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24,居~どこかへ行きたい方へ~
「僕には帰る場所が無い」友達はグラスを机の上にそっと置いた。
いつも生き生きとした彼から出た意外だったその言葉は、私に大事なものを気付かせてくれた。
人間って意外と身近なものに気付いていない。
僕には帰る場所がない
留学中に出会った英語を流暢に話し、旅するように世界を飛び回る、仕事人の私の友達。
昔から英語を話せる様になって、世界中の人と仕事ができるようになりたい、海外旅行もたくさんしたい。
そう思っていた私にとって、その友達は憧れの人であった。
私は島国に住んでいて物理的にも言語的にも世界とはかけ離れていて
大陸に住む、他国との行き来がしやすい
いわゆる”グローバル”な環境に身を置けている彼を羨ましがっていた。
そんな彼の一言。
「僕は若くから故郷を一人離れ、海外で仕事をして暮らしてきた。
母国の公用語は英語では無いから、家族と話す時は英語では話さないんだ。
自分の第一言語でさえ上手く話せないことが頻繁にある。
そして以前久しぶりに母国に帰ったとき見た景色は、僕の知っている景色とは全く違っていたんだ。
こうして僕は故郷を失ってしまった。」
そんな彼には韓国に大好きなバンドグループ(Jambinai)がある。
今ではそれが彼の心の拠り所になっていた。
彼らの
”Exists everywhere but belongs nowhere”
という言葉に救われたのだとか。
「この言葉が僕を的確に表してくれているんだ」と嬉しそうに語っていた。
私の帰る場所
彼のそんな話を聞いていて、ふと我に帰った時
自分の家族や友達の顔、家から見える山と住宅が立ち並ぶ景色、お母さんが毎晩作ってくれる白味噌で作った味噌汁。
いろんな日常が頭に蘇ってきた。
どれも私にとって特別なものでは無いけれども、どれもあたたかい。
自分がそこにいていいんだという安心感を与えてくれる。
自分にとって当たり前なことは、あくまでも基本条件となり
良し悪しの評価にも及ばなくなったりする。
でもその当たり前のことが有難いことだと気づけて
幸せを感じられたら、幸せが当たり前のようにやってくる。
「足るを知る」
なんでもすぐに欲張らずに、今のこの状態に満足しよう。
帰る場所があること、自分に居場所があることは
それだけで十分に幸せだということ。
いつも色んな人に助けてもらっている自分も
誰かの居場所になれたらいいなと。
そして居場所をみんなでつくりあえる
そんな素敵な世界になったらいいなと願う。
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