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プリンセス トヨトミ

鑑賞時の感想ツイートはこちら。

2011年の日本映画。万城目学の小説『プリンセス・トヨトミ』が原作のファンタジー作品です。

いずれも映像化された『鴨川ホルモー』、『鹿男あをによし』と並んで、万城目学の「関西三部作」と呼ばれています。

設定は面白い

原作は直木賞候補にもなった小説とのことで、設定がとても面白いです。
まずは、主な登場人物のご紹介を。

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東京から大阪へやってくる「会計検査院」の調査員三人。

松平 元(堤真一)
 厳しい調査で恐れられる上司。あだ名は「鬼の松平」。
鳥居忠子(綾瀬はるか)
 おっちょこちょいの直感派。あだ名は「ミラクル鳥居」。
旭ゲーンズブール(岡田将生)
 ハーバード卒のエリート。日本人とフランス人のハーフ。
「会計検査院」とは
国の行政機関で、国家予算が正しく使われているか独立性をもってチェックを行うところ。

つまりは公的機関の中でも、ひときわ "お堅い"、"不正に厳しい" 機関ということですね。

その調査員である 松平・鳥居・旭の三人が、実地検査のために大阪に派遣されます。検査対象の中には、謎の団体「社団法人OJO」(大阪城跡整備機構)が含まれていました。

リーダーの松平は、実地調査を進めるうち、OJO に不審な点を見つけます。 さらに調べてみるも証拠は掴めず、疑惑はつのるばかり。「実体はあるのか」「何かを隠しているのでは」……?

はたして、OJO は何をしている団体なのか!?

本作の前半では、この疑惑が徐々に描かれます。
わたしも真相が知りたくて、「怪しい~!」「何が隠されているの?」とワクワクしながら観ていました。

調査の対応窓口である OJO の担当者(笹野高史)、OJO の向かいにあるお好み焼屋の店主(中井貴一)など、「何かあるな?」感をうっすら匂わせているんですよ~。気になるではないですか!笑

ツッコミどころ満載

このように、前半は期待感を持たせてくれる流れなのですが――。
ここでもう一度、最初の見出しタイトルを思い出してください。

"設定  面白い"

でしたね。笑

・・・

後半、いよいよ OJO の正体が明らかになっていきます。

そこで語られる OJO の実態(存在目的、これまでの経緯、掟、など)も「もしも本当にそうだったら?」と想像すると、とてもユニークで面白い内容です。

そんな発想、どこから湧いてくるんだろう♩ 小説家ってすごいなぁ。いつも感心してしまいます。架空のお話を自由に考えられるって、本当にすごい。しかも面白いんだもの!

・・・

でも、前半で期待してしまった分、後半の展開に不満が……。

終盤で語られるところによると、本作のテーマは「父と息子の絆」らしいのですが、わたしにはいまひとつピンとこなかったかなぁ。記憶にもあまり残っていないんですよね……。

ただ、わたしは原作を読んでいないので何とも言えません。小説では、感動する納得の終わり方なのかもしれません。

では「この消化不良な感じは、なぜ?」と考えると、たぶんストーリーが云々というよりは、映画としての "見せ方" なのでは? と。

そもそも、ストーリーの核心である「あるもの」は、秘密裏に守る必要があるの?
綾瀬はるかさんは、胸を揺らして無人の大阪を走る必要があったの?
(テレビ放送時には Twitter が大賑わいでしたね。笑)

こと綾瀬はるかさんの件のシーンについては、たぶん男性ファンへのサービスなのだろうなぁ、というのはわかるけれど、スローモーションにするそのセンスが……。"あざとい" というか、"浅い" というか……。

わたしね、テレビ局が制作に関わっている邦画(特に近年の某局の作品)については、どうしても懐疑的になってしまいます。

「こういうの出しておけば観客は喜ぶでしょ?」というテレビ的な考えが、邦画のクオリティを下げている一因のような気がして。

黒澤明、小津安二郎、溝口健二、野村芳太郎、山田洋次――。過去の邦画に素晴らしい体験をさせていただいた一人の映画好きとしては、悲しいことです。

中井貴一が素敵♩

さて。気分を変えて、中井貴一さんのこと。
中井貴一さん、わたし好きなんですよね~!

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そこに映っているだけで、佇まいが絵になる、画面が締まる。そういう俳優さんだと思います。

時代劇を演じても、しっかり重厚さを表現できる存在感がありますよね。セリフまわしも、薄さや軽さがないので説得力がある。

平成を経て今は令和の時代になりましたが、昭和の頃の俳優さんはそういう方がたくさんいました。高倉健さん、緒方拳さん、丹波哲郎さん、笠智衆さん、勝新太郎さん、大滝秀治さん、渡瀬恒彦さん――。みんな、故人になってしまいました。寂しいなぁ。

そう考えると、現在も活躍されている俳優さんの中では、中井貴一さんって貴重だなぁと思うのです。

『壬生義士伝』も好きだし、テレビ東京の新春ドラマ『娘の結婚』(2018年)も良かった! 

余談ですが、他の俳優さんで好きなのは、長塚京三さん! 佐藤浩市さん!
大好き♡

もっと若い世代で「実力あるなぁ」と思う俳優さんもいるのですが、やはり "存在感" という点ではベテランにしか出せない味があるので、ね。(あ、本作主演の堤真一さんも好きですよ!)

というわけで、好きな俳優さんがキャストに名を連ねている作品は、つい観たくなってしまいます♩


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