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車いすを押している人を見るとヒヤヒヤする

またこちらのnote記事のネタをお借りすることにしました。

下書きの中に、筆の進みが悪い記事があったため、内容を変更して、今ご覧頂いている記事として公開しました。
今回のテーマは、上記の記事内から、こちらを選びました。

(24)職業病、ありますか?

車いすを押している人を見かけると、ヒヤヒヤしてしまう

見出しにも記事タイトルにも書いてある内容が、問いの答えです。
なぜこんなことでヒヤヒヤするのかというと、私が業界6年目の介護福祉士、いわば中堅介護職だからです。
様子を見ていれば、事前に講習を受けているのか、我流でやっているのか、何となくわかります。
なので、街中や病院等で車いすの扱いに慣れていなさそうな人を見かけると、他人事ながらヒヤヒヤします。
「おい! それじゃ、乗ってる人が死ぬぞ!!」と心の中で叫んでしまいます。
これには、介護職の方だけでなく、看護師の方も共感してくださる方が多いと思います。
何を見てヒヤヒヤするかは、人によって微妙に違うと思いますが、個人的にヒヤヒヤしやすい状況は、以下の3つです。

1.足をフットサポートに乗せずに押している
2.車いすから通常のいす、もしくはその逆の移乗
3.坂道を前向きで降りようとしている

以下で、ひとつずつ説明していきます。

1.足をフットサポートに乗せずに押している

大変危険な行為です。
やっていた方は、今からやめましょう。
フットサポートとは、簡単に言うと足乗せ台のことです。
車いすの下部、前輪の前についています。

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上の画像のように、左右2つに分かれた板のようになっています。
車いすを他人に押してもらって移動する場合、乗っている人は、このフットサポートに足を載せることになっています。
そうしないと、車いすからぶら下っている足が地面に巻き込まれ、大怪我をしてしまうからです。
以前、街中で乗っている人の足をフットサポートに乗せずに、車いすを押している方を見かけたことがあります。
「おいおい、そのままじゃ乗ってるばあちゃん、怪我するぜ」と内心ヒヤヒヤしていました。
ただ、現場だと2〜3秒の移動なら、乗っている方に足を浮かせてもらって、フットサポートに乗せずに移動、なんてやっていますがね……
皆さんは、真似してはいけませんよ。

2.車いすから通常のいす、もしくはその逆の移乗介助

介護をやったことのない方には、何のこっちゃという話ですよね。
ですが、介護の知識が少しでもあると、この章の内容のように、介護されている側もしている側も、危険だなと感じる場面に遭遇することがあります。
危険を感じる理由を説明する前に、まずは専門用語の解説から。

「移乗」というのは、簡単にいうと今いる場所から別の場所へ移動することですが、この章での「移乗」は「車いすから普通のいすに移ること。もしくはその逆」のことです。
分かりやすい例を挙げると「いま座っているいすから隣のいすに移ること」です。
そのいすからいすへの移動、皆さんはどのように行っていますか?
考えたこともない、という方も多いのではないでしょうか。
特殊能力でも使わない限り、動作は以下のどちらかになるはずです。

a.一度立ち上がり、座りたいイスの前まで移動し、腰を下ろす
b.お尻を横にスライドして、座りたいイスの座面に移動する

上記のどちらか、あるいはどちらもスムーズにできない時に介護が必要となるのです。
理論上は、これらの動きを介護されている側にやってもらうのが、介護の基本です。
介護される側の状態によって、理論どおりにいかないことも多いですが……
間違っても持ち上げてはいけません
介護されている人は人間であって、段ボール箱ではありません。
そもそも普通の人間が大人ひとりを持ち上げるなんて不可能です。
無理に持ち上げようとすると、介護されている側は強い痛みを覚えます。また、している側も腰を痛めるなどの負傷をする可能性があります。

本題に戻りますが、我流で移乗介助をしている(と思われる方)を見ると、介護している側もされている側も大怪我をしそうだなーと感じるのです。
なので、移乗介助は人を持ち上げるのではなく、あくまでも上記の2つの動きをサポートするものだと、頭に入れておきましょう。
ですが、頭ではわかっていても、実際にやるとかなり難しいので、不安なら慣れている人(介護職や看護師)にお任せするのがベターです。

3.坂道を前向きで降りようとしている

介護職としての最初の職場で3年目を迎えた頃、ある光景を目にしました。
(最初の職場は有料老人ホームでした)
ご利用者を車いすに乗せ、施設の入り口にある角度30度くらいのスロープを、前向きに降りようとしている新人くん。
「それじゃ、ご利用者が落ちて死ぬぞ!」と心の中で叫ぶ私。
幸いにも、スロープは長さ1メートルもなかったので、ご利用者は落ちずにすみましたが。
知識がない方には、危険な理由がいまいち分からないかもしれませんが、理由は以下の2つです。

a.乗っている人自身が恐怖を感じる
b.車いすから転落する確率が高い

今はコロナの影響で難しいと思いますが、機会があれば車いすの試乗をしてみてください。
同じように車いすを押してもらい、前向きで坂道を降りてみてください。
めっちゃ怖いです。死の恐怖を感じます。
介護技術をまとめた本にも「坂道は後ろ向きで降りる」と書いてあります。
本には、勾配が緩ければ前向きでもいい、と書いてありましたが、個人的には後ろ向きで降りるのが無難だと思います。だって怖いし。

まとめ

職業病は他にもありそうな気がしますが、前から感じていたのは、車いすを押している人の介助に関することでした。
別の機会に、他の職業病についても書いてみたいと思います。
ちなみに、エレベーターについている鏡は、車いすで後ろ向きでエレベーターを降りる時に、後方の安全を確認するために使ってくださいね。
(以前、実務者研修という中級資格を取った時に、講師の先生から聞きました)

参考記事・文献


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