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土の奥深くに 【イタドリ考日記・序】

植物園でプロパゲイターとしてたくさんの種類の植物を扱っていて感じるジレンマというのがいくつかあります。

そのひとつは、それぞれの植物の背景には、その本来の環境、生態系において他の植物や生き物との関わりがあり、そしてその土地の人、ひいては文化にも深いつながりがあるのに、それらがプツンと切れた状態でコレクションされていること。それを扱っている私自身その背景にあることをたどり切れていないもどかしさです。

それは植物園のコレクションに限らず私たちの身の回りにある植物、たとえば空き地や道端に生えている植物に関しても言えることでしょう。

ひとつの植物をじっくり観察したり、そのまわりの環境や生態系、その植物と人との関係などを紐解いていくと、いくつものたくさんの事象や物語が立ち現れてくるはずです。

現在進行中の「イタドリとPlant migration」をテーマにしたプロジェクトの参加に声をかけていただいたことをきっかけに、noteを活用して、そのプロジェクトのためのメモまたは草案として、日本からヨーロッパ、そしてここイギリスに持ち込まれ、数奇な生涯を送りながらも逞しくあらゆる場所でその根を土の奥深くまでおろしているイタドリという植物を、四季にわたって観察しながら、イタドリと他の植物、人と植物の関係、面白いこと、不思議なこと、美しいと感じたことをランダムに書いていきたいと思います。

その過程で私の日常と植物の世界がどういったかたちでクロスオーバーしているのかを、私自身が発見することができればと思います。

春編から始まります。

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