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人はなぜ小説を読むのか
小説を書くことにしました。
こんにちは、晴野です。
小説を書くにあたり” なぜ人は小説を読むのか ”
についてしっかりと思考しておきたいなと思いました。
なので今日は、そんな話をします。
上記を思考するに辺り、とても参考になったPodcastがあったので、まずはこちらをご紹介させていただきます。
※余談ですが、パーソナリティーの1人である深井龍之介さんは“COTEN RADIO”というPodcastもされていて、こちらもとっても面白いのでおすすめです。
1:人生の指針とする
人は、理想世界を夢見る事で進化してきました。
歴史的な思想や革命は、理想を追いかけることで生まれ、現代社会に生きる私達は理想を追いかける事で成長し生きがいを感じることもできます。
きっと理想世界を実現したい、実現する為に動き出したいと思っている人は少なくないのではないのでしょうか。
ちなみに理想から考える手法は、フレームワークの一つとしてすでに存在しています。
所謂、バックキャスティング思考です。
現状や課題から未来を考えるのではなく、「ありたい姿/あるべき姿」から逆算で“いま”を考える思考法のこと。 ビジネスでは、DX推進や組織改革など不確実性が高く、正解が存在しない課題やテーマに対して、未来のゴールを描き、その実現のための具体策を考える手法として注目されている。
そして私達ホモサピエンスは、ストーリーとビジョンがあるとより鮮明に理想を描くことができる生き物です。
これは、「WHYから始めよう!」の著者サイモン・シネックが、Appleの事例を参考に”人間は、脳の構造からそうなっているのだ”と説明してくれています。
脳は中心部の「大脳辺縁系」と、外側の「大脳新皮質」に分けられます。
中心部の「大脳辺縁系」は、直観に働きかける系。
自律神経機関で、情緒、信頼、忠誠心等の感情を司る部分です。①Why:存在意義・③How:戦術(手段)は、ここで考えられます。
外側の「大脳新皮質」は、理性に働きかける系。
合理的・分析的思考の機能を担います。②What:戦略は、ここで司ります。
人は、まず脳の中心にある「大脳辺縁系」が処理している”感情”で納得をしないとHOW(行動)をする事ができません。
つまり、人の感情をカラフルに描ける小説は、作家が理想世界を説明し、多くの人の共感を獲得して、理想世界を実現させる手段の一つとしてぴったりの媒体なのです。
そして理想世界を描くのに迷走し明日からの行動に迷っている読者は、作家の理想世界に共感する事で、今すぐ動き出す事もできるのです。
それは、人生をどう生きるかにも繋がってくるのではないでしょうか。
小説は時に、人生の指針になったりもするのです。
2:不条理な現実世界を生き抜く方法を学ぶ
現実世界を生きる私達には、自分の許容を超える辛い出来事が突然起きたりします。
ユングの心理学によると、人は辛い現実を受け止めようとするときに、自分の心の形にあうように事実を変形して受け止める事があるそうです。
少し話は変わりますが、Evidence-based Medicine(エビデンス・ベイスト・メディスン 根拠に基づいた医療)という新しい診療理念の事例もあります。
これは、エビデンスに基づいて(血液検査など)「あなたは病気ではない」と診断をしたけれど、自分は病気だと信じている患者は、病気にかかったような身体状況に陥ったという例から生まれた臨床手法です。
「ナラティブ」は「物語」と訳され、患者が対話を通じて語る病気になった理由や経緯、病気についていまどのように考えているかなどの「物語」から,医師は病気の背景や人間関係を理解し、患者の抱えている問題に対して全人的(身体的、精神・心理的、社会的)にアプローチしていこうとする臨床手法である。NBMは患者との対話と信頼関係を重視し、サイエンスとしての医学と人間同士の触れあいのギャップを埋めることが期待されている。
つまり、人は物語の中に自分なりの合理性を見つけ納得しないと、例えば病気が治らないという事が実際にあるのです。
小説には、そんな自分なりの合理性を見つけるための物語が、例えフィクションであろうと作り出す事が可能です。
そして時に、まだ起きていない現実世界をシミュレーションする事もできます。
人はそうやって不条理な現実世界を生き抜く為の手段を小説から学んでいるのかもしれません。
3:サンクチェアリーをつくる
突然ですが、世界観が凄すぎて全く理解ができない作品に出会った事はありませんか?(笑)
例えば、カフカの「変身」
朝起きると虫になっていて家族に邪険にされるという男の話です。
詳細な説明がないので、解釈も人それぞれのこの作品。
コンテンツ力の弱いこの作品は、だから読者が受け身ではなく取りに行く姿勢となり自分のコンテクスト次第で作品が変わっていきます。
つまり、わからない方が創発性があり、読者は内省を強めれば強める程その作品の独特の世界観にどっぷりはまっていくんです。
世界観にどっぷりとハマる事で、人は精神の中にサンクチュアリー(聖域)が副次的に出来上がります。
ここからは解釈になるのですが、サンクチュアリーが出来た人間はその世界観に没頭し、日常が非日常化することで現実をリタッチする事ができます。
現実の客観化などができる為、精神衛生が良く保たれるのではないでしょうか。
4:最後に
Podcastを参考に、私なりの解釈なども交えてnoteを書かせて頂きました。
今回は、「なぜ小説を読むのか」なので読者側の視点が多かったのですが、作家側の視点(「なぜ小説を書くのか」)を思考しても面白そうだなと思いました。
例えば、スティーヴン キングは
「全ての小説は、1人の人間にあてた手紙である」
と言って小説を書いていたそうです。
1人の人間とは、奥さんらしいのですが
シャイニングとかめっちゃ怖いけど、どんな手紙の内容?
と思ったりもします。笑
一つ言える事は、小説には言いたい事や、やりたい事が必ずあるということかと思います。
作家はこの辺りを明確にして、創作活動に没頭し、読者側は創作側が何を伝えたいのかも想像しながら小説を読み進めると面白いのかもしれませんね。
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