入院をした。
多くの病院では毎年症例数が100を超えるらしいが、それに比べて体験談が少ないように感じた。
私自身、手術前はリスクについての不安、術後は痛みや出血に対する不安に苛まれていたため、この体験談がこれから手術を受ける人に少しでも参考になれば良いなと思う。
入院日程・費用
いつ手術を受けたらいいか
まず、手術を行うのが喉であることから縫うことができず、かさぶたができて剥がれる経過をじっと待たなければならない。そのため、病院にもよるが一週間以上の入院期間と回復までの自宅療養期間が必要になる。また、その前後二週間くらいのうちに術前検査と術後検査の日も一日ずつ設けなければならない。長期休みを被せるか、社会人の方はできるだけ日程の融通がきく職場に所属している時に受けたほうがいいだろう。
さらにデリケートな状態の喉に大敵なのが乾燥や花粉症である。もし手術の時期が選べるのであれば花粉症が落ち着き、湿度もある程度の高さに保たれている6〜10月頃がおすすめである。
仕事復帰・回復までの日数
当初の予定では8日間の入院後、2日間の在宅勤務を経て職場に通う予定だった。しかし実際は在宅勤務初日に術後出血してしまった上に、想像以上に痛みが長引いたため、大事をとって退院後二週間近く自宅療養してから職場復帰することにした。
とは言うものの、一週間ほど経てば買い物や家事など日常的な生活も行えるようにはなったので、体がある程度丈夫な人なら退院一週間後の復帰を考えてもいいだろう。
入院にかかった費用
私は自分の住んでいる市の市立病院に入院したことや、追加料金なしの大部屋で過ごしたこと、高額医療制度に同意したことによって費用が6.5万円に抑えることができた。歯ブラシやパジャマ、食事に利用するスプーンなどのアメニティセットを含めてもこの値段である。
盲点であったのは、Wi-Fiが使えないことと冷蔵庫やコンセントの使用が有料であったことだ。Wi-Fi対策ではタブレットに事前に見たい作品をダウンロードしておくことや、読書用の本を持参し電子機器を使用しない時間も作るようにすることなどを実践した。結果9ギガほどの使用で抑えられたため、少し工夫すればポケットWi-Fi購入やサブスクプランのグレードアップは必要ないと感じた。冷蔵庫やコンセントは、1000円のテレビカードから24時間あたりの電気代がマイナスされる仕組みになっていた。ちょうど8日間の入院期間で合わせて1000円分の利用となった。
また、入院日の朝に自宅でシャワーを浴びてから4日近くシャワーを浴びれないことを知らなかったので、入院してから病院内の売店でドライシャンプーを購入した。
痛みと食事について
痛みの経過
手術を受ける上で特に心配なのが、どれくらいの痛みを伴うのかということだろう。手術自体は全身麻酔で行われるため、もちろん痛みはない。あくまでも個人の体験談ではあるが、痛みが出てくるのは手術の翌日だ。術後3日目くらいまでは扁桃炎にかかっていた側からすると、想像より全然痛くなかった。しかし術後4日目くらいから左側だけかさぶたが早めに剥がれてしまい、朝起きた時と食事時に刺すような痛みが襲ってきた。これもまた痛み止めを増やしたり、深夜に飛び起きる程度の痛みではなかった。
本当のピークがやってきたのは大体術後5日目〜7日目、つまり退院前後だ。4日目くらいから感じいた痛みがさらに強くなる。ただ朝を乗り切れば、日中は少し痛みが和らいでいったのが救いだった。痛みの度合いが急激に減り、一人前の食事が取れるようになったように感じたのは術後10日目だ。この日を皮切りに、食前に痛み止めを飲まなくても食事ができるようになったり、家事や外出をしてみる元気も湧いてきた。
退院後の食事例
入院時は体調に合わせて重湯から全粥にかけて食事を調整してくれるので、病院で出されたものを食べれる量だけ食べていれば問題はなかった。しかし退院後は自分でなんとかしなければならない上に、痛みのピークが重なる。
まず一番痛みがひどい時に食べやすかったものはプリンだ。こってりしているからとりあえずお腹にためることができる。その次に食べやすかったものは野菜(コーン・カボチャ)のポタージュとネギトロである。ドロドロしているけど栄養価が高そうなものは心身ともに満足感があった。
主食にしていたのはお出汁で作ったお粥やリゾット、食パン(白い部分のみ)だ。お粥はレトルトのものをスーパーで買ったが、お出汁をとって作ったもののほうが数倍美味しかった。また、食パンはサイコロ状に切ってスープなどに浸して食べればかなり柔らかくなる。
回復してきた術後10日目頃からはそぼろやうどん、サイコロ状にした刺身やいくらなども食べられるようになった。体感的にはこの時点で通常の食事を食べられそうな気もするが、術後検査が済んで医者からOKサインが出るまでは柔らかめの食材を選んだほうがいいだろう。
助けられたもの
入院時あって良かったもの
・のどぬ~るぬれマスク
同じ手術をした多くの人も言及しているが、間違いなく一番あって良かったものはのどぬ~るぬれマスクだ。乾燥しない夏の時期に入院したものの、就寝時の乾燥で朝の痛みが増す上に、日中もつけていればそれだけで安心感があった。10時間ほど潤いが続くので、1日あたり二枚分用意してもいいくらいだと思う。
・体拭き用シート
前述した通り、数日間シャワーに浴びれないのがかなり心身ともにダメージがあった。そこで清潔感を保つ助けとなったのがビオレの冷シートとメリットのドライシャンプーだ。どちらも冷感作用があり、ほのかに甘い香り付きのため気分も良くなった。
ハマっていた映像
・ドラマ『グランメゾン東京』
思うように食事が摂れない入院期間中、食べ物の映像を観たい衝動に駆られた。丁度『グランメゾン東京』の配信がスタートしたばかりだったので一気見。料理が美味しそうなのはもちろん、日曜劇場なのでストーリーも面白い。
・濱口竜介監督が関わった映画(『スパイの妻』、『ドライブ・マイカー』)
入院期間中は時間があるため、以前から気になっていた濱口 竜介監督の関連作品を観ることができた。静かな病院内の雰囲気も相まって、静けさの中に役者の演技が光る作品の世界観にどっぷり浸かることができた。
・レインボー ジャンボたかおのYouTube
扁桃摘出手術をしたジャンボたかおのYouTubeは、退院後の生活の参考にもなる上に、食べ物を観たい欲も満たしてくれた。そして何より同じ手術を乗り越えた仲間意識で勝手に身近に感じる。
心身の変化
身体面(術後出血)
術後出血を避けるために医者や看護婦さんに食べ物を注意するよう何度も言われたが、私はシャワーを浴びたことが原因で5分ほど吐血した。
どのくらいの吐血が救急診察の対象かはわからなかったが、再診察後に医師には「コップ一杯分の吐血なら大丈夫」と言われた。しかし何かあっては心配なので、初めて血が出てしまった時はたとえ少量でも病院に行くことをおすすめする。
術後出血のリスクは退院直後の術後7日目が最も高く、私もこの日に吐血した。そのため、退院前に病院の連絡先や伝達事項を確認することや、退院後しばらくは自宅に人が居る時間帯に食事や入浴を済ませるなど、対策を講じたほうがいいと感じた。
また、夜間に出血した場合は救急外来を受診→翌日に再診の流れになることが多く、よほど重症でなければ再入院や止血処置も翌日に判断されることが多いということも知っておくと損はない。
どんなに気をつけていても出血する時はしてしまうため、もしそうなった時の対処法を知ってリラックスして過ごすことが大切だと思う。
精神面(感情の起伏)
慣れない入院生活や喉の痛みとの戦いで、いつもとは違う精神状態になることが考えられる。この後紹介する日記を読んでもらえればよくわかると思うが、私はそれが「怒り」という形で出てしまい、親や夫に対しての不満が爆発してしまった。考える時間もたくさんあるせいか、過去の嫌だったことも含めて思い出し、八つ当たりしてしまったのは申し訳なかったと思う。
ただ、症状が良くなるにつれて精神状態も安定するようになってきた。入院時も退院後も親や夫の協力なくしてはうまく過ごせなかったと思う。この手術のメリットは扁桃炎にかかる心配が今後なくなるだけでなく、自分がいかに人の助けを借りて生きているかを知れることだと感じた。
自戒も込めて、元気になった日には身近な人へ感謝の気持ちを伝えることが大切だと思う。
手術に纏わる日記はこちら⇩
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