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大人になって宝さがしをしたら、宝箱を見つけたー私がお店を開いたら扱いたいもの(古いもの)ー

物置で見つけた私の「宝」

 先日、何か自分の好きそうな古いものが隠されていないかと、家の物置を物色していた。

 そこで、私の「宝」となる「箱」を見つけた。しかも、2つほど。

 これこそ、大人になっての宝さがしの成功だった。

祖母の裁縫箱

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 まず1つ目は、茶色の地に花の絵が描かれた箱である。

 祖母によると、彼女の裁縫箱だったらしい。

 私が見つけた時は埃を被っていたが、私が欲しいと言うと、祖母は綺麗に拭いて譲ってくれた。

 この裁縫箱には、縫い針やハサミ、糸、布、ボタン、指貫、糸通し…そういった様々なものが入れられていたのだろう。

 祖母は縫製に勤めていたこともあり、縫い物が得意だ。

 だから、この裁縫箱から裁縫道具を取り出して、自分や祖父や息子たちのものを縫い、繕ったのだろう。

 もしかしたら、私たち孫のものも。

 縫ったり繕ったりするために、この裁縫箱から道具を取り出したかもしれない。

 そう考えると、より、この裁縫箱に愛着がわく。

 縫い物という家庭の中の活動を、見守っていてくれた。

 その役目を終えて眠りについていたこの箱は、これからどんな新たな活動を見守ってくれるのだろう。

 この裁縫箱が私の手に渡った今、何を入れようかは迷い中である。

 祖母と同じで裁縫箱にしても良いし、文房具やアクセサリー入れでも良い。

 もし自分がお店を開けたら、細々としたものを入れる什器にしても良い。

 古い切手やラベルや小物を入れて、ご自由に見てください、と。

 3段になっているから、段ごとに入れるものを分けて。

 それとも、これは和風、これはヨーロッパ風、これはアジア風というように、テイストで分けても良い。

 新たに、私の生活を見守ってほしい。

 もし、いつか、私の手を離れて他の人の手に渡ったなら、次はその人の生活を。

 そうやって、これを使っていた人を見守ってきた記憶を繋いでいってほしい。

家にあった薬箱

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 もうひとつは、何も色や絵柄で装飾されていない、素朴な木箱である。

 こちらは、祖母によれば、薬箱であったらしい。

 確かに、下の段に、「茨城県配置医薬品協議会会員証」とある。

 そういえば、私の幼い頃から時々、薬屋さんが来ていたなと思い出した。

 おそらく、今でも訪問して頂いているのだろう。プラスチック製の新しい薬箱があったので。

 木の手触り、木目…素朴だから、余計にその魅力が際立つ。

 素朴なものを見ると、飾らないということも大切なのだなと思う。

 飾らない魅力もある、ということに気づかせてくれる。

 2段のうち、上の方が高さがあるのもいい。

 薬箱として使われていた時には、高さが低い下の段には、絆創膏などを入れていたのかな。

 具合が悪くなった時、怪我した時に頼れる薬たちを守ってくれていた木箱。

 これまで、多くの人に引き出しを開けられ、薬が補充され、使われて、また補充され…

 家族の病と怪我と寄り添い、歴史を刻んできたのだろう。

 その歴史が、どんなもので、どのくらいの長さだったのかは、私には分からないけれど。

 それでも、過去に想いを馳せる。

 薬箱として役目を終えて物置に眠っていたこの木箱は、これからどんな役目を背負うのか。

 まだ役目を終えることなく、歴史を更に繋いでいってほしい。

維持のためのお手入れ

 古いものの維持には、新しいものより神経を使う。

 上の2つの箱も、一応、拭いて綺麗にはなったが、取っ手の部分が錆びついている。

 個人的に、多少錆びついたものは、その歴史を感じて、むしろ残しておきたいと思ってしまうのだが。

 けれど、綺麗にできる錆や汚れは、多少なりとも、落とした方が良いだろうなとも思う。

 自分が裁縫箱や薬箱の立場だったら、やはり、出来ることなら綺麗にされた状態で、大切にされたいから。

 まだ行うことはしていないけれど、これから、この2つの箱の取っ手の部分の錆を落とす努力をするつもりだ。

 より、彼らが魅力的に見えるように。

 彼らが喜んでくれるように。

 家族の生活の記憶と歴史を刻んだものたちを、私は宝さがしで見つけることができた。

 彼らは間違いなく、私の「宝」である。

 彼らを更に未来へ引き継ぐために、私は自分に出来ることをしていきたい。

 ※画像:寝ている子どもを扉の隙間から見守る大人。宝さがしは、子ども時代や過去を振り返る要素を持っているので、妹のこの絵を使わせてもらいました。ありがとう。→https://twitter.com/o_yu_00

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