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男はつらいよ

鑑賞時の感想ツイートはこちら。

1969年の日本映画。のちに全50作品にもなる映画「男はつらいよ」シリーズの記念すべき第1作目。啖呵売たんかばい生業なりわいとする「フーテンの寅」こと車寅次郎が、ひょっこり故郷の柴又に戻ってきては何かと騒動を起こす様子を描いた人情喜劇です。

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多くの日本人から愛されている主人公「寅さん」こと車寅次郎を演じるのは、もちろんご存じ、渥美清。レギュラー共演陣は、「さくら」:倍賞千恵子、初代「おいちゃん」:森川信、「おばちゃん」:三崎千恵子、「博」:前田吟、「御前様」:笠智衆、「タコ社長」:太宰久雄、「源公」:佐藤蛾二郎、ほか。

初代マドンナ「冬子」役に、光本幸子。博の父「諏訪飈一郎ひょういちろう」役に志村喬

監督は松竹が誇る名監督、山田洋次

寅さん、大好き!

前にも記事の中で折りにふれ繰り返し書いているのですが、わたしは山田洋次監督、ならびに「寅さんシリーズが大好き!♡

昨年の春には葛飾・柴又を訪れ、 “聖地巡礼” 散歩をいたしまして。と~っても楽しかったです♩

帝釈天にお参りしたり――

寅さん記念館では、大船撮影所から移築された、本物のくるまや」(*)のセットに大興奮しました。

*「男はつらいよマメ知識
寅さんが柴又へ帰って来た時に中心的な舞台となる実家のお団子屋さん。第1作~第39作までは「とらや」という名前で登場していましたが、撮影に使用していた実在の柴又のお団子屋さんが屋号を「とらや」に変更したため、第40作からは「くるまや」という名前に変わりました。

前述の『東京家族』や『たそがれ清兵衛』の記事内で、さんざん寅さんの良さを語りまくっているので、読んでくださる方には「またかいな」的な感じ(笑)かもしれませんが、わたしが寅さん映画を好きな理由をあらためて抜粋してみると、例えばこんなところ――

四季折々の美しい日本の風景

憎めない風来坊、寅さんのあたたかいキャラクター。(そして、意外と女性に対しては紳士♡)

おいちゃん、おばちゃん、さくら、博、タコ社長たちが織りなす、絶妙な と笑い。ほんと最高!♡

ちょっと心が「疲れたなぁ……」っていう時、寅さんを観ると「ほっと気持ちがほぐれるし、安心するんですよね。

わたしから見た山田洋次作品の一番の良さは、人物のやりとりや仕草に表れる細やかな心情の描写」! そして、丁寧な日常の描写」! これらが本当に巧み。観る度に、いつも唸ってしまいます。

細部まで丁寧に生活日常を描く” という作風は、もともと山田洋次監督が独立前に所属していた、昭和時代の松竹の特長でもあり、そこで培われた部分も大きいのかもしれません。

・・・

普段はカラリと明るく気風のいい寅さんが、時折見せる、とても優しい本当に優しいあの口調に、わけもなく “ほろり” と涙がこぼれたことも、何度あったかわかりません。

わたしが特に大好きなのは、上記のツイートにもある、第44作『男はつらいよ 寅次郎の告白』のこのセリフ。

何か悲しい事があったんだな
 よしもう大丈夫だ俺がいるからうん

寅さんのおい「満男」(吉岡秀隆)の恋のお相手、「泉」(後藤久美子)。ある時、彼女は色々な悩みが重なり家出をします。旅先の鳥取で、思いがけず偶然、寅さんに再会。寅さんの顔を見るなり、様々な感情――それまでの心細さや安堵があふれてきて言葉にならず、ただ、涙ぐむ泉。

そこへ寅さんがかけた最高にあたたかい言葉が、このセリフなのです。

何か悲しい事があったんだな
 よしもう大丈夫だ俺がいるからうん

記念すべき「男はつらいよ」シリーズ第1作

なにせ全部で50作もあるシリーズなので、どの作品を観て、どの作品が未見なのか、自分でも記憶があいまいなのですが、本作は寅さん史に残る記念すべき第1作ということで、しっかりと印象に残っています。

寅さんの妹・さくら(倍賞千恵子)がまだ独身で、裏の印刷工場で働く職工(労働者諸君!笑)(前田吟)と結婚するまでを描いた回なのですよね。

既にいくつもシリーズ作品を観ているわたしの中では、さくらさんと博さんはすっかり「夫婦」のイメージ。その二人が、まだお付き合いする前の状態なのですから、感慨深い……。

「わぁ、まだ結婚してないんだなぁ……」

と、タイムマシンで過去に戻ったような、不思議な気持ちでした。

・・・

寅さんが、さくらさんのお見合いをぶち壊しちゃうシーンも、とてもよく覚えています。学が無くて粗忽者――という寅さんのキャラクター。困ったお兄ちゃんのせいで、いつも恥をかいたり、周囲に頭を下げる羽目になりながらも、誰よりも深く兄を慕い、気遣う――さくらのキャラクター。

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腹違いの兄妹であり、実の両親を亡くし、おいちゃんとおばちゃん夫婦の元で育った――という複雑な背景があるにもかかわらず、いえ、そういう兄妹だからこそ、深い深い絆で結ばれている。

その後もブレない「寅」と「さくら」の関係性が、第1作にして既にしっかり描かれています。

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博の父親役として、昭和の名優・志村喬がゲスト出演していることも、本作の特筆すべきポイント! さくらと博の結婚式のシーンは、何度観ても “じーん” としてしまいます。

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また、第8作『男はつらいよ 寅次郎恋歌』で再登場し、寅さんに語って聞かせる「庭先に咲いたりんどうの花」のエピソードも心に染み入る名シーンです。

公式サイトが素晴らしい♩

最後にぜひご紹介しておきたいのが、「男はつらいよ」シリーズの公式サイト。これが素晴らしい

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松竹映画『男はつらいよ』公式サイト|松竹株式会社

見やすいシリーズ全作品の一覧、歴代マドンナの一覧、ゲスト出演者の一覧、寅さん名セリフ集――などなど、ファンにはうれしいページが盛り沢山♩ さながら寅さんデータベースといった趣です。

各作品ごとの解説も丁寧で、恒例の冒頭の “夢オチ”、わいのわいのといつの間にか起きる “騒動”、懐かしい日本の昭和の風景が毎回楽しみな “ロケ地”、寅さんが本業で披露する見事な “啖呵売たんかばい” のセリフなど、きめ細かな情報が網羅されています。

こちらのサイトで、観たことのある作品についてさらに深く知ったり、これから観たい作品を探したりするのも、いいかもしれませんね!

おわりに

まだまだ語り尽くせぬ寅さんへの愛ではありますが、寅さんの名言と、観ているだけで明日も頑張ろっ♩」と思える予告編で、今回は締めくくりたいと思います。

「いいかい。あー、いい女だなあ、と思う。その次には、話してみてえなあ、と思う。話しているうちに今度は、いつまでもそうやっていてえなあ、と思う。その人の傍にいるだけで、何か、こう、気持ちがやわらかーくなって、あー、この人の幸せの為なら俺はどうなったっていい、死んだっていい、とそんな風に思うようになる。それが愛よ違うかい

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