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夜の大捜査線
鑑賞時の感想ツイートはこちら。
『夜の大捜査線』を観た。シドニー・ポワティエ、カッコいいですな。面白かったー!
— もりはるひ (@haruhi_mori) May 17, 2014
1967年のアメリカ映画。ハリウッドにおいて黒人俳優の地位を築いた先駆者とも言えるスター、シドニー・ポワチエ主演の刑事サスペンス作品です。原題 "In the Heat of the Night"
アカデミー賞で5部門(作品賞、主演男優賞、脚色賞、音響賞、編集賞)を受賞した映画史に残る傑作。
公民権運動を知るシリーズ、その2
前々回の『ミシシッピー・バーニング』に続き、アメリカ公民権運動についてお勉強するために息子が借りてきた映画。その2本目が本作でした。
わたしも一緒に鑑賞しようと思った動機などは、こちら。
リアルタイムな空気感
1980年代に作られた『ミシシッピー・バーニング』とは違い、本作の特徴は1967年の作品であるということ。当時のアメリカは、まさにリアルタイムで公民権運動が盛り上がっていた時代でした。
そういう時代に “この映画が作られたこと” 自体が、(映画界を含む)当時の人たちにとっても、歴史的な意味合いにおいても、とても意義のあることだったのではないでしょうか。
『夜の大捜査線』は、2002年に「アメリカ国立フィルム登録簿」にも登録されています。
○ アメリカ国立フィルム登録簿
公開から最低10年以上経っており、かつ「文化的・歴史的・芸術的にきわめて高い価値を持つ」とみなされる映画・動画作品を選出。「われわれ(アメリカ国民)がどのような人々か、どのような国民かをよく示す作品」という基準が重視される。(出典:Wikipedia「アメリカ国立フィルム登録簿」)
主演のシドニー・ポワチエは、当時、今よりもずっと人種差別が激しかったアメリカ南部でのロケに難色を示しており、実際、嫌がらせを受けたことも何度もあったそうです。
そんなことも踏まえながら本作を観てみると、"In the Heat of the Night" という原題の通り、うだるような夏の夜の空気と共に、より一層、1960年代のリアルタイムな空気感を感じ取ることができるかもしれませんね。
主な登場人物とあらすじ(ネタバレなし)
主な登場人物
○ ヴァージル・ティッブス(シドニー・ポワチエ)/写真左
○ ビル・ギレスピー(ロッド・スタイガー)/写真右
○ あらすじ(ネタバレなし)
舞台はアメリカ南部、ミシシッピ州の田舎町。一人の黒人男性、ヴァージル・ティッブス(シドニー・ポワチエ)が駅に降り立つ。
同じ夜、町をパトロール中の警官が殺人事件と思われる死体を発見。死んでいたのは、町に工場を建設しようとしていた実業家だった。
事件発生と同じタイミングで町に現れた「黒人」で「よそ者」のヴァージルは、不審に思われて警察署に連行され、白人の署長ビル(ロッド・スタイガー)や警官たちから侮辱的な扱いを受ける。
ところが、ヴァージルの身元を確認すると、彼はフィラデルフィア市警の殺人科から別件の捜査のためにやってきたベテラン刑事だった。
めったに起きない殺人事件に手を焼く田舎町の白人警官たち。敏腕刑事であるヴァージルにしぶしぶ協力を依頼することになるが、黒人への偏見が根強い警官や住民たちに阻まれ、捜査には困難がつきまとう――。
シドニー・ポワチエがカッコいい!
「シドニー・ポワチエ」という名前だけは知っていたのですが、わたしが彼の映画を観たのは本作が初めてでした。
ビシッとスーツを着こなし、どこへ行っても、誰に対しても、堂々と落ち着いた振る舞いをする硬派な刑事なのです♩ 粗野なイメージはゼロ。
"They call me Mister Tibbs!"
(いつも皆が私を呼ぶ時は)「ミスター・ティッブス」だ!
彼が毅然と言い放つこの名セリフは、本当に忘れられません!
「アメリカ映画の名セリフベスト100」にも第16位でランクインしています。
シドニー・ポワチエは、本作公開の4年前(1963年)に『野のユリ』で黒人俳優として初のアカデミー主演男優賞を受賞しています。
(主演女優賞については『チョコレート』のハル・ベリーが黒人として初の受賞。なんと2002年! 最近! 「白人ばかり」と指摘され続けているアカデミー賞ですが、データを見ると本当にそうかもしれない……と、ひしひし)
そのシドニー・ポワチエが言う "They call me Mister Tibbs!" のセリフ。きっと拍手を送りたくなった観客がたくさんいたことでしょうね。
署長とティッブスの関係も見どころ
本作でアカデミー主演男優賞を受賞したロッド・スタイガーが演じる、南部の田舎町の警察署長ビル。頑固な差別主義者であり、主人公ヴァージルに対して反感を持っていますが、犯人検挙のためしぶしぶコンビを組むことに。
ラストの駅でのこのシーン。印象的な良いシーンです。駅で始まり、駅で終わるんですね。
クインシー! レイ・チャールズ!
本作の音楽監督は、あのクインシー・ジョーンズ!
代表曲の『愛のコリーダ』。いいですね~♩ 大好きな曲です♡
クインシーがプロデュースした、マイケル・ジャクソンのアルバム『Off The Wall』、『Thriller』、『Bad』も名曲揃いです。
『P.Y.T.』とかね♩
ポップスでの成功が有名ですが、ジャズ・ミュージシャンとしても大御所中の大御所です!
そんなクインシーが作曲した本作の主題歌 "IN THE HEAT OF THE NIGHT"。
歌うは、なんとレイ・チャールズ!
ブルース! 渋い!
本作の舞台であるアメリカ南部の田舎町に漂う、気だるい、やるせない雰囲気が出ています。ぜひ音楽にも注目してみてくださいね♩
おわりに。
わたし自身は日本生まれの日本育ちで差別的な経験などはありませんが、映画が好きで、たくさん映画を観たり、こうして note を書くにあたって作品の背景を調べたりする中で、映画を通していろいろなことを学ばせてもらっているなぁ、と感じます。
映画が好きで、良かったなぁ。
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