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たそがれ清兵衛

鑑賞時の感想ツイートはこちら。

山田洋次監督による「時代劇三部作」と言われる中の一作目。藤沢周平の小説『たそがれ清兵衛』、『祝い人(ほいと)助八』、『竹光始末』を原作として、はじめて映像化された作品です。主演は、真田広之、宮沢りえ。

山田洋次監督のこと

わたし、山田洋次監督の作品がとても好き! --というのも、寅さんでおなじみ『男はつらいよ』シリーズの大ファンなのです。

寅さん、いいですよね~♩ 四季折々の美しい日本の風景。憎めない風来坊、寅さんのあたたかいキャラクター。(意外と女性に対しては紳士♡)

おいちゃん、おばちゃん、さくら、博、タコ社長たちが織りなす、絶妙の “間” と笑い。ほんと最高!♡

こちらは、第15作『男はつらいよ 寅次郎相合い傘』(1975年)より。
有名な名シーン「メロン騒動」。

寅さんシリーズを何作も観ているうちに、山田洋次作品の良さにすっかりハマってしまったのでした。

ちょっと心が「疲れたなぁ……」っていう時、寅さんを観ると「ほっ」と気持ちがほぐれるし、安心するんですよね。

・・・

わたしから見た山田洋次作品の一番の良さは、人物のやりとりや仕草に表れる、細やかな「心情の描写」!  そして、丁寧な「日常の描写」! これらが本当に巧み。観る度に、いつも唸ってしまいます。

“細部まで丁寧に「生活」や「日常」を描く” という作風は、もともと山田洋次監督が独立前に所属していた、昭和時代の松竹の特長でもあり、そこで培われた部分も大きいのかもしれません。

庄内ことばの響き

本作は、幕末の庄内地方にある架空の藩「海坂藩」(うなさか藩)が舞台。

主人公の下級武士、井口清兵衛(真田広之)をはじめ、登場する人たちは皆「~でがんす」など、お国訛りの言葉で喋ります。別れる時の挨拶が「しぇば……」(それでは)だったりね。

これがなんとも良いんですよね。味わい深くて。素朴で。

地理的に近いせいか、わたしの祖父母がいた新潟の言葉にも少し似ている気がします。「~さけ」(~だから)とか。

幼い娘のほっぺの汚れを拭きながら清兵衛が言う「何したんだ? これ……」のイントネーションとか、すごく聞き覚えのある感じ。懐かしい響きだなぁ。

東北訛りの武士が出てくる映画といえば『壬生義士伝』もありましたね! 大河ドラマだと『八重の桜』もそうでした。

出演陣のお芝居が良い!

清兵衛役の真田広之と、互いに想いを寄せる朋江役の宮沢りえ。二人のお芝居がとても良かったです。

真田広之のアクションシーンは、やっぱりさすがの身のこなし。
殺陣がキマる文句なく格好いい

ちなみに、真田さんがかつて JAC(ジャパンアクションクラブ)にいたことを、うちの息子(平成生まれ)は知らなかったそうです。そりゃそうか。

これが昭和生まれと平成生まれの世代差なのね……。笑

・・・

アクション以外のシーンでは、このシーンにグッときました。

清兵衛「そうですか…… 会津の御家中。さぞ…… 御良縁でがんしょうのう」

貧しい下級武士。想うからこそ、一歩引く男の哀愁! 深い愛! たまりません!

宮沢りえちゃんは、清兵衛の母(おばば様)から

「あんたはんは…… どちらのお嬢様でがんしたがのう?」

と聞かれた後のシーンが切なかった……涙。朋江が「清兵衛との関係性」と「客観的な己の立ち位置」をみずから宣言しなければならないセリフだったから。

おまけ(田中泯のこと)

感想ツイートでは「コワかった(笑)」の一言で済ませてしまった田中泯(たなか みん)について。

いえ、映画の中では本当に怖い存在なのですよ? メイクも怖かったし。笑(何日も屋内に立て篭もっていた、という設定のため)

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普段はこのような感じの渋いオジ様です。

本業は舞家。(舞家ではない、と公式サイトのトップページに書くほど、こだわりをお持ちのようです)

前衛的なダンサーでいらっしゃいます。どんなダンスかは、公式サイトの動画で紹介されています。

眼光の鋭さ、身体表現のプロ、という点で、余吾善右衛門(よご ぜんえもん)役にキャスティングされたのかなぁ、なんて思いました。


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