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【#04大阪市】メンタリングの種類と量がすごい!大阪市のスタートアップ報告レポート

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xG(クロスジー)メディアは自治体とスタートアップの共創に関する有益な情報をお届けするメディアです。
コンテンツ第一弾として、全国の自治体施策の報告会をnoteにまとめていきます。
『自治体施策を活用してみたいけれどよくわからない』と思っているスタートアップの方々の参考になれば幸いです。

読んで欲しい方
・自治体施策を活用したいけど概要がわからない
・実証実験のメリットを知りたい
・どのような成果があるのか知りたい

大阪市アクセラレーションプログラムの概要

プログラムは、アーリー期のスタートアップ企業が、起業経験者等からのアドバイスや、大企業・ベンチャーキャピタル等との連携により、事業成長の加速(アクセラレーション)をめざす取組。

  • 運営受託者によるアクセラレーション(※)を週1回個別に実施

  • 本プログラムのメンター陣による個別面談

  • 運営受託者、メンター及び他の外部支援者による研修・ワークショップ

  • プログラム終盤に、プログラム受講者がベンチャーキャピタルや大企業向けにビジネスモデルやサービス内容を説明し、投資や事業提携の実施等を訴求するデモデイの実施

https://www.innovation-osaka.jp/acceleration/

採択企業7社の報告内容


株式会社iDevice

あらゆる顔に優しくフィットする人工呼吸器用マスク「javalla」

顔の形に合わせて変形することで、あらゆる顔にフィットする人工呼吸器用マスクを販売。
創業者(臨床工学技師)は、人工呼吸器を使った治療は、マスクと皮膚に隙間があると酸素が漏れて治療できないため、漏れを防ぐために強く押さえつけることで皮膚傷害を助長してしまっていることに着目し、新しいマスクを開発。これまでにない柔らかさで優しくフィットすることから、装着感が向上し、皮膚傷害も予防。また、顔の形を問わず使用できることから、医療スタッフの業務負担も軽減。

●実施概要・成果
メンタリング10回を行い、上場までのマイルストーンおよび気構えが学べた。成果としては資金調達先、事業連携先が現在進行中。メディアにもwebとTVニュースに掲載された。

●今後のアクション
引き続き、資金調達・事業連携の協議を進めていく。
「治療=つらい」というイメージを解消し、病気になってしまった方に更に負担をかけるのではなく、安心して療養できる未来を作っていきたい。



株式会社ABABA

就職活動の過程が評価される社会の実装へ

ABABAは、就活の過程が評価される、就活後半時期に特化した成果報酬型スカウト方サービスを展開。これは、創業者の友人が大手広告会社の最終面接で落ちた経験が元になっている。その彼は出会った時からずっと「俺はD社にいく。D社に一生を捧げる。」と宣言していたが、落ちた途端に「なんで俺を採用しないんだよ!」「もう⼆度とあそこが宣伝してる商品は買わねぇ。」と暴言まで吐いていた。ここで「就職活動の過程が評価されていない」という課題に気が付き、「不採用後も企業と学生の関係性を良好で継続的なものにしたい。」という想いでABABAを創業。企業側にとっても他社で面談に進んだ就活生は一次面談・二次面談をカットするなど工数削減につながる。


実施概要・成果
オープンから2年で600社の企業に利用いただいている。また、就活生にも口コミで1万5000人のユーザーに利用いただいている。
ユーザーである大企業を始めとした計17社とメンタリングを行い、その中で1社契約いただく企業もいた。何社かは話を進めている最中。
その他は、IPOに向けた労務管理の相談をさせてもらった。

今後のアクション
3/1に資金調達を行い、調達額は累計2億円となった。引き続き事業推進に力を入れていきたい。
ABABAを通して、7人に1人が就活鬱で苦しんでいる現状と、就活が原因で命を絶ってしまうという大きな社会課題を少しでも少なくし、就職活動におけるウェルビーイング、メンタルヘルスのケアという文脈でも貢献していきたい。



株式会社OTENTO 

見えない努力を見逃さない。日々のあり方で未来を変える!

OTENTOとは、これまでどれだけ頑張っても評価の対象とされ難かった非正規雇用者たちにスポットライトをあて、来店したお客様からポジティブな応援メッセージを贈るサービスを提供する。ポジティブメッセージの回収・データ化は非正規雇用者の承認欲求を満たし、自己成長を促すサービス。
このサービスは従業員の人事評価システムでありつつ、お客様との関係構築へと繋がる革新的なCRMであると考える。頂いたメッセージはテキストマイニングにより、タイムリーにお客様が店内の何に満足感を抱いているかの判定が可能。今、店舗に足りないものや評価されていることを測定することができるため、顧客満足度を高める指数となり、店舗にとって優良顧客を獲得できる、即ちリードナーチャリングへと繋がる。


●実施概要・成果

5分や7分のピッチが苦手だったが、VC3社、大手企業1社、日経記者と面談し、5分で事業を語れる資料にアップグレードできた。
具体的には
・ステークホルダーを明確にして、それぞれのメリットを明確に
・実現したい世界をもっと具体的に
などのアドバイスを受けた。
また社内・利害関係者以外と雑談や相談ができることでリフレッシュに繋がった。

●今後のアクション
2024年を目処に新サービス≪アマテラス≫の運用を開始し、OTENTOで収集したデータベースを基に各企業がダイレクトリクルートできる環境を創り上げる事で、これまでローキャリア・ノンキャリアと言われてきた人たちが、セルフブランディングできる世界を目指す。



株式会社CROSLAN 

特定技能外国人の書類作成業務と管理コストを大幅に削減するSMILEVISAで雇用イノベーションを創出

2022年現在、外国人労働者数は、直近10年の間で100万人の増加となり、JICAの予想では2040年で670万の外国人労働者需要は見込まれている。その中でも特定技能は2019年に始まり、2022年には10万人を超えてコロナ禍でおよそ10倍になった。今後も、特定技能外国人は増加の一途を辿ることが予想される。
しかし、受入れ企業にとって外国人受け入れの課題として管理コストが割高であること、そして書類作成や申請に関する作業工数が大きな負担となっている。SMILEVISAは、そのような課題を抱える受入れ企業に対し、受入れ企業の業務効率化するクラウドサービスである。


実施概要・成果
壁打ち11回、勉強会・交流会7回、大手企業メンタリング5件、VCメンタリング3件を実施。大手企業・VCメンタリング合計8件のうち、3件は投資・協業で継続議論予定。
プログラムを通して、J-KISSに(新株予約権)による資金調達がスムーズにできた。また、投資・協業角度の高いメンタリングの実施ができ、事業がスケールできる蓋然性が高まった。

●今後のアクション
引き続き協業観点で議論を続けていく。
委託管理費のカット、煩雑な書類作業からの解放を通し、特定技能外国人にとっても、受入れ企業にとっても双方がメリットを享受できるような社会を作る。



株式会社SceneryScent 

嗅覚体験によって人々の生きる希望を創造する

ライフラインではないがコロナ禍でも決して無くならず、人々の生きる希望として無くてはならないもの、それがエンタメ。人々がエンタメに求める価値は、夢や感動、非日常体験をすることで癒しになったり明日への活力になること。それに対してエンタメを提供する側は、想いを効果的に伝え、共感させて持続可能なファンを作り集客やリピートを獲得していくことが課題であると感じている。消費者のニーズを満たしつつ、提供側の課題をも解決することができるのが匂いや香りによる嗅覚の体験。
ただし匂いや香りは好きな人もいれば嫌だと感じる人もいる、嗜好性が高い感覚器。この課題をクリアし、効果的な嗅覚体験を実現するためには香りを演出するための機器と必要な香り(香料)を同時に開発する必要があり、当社はそれを実現してきた。さらに、その機器を使用する現場監修の技術で多数の実績があることも強みのひとつです。


●実施概要・成果
目標を資金調達と新規販路開拓に設定。大企業11社とVC10社のメンタリングを実施。成果としては資金調達、新規開拓ともに達成に向けて議論が進行中である。トーマツのご担当者の方にも資料の作成やアドバイスなどサポートいただいた。

今後のアクション
希望したメンターと面談をすることができたので、引き続き話を進めていきたい。
エンタメの世界へ深い没入感を味わわせ、忘れられない夢や感動の「記憶」を生み出す嗅覚の特性を最大限に用いて、やがてその「記憶」が人々にとって生きる希望になる世界を作っていきます。



株式会社トータルブレインケア 

「脳体力トレーナーCogEvo」による「認知機能の見える化」で、だれもがやりたい事をいつまでも出来る世の中の実現へ

超高齢社会と労働生産性向上という社会課題の解決に向け、「認知機能の見える化」ツール「脳体力トレーナーCogEvo」により、誰もが「やりたい事」を「いつまでもできる」世の中の実現を目指している。
「脳体力トレーナーCogEvo」は、認知機能を「見当識」「注意力」「記憶力」「計画力」「空間認識力」の5側面に分類し、個々の認知機能のアセスメントとトレーニングが可能なクラウドシステム。
認知症予防に関しては、ゼロ次~3次予防の各分野で、ナショナルセンターや多くの大学研究機関とエビデンスを積み重ね、認知症施策推進大綱の実現に寄与し、自治体・企業連携で社会実装の実績を上げている。
働き方改革においては、現役世代のプレゼンティズムの向上やヒヤリハット防止の分野で、産官学連携の要として社会実装を進めていく。

●実施概要・成果
メンタリングの参加により、「事業計画書のブラッシュアップ」と「社内の課題を網羅」できた。
今までさまざまなアクセラレーションプログラムに参加し、メンターからのアドバイスを反映させすぎて膨大な資料になっていたが、頻度高くかつ当社の実情に合わせたメンタリングで整理する方向性が固まった。
また、メンタリングに当社の役員も参加したことにより、社内の課題を網羅的かつ深堀して共有することができた。今まで自分達の興味関心ごとのみの議論しかできていなかったのではという気づきを得た。

●今後のアクション
高齢者ドライバーのための商材、シニア層の再雇用に伴う商材など、さまざまなシニア層をターゲットにする商材に反映できる。令和5年度は50を超える自治体から声が届いている。
PHRシステムとの連携も進めており、得られたBIGDATAを基にAIによる次世代のウェルビーングに貢献したい。



株式会社FRoots 

"心を照らす医療"を拡張する。

オンライン・メンタルヘルスケアサービス「WeMeet」は、テクノロジーによって精神医療を拡張・再編し、患者さんへの高い解像度と質の高い医療体験により、広く人類が自らの生を肯定できる世界を創ることを目指しています。

●実施概要・成果
4ヶ月のメンタリングを通じて、足元の課題から中長期的な議論ができた。具体的には「採用」と「IPO戦略」のメンタリングを行った。
採用では採用人材の解像度の向上、候補者面談の磨き込み、入社スターターキッドなどを、IPO戦略では資金調達の時間軸のすり合わせ、上場企業の分析、医療業界の分析などのメンタリングを行い、非常に有意義な時間だった

●今後のアクション
1人採用予定で進んでいるので、入社スターターキットを試していきたい。引き続き、事業推進に向けて進めていく・


まとめ

OSAPは4ヶ月という比較的短い期間ながらも大企業、VC、記者などの幅広いメンタリングを多く実施できることが非常に魅力的だと思いました。

採択企業によっては毎週1〜2回メンタリングの実施を行っている計算になります!

各社IPOに向けた資金調達や販路開拓などの目的が明確だったため、メンタリングも有効に活用し、目標達成に向けて成果が見えていると感じました。

また、事務局のサポートも多くあったようで資料共有やアドバイスをもらった企業もあったようです。
皆さん事務局にお礼をおっしゃっていたのが印象的でした。


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