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大統領の執事の涙

鑑賞時の感想ツイートはこちら。

2013年のアメリカ映画。ホワイトハウスで7人の歴代大統領に仕えた黒人執事、セシル・ゲインズ。職業柄、アメリカの激動の歴史を政治の中枢から目撃することになった彼の生涯と、その家族に起きた出来事を描く伝記ドラマ作品です。原題 "Lee Daniels' The Butler"。

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監督は『プレシャス』のリー・ダニエルズ。主演は『プラトーン』、『バード』、『スモーク』のフォレスト・ウィテカー。共演に、オプラ・ウィンフリー、ジョン・キューザック、アラン・リックマン、ジェーン・フォンダ、ロビン・ウィリアムズ、ほか。

○訂正: 上記の「鑑賞時の感想ツイート」内に記載された作品タイトルには誤りがあります。正しくは『大統領執事の涙』です。ツイート内では「の」が抜けてしまっていました。失礼いたしました。

「執事」というワードに勝手に期待する、の巻。

みなさんは「執事」(butler)と聞いて、何を思い浮かべますか?

素敵な一流ホテルのバトラーサービス?(憧れます~♡)
それとも、「おかえりなさいませ、お嬢様」と出迎えてくれる執事喫茶でしょうか?(一度体験してみたい♡笑)

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イギリス大好き!” なわたしが真っ先にイメージする執事たちは、英国貴族の生活を描いた BBCドラマ『ダウントン・アビー』に登場する「Mr. カーソン」や――

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大好きな映画『日の名残り』に出てくる「スティーブンス」あたりでしょうか♩

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あっ。余談ですが、『ダウントン・アビー』がお好きな方に、ぜひ、こちらの動画をご紹介させてください♩ 

『ダウントン・アビー』の “悪い下僕トーマスこと ロブ・ジェームズ=コリアーが、チャリティのために 2015年に制作&公開した、その名も『ダウントン・ウォーズ』! キャスト総出演で『スター・ウォーズ』のパロディを演じています。役者陣の熱演に、爆笑しちゃいました。楽しい!

観た時のわたしのツイート。

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前置きが長くなりましたが、わたくし、本作を観る前に「執事」というワードに勝手に期待し過ぎてしまいまして……。汗

以下、ツイートより。

ホワイトハウスのバトラーのお話だから、さぞやダウントンアビー的な優雅な世界が見られると思ったら、公民権運動の話だった。

オー、わたしったら! うっかり者デスネー!(なぜカタコト)

この作品は、イギリスではなく、アメリカのホワイトハウスが舞台だし、そこで働く黒人執事が主人公だし ――以前、アメリカ公民権運動にまつわる映画を散々観たのだから、ちょっと頭を働かせれば気づきそうなものなのに…… ねぇ!―― 今思えば、トホホな勘違いですね。

でもでも、ほらっ!
こちらの画像は日本版のメインヴィジュアルなのですが、お盆の上に素敵な銀食器を携えていたりして、『ダウントン・アビー』的な世界観を想像しちゃいませんか?(わたしだけ?)

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えーと、言い訳はこのくらいにしておきます。笑

アメリカの歴史をまとめて学べる作品

本題に入りましょう!
本作『大統領の執事の涙』のあらすじは、こんな感じ――。

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綿花畑の奴隷として生まれたセシル・ゲインズ(フォレスト・ウィテカー)は、1人で生きていくため見習いからホテルのボーイとなり、やがて大統領の執事にスカウトされる。キューバ危機、ケネディ暗殺、ベトナム戦争など歴史が大きく揺れ動く中、セシルは黒人として、執事としての誇りを胸に、ホワイトハウスで30年にわたり7人の大統領の下で働き続ける。白人に仕えることに反発し反政府活動に身を投じる長男や、反対にベトナム戦争へ志願兵として赴く次男など、セシルの家族もまた、激動の時代に翻弄されていく。(出典:映画.com

思いっきり、“アメリカにおける黒人の扱いとその歴史” を描いた作品です。

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フォレスト・ウィテカー演じる主人公「セシル・ゲインズ」は、ユージン・アレン(Eugene Allen)という実在の人物がモデルになっているそう。

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ユージン・アレンさん(1919-2010没/写真右)。レーガン大統領夫妻と。

2008年「ワシントン・ポスト」紙に掲載された「オバマ当選を支えた、ある執事」(A butler well served by this election)という記事からインスピレーションを受け、ダニー・ストロングが脚本を執筆しました。

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わたしがこれまでに観た(黒人を描いた)作品群は、奴隷制度の頃(ジャンゴ)や、その後の公民権運動の頃(夜の大捜査線ミシシッピー・バーニング)を描いたものが主でした。

あと、最近観た作品だと『グリーンブック』とかも、そう。

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それらと比較して、本作の特徴は、まず時代のスパンが広い! 主人公セシル(フォレスト・ウィテカー)がホワイトハウスで仕える大統領は7人

○ アイゼンハワー(1953-1961)(演:ロビン・ウィリアムズ)
○ ケネディ(1961-1963)(演:ジェームズ・マースデン)
○ ジョンソン(1963-1969)(演:リーヴ・シュレイバー)
○ ニクソン(1969-1974)(演:ジョン・キューザック)
○ フォード(1974-1977)
○ カーター(1977-1981)
○ レーガン(1981-1989)(演:アラン・リックマン)
(※はるひ注釈:主人公のモデルとなった実在の執事ユージン・アレンさんが仕えたのは、上記7人+さらに1代前のトルーマンを含む8人)

すごいですね。まるで歴史の教科書! 

主人公セシルは、大統領である彼らをホワイトハウスの内側でつぶさに見つめてきたのです。キューバ危機、ケネディ暗殺、ベトナム戦争―― など、1950年代~1980年代のアメリカの歴史を追うことができます。

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ケネディ一家をホワイトハウスに迎える使用人たち。妻は、当時スターのように人気の的だったファーストレディ、ジャクリーン・ケネディ。青い服の少女は、後に駐日アメリカ大使(2013-2017)を務めることになる、長女キャロライン・ケネディ。

また、セシル本人や彼の家族たちが、黒人の当事者として、奴隷制や公民権運動など歴史の波に遭遇し、翻弄される姿も描かれます。本作を観てからバラク・オバマ大統領の登場を思うと、なかなか感慨深いものがあります。

BLM などをきっかけに、アメリカにおける黒人の歴史について興味を持たれた方には、入門編として良いかも。(上に挙げた他の作品群に比べたら、内容もそんなに激しくないし……。ボソッ)

まぁ、そんな堅い目的で本作を観る人は少ないかもしれませんが。笑

わたし個人的には「大感動!」「超おすすめ!」というレベルではありませんでしたが、ひとりの人物の生涯を描いた物語として “じ~ん” とする系のお話ですので、そういったテイストの作品をお探しの方は候補のひとつに入れてみては。

何気に出演陣が豪華です!

観ていて驚きましたが、本作、何気に出演陣が豪華!

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わたしの大好きなアラン・リックマン!♡ レーガン役です。ナンシー夫人を演じるのは、ジェーン・フォンダ

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主人公の妻グロリアを演じるのは、オプラ・ウィンフリー。(隣にいる男性は近所の人です。笑)

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綿花農園で奴隷として働く主人公の母に、マライア・キャリー

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アイゼンハワー大統領に、ロビン・ウィリアムズ

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主人公の同僚役に、なんとレニー・クラヴィッツ

普段のレニクラは、こんな感じのクールでワイルドな人です。

代表曲 "Are You Gonna Go My way"。カッチョイイ名曲ですね♩

映画のレニクラ、全然ちゃうやんうそやん!笑
まったく気づかなかったわ!(オチに使って、ごめんね。えへへ♩)


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