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創作物

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掌編小説、詩、エッセイなど
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記事一覧

まなざしを贈る

 絵を描くにはどうしたらいいか聞くと美術教師はそれではまず描きたいものを見つけるところか…

藍晶
1年前
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きぼうの光

 今日の午後5時55分、南西の空にきぼうの光が見えると理科の先生が言うのでそれを見るためだ…

藍晶
1年前
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診断メーカーで出た探偵と助手でストーリーを作る

診断メーカー(https://shindanmaker.com/863134)で出た架空の探偵と架空の助手で一つお話を…

藍晶
1年前

寒中

 夜が長い。夜明けは遠く、誰も私を追いかけて来ない。じっとしていると体温がどんどん奪われ…

藍晶
1年前
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 別れを告げたとき彼の影を盗んだ。  彼の影と生活するうちに私が欲しかったのは彼自身では…

藍晶
2年前
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モノローグ

 取り出す、使う、しまう。散らかす、片付ける。汚す、落とす。買う、作る、洗う、食べる、片…

藍晶
2年前
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落葉

 ひどい有様だな。  頭上で革靴が言った。もう頭を持ち上げて顔を確認する力も無い。誰か知りたいとも思わなかった。右下腹部の激痛で何も考えられない。子どもの頃は死ぬときに感じる痛みはどんなだろうと想像しては戦慄していた。死への恐怖はそのまま痛みへの恐怖だった。確かに叫ぶことも息を吸い込むことも出来ないほどの苦しみだ。鋭利な刺激に意識が朦朧としてくる。身体が重く、冷えていく。命が失われつつある。もう助からないだろう。絶望はなかった。ただこの耐えがたい痛みにもまもなく終わりが訪れる

Summer

 夏至の暁、遮光カーテンの縁が発光して徐々に部屋の輪郭を浮かび上がらせていくのを感じてい…

藍晶
2年前
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センチメンタルブルー

 起きると窓辺の桔梗が新しい花をつけていた。紙風船のような蕾が星型の綺麗な花弁に変わって…

藍晶
2年前
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 自分の人生の半分が失われた気がするってあの時君そう言ったんだっけ。詩的で大袈裟な物言い…

藍晶
2年前
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雪・彼女について

 しんしんと雪が降りつもる帰り道、視界一面に踊る雪が傘の下から流れ込んできて腕や足に染み…

藍晶
6年前
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君が生きていることが素晴らしい

君が生きていることが素晴らしい 一生独身でも仕事が出来なくても 影で役立たずと罵られようと…

藍晶
6年前
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冬は黙々と

たとえば冬は黙々と かじかんだ手をさすりさすり 眠気と闘いながら机に向かう 時折春は浮き…

藍晶
6年前

ハロー、世界

ハローハロー世界 元気ですか 僕は元気です 今日僕の街にミサイルが落ちました けたたましい携帯のアラームの音で目が覚めて 起き上がるとサイレンの音が鳴り響いていました 初めて聞いた国民保護のサイレンにドラマの中みたいだ と思いながら時計を見ると まだ午前6時で もう少し寝ていられると思ってもう一度身体を横に倒したけれど はっとしてまた慌てて起き上がりました 何か異常事態が起きているらしい 二度寝している場合ではないのかもしれない 1階に降りるともうパパもママも起きていて