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素敵なウソの恋まじない

鑑賞時の感想ツイートはこちら。

2015年のTV向けイギリス映画。英国BBCのクリスマス番組として放送されました。原作は『チョコレート工場の秘密』などの児童文学で知られるロアルド・ダールの小説 "Esio Trot"。ダスティン・ホフマン&ジュディ・デンチの共演で映像化した、ハートウォーミングなラブストーリー作品です。原題 "Roald Dahl's Esio Trot"。

内気で心優しい老人ホッピーさんは、アパートの階下に住む女性シルバーさんに恋をするが、思いを打ち明ける勇気が持てずにいた。そんなある日、シルバーさんがペットのカメの成長が遅いことを心配していると知ったホッピーさんは、彼女を喜ばせるために100匹ものカメを買い集め、彼女のカメを少しずつ大きなものに取り替えていくが――。

(映画.com 作品情報より)

主演は、シャイで心優しいおじいさん「ホッピーさん」役に『卒業』『クレイマー、クレイマー』『新しい人生のはじめかた』のダスティン・ホフマン、ホッピーさんが恋するチャーミングなおばあさん「シルバーさん」役に『007』シリーズ、『恋におちたシェイクスピア』のジュディ・デンチ

共演は、ナレーションでホッピーさんの恋の行方を語る語り部に『はじまりのうた』のジェームズ・コーデン、ほか。

イケダ先生の想い出と、ロアルド・ダールのこと。

児童文学がお好きなら知らない人はいないであろう、ロアルド・ダール。イギリスの作家です。代表作『チョコレート工場の秘密』が有名ですね。

映画『チャーリーとチョコレート工場』(2005年)を観て、この作品を知った方も多いことでしょう。(監督:ティム・バートン/主演:ジョニー・デップ)

ウンパルンパやリスたちが美味しそうなお菓子をつくる、ウォンカさんの不思議な工場。風変わりで、奇妙で、面白いですよね~!

・・・

さてさて、わたくし、心の中でひそかに誇らしく思っているのが、このお話(チョコレート工場の秘密)を子どもの頃に読んでいたこと。いえ、本当は “読んでもらっていた” と言った方が正確かもしれません。

わたしの小学4年の時の担任は「イケダ先生」というメガネをかけた若い女性の先生で、大学を卒業したてほやほやの、スーツ姿が初々しい新任の先生でした。そういえば、体育の授業の時のジャージも、イケダ先生が着ているのは、他のベテラン先生たちのジャージと違って、あたらしくてぴかぴかだったなぁ……。

イケダ先生は本が好きな人でした。おとなしい物静かなタイプで、大きな声を出すのが苦手で、やんちゃなクラスの男子にはちょっと舐められてしまう時もありました。いかにも “本の虫”、“読書に夢中だった元・文学少女” といった風情。

あれは昼休みだったか放課後だったか忘れてしまったけれど、クラス図書に加わった新しい本たちに、よくイケダ先生が慣れた手つきで透明フィルムのブックカバー(図書館の本でよく見るあれ)を器用に貼っていた姿を覚えています。その様子に興味津々なクラスの女子たち(わたしも含め)数人で、ときどきお手伝いさせてもらったこともあったっけ。今思えば、もしかするとイケダ先生は図書館司書の資格をお持ちだったのかもしれませんね。

・・・

そんな本を愛するイケダ先生は、折にふれ、クラスのみんなに本を読み聞かせてくれました。『大どろぼうホッツェンプロッツ』シリーズや『名探偵カッレくん』のシリーズ ――その中には、ロアルド・ダールの『チョコレート工場の秘密』もありました。どのお話も、ほんとうに面白くてワクワクしたのを覚えています。クラス全員が「先生、つづき読んで!」「読んで読んで!」と、本の時間を楽しみにしていました。

新任ゆえ統率力が弱く、ちょっと頼りないところもあったけれど(子どもって意外にそういう大人の事情をしっかり感じ取っているものですよね)、心から本を愛するイケダ先生だからこそ、児童文学の名作にふれ、想像の世界を自由に飛びまわる楽しさ心の豊かさをわたしたちに与えることができたのではないかなぁ……なんて思います。

子ども時代のそういう体験って、のちのち大人になった後も本に親しむ素地になるでしょうし、わたしのように、こうして50代を迎えても「本にまつわる楽しい想い出」としてずっと心に残っているのですから、一生の宝物ですよね。

この場を借りて、お礼を言わせてください。
イケダ先生ほんとうにありがとうございます

・・・

ところで今、この note を書くためにロアルド・ダールについて調べていたら、驚くべき記述が――

007は二度死ぬ』(1967年)の脚本もロアルド・ダールが担当しているんですね!

なんでも、「007」シリーズの原作者 イアン・フレミングはロアルド・ダールの友人だそうで、そのご縁でフレミング原作の映画『007は二度死ぬ』と『チキ・チキ・バン・バン』(1968年)の脚本をダールが手掛けた、とのこと。

映画のみどころ

さて、すっかり想い出話に花を咲かせてしまいましたが、本作『素敵なウソの恋まじない』の感想など。

○大人のおとぎ話♩

映像が可愛い♩ 大人のおとぎ話。

(鑑賞時の感想ツイートより)

と、当時のツイートにも書いたように「大人のおとぎ話」と表現するのがぴったりな、夢のある可愛らしいテイストの作品です。

これが物語のキーとなる「おまじない」。
ロアルド・ダールの童話らしいユーモア。

予告編をご覧になると、より雰囲気をお分かりいただけるかと。

○ホフマン&デンチの共演!

ダスティン・ホフマンの笑顔は、いくつになってもキュートだなぁ。ジュディ・デンチがいつも綺麗な色のお洋服を着ていて、ラブリーおばあちゃんでした。

(鑑賞時の感想ツイートより)

ダスティン・ホフマンジュディ・デンチ。どちらも個人的に大好きな俳優さんなので、この二人が共演していることも大きなみどころのひとつ。

円熟した二人の俳優が醸し出す雰囲気……なんとも良い感じ♩

J・デンチの着ているお洋服がいちいち可愛くて、「自分もおばあさんになったら、こういう服を選べるキュートな女性になりたいな」と憧れます。

○助演はカメさん

カメさんも可愛い。

(鑑賞時の感想ツイートより)

わたしは子どもの頃にカメを飼っていたこともあり、爬虫類とか両生類とかわりと平気なタイプというか、むしろ好き! 可愛い!♡笑
ご存じですか? カメってね、ちゃんと飼い主に懐くんですよ♩

素敵なおうちに住んでいるシルバーさんのカメさん。
カメさんに語りかけるホッピーさん(ダスティン・ホフマン)。

○舞台となるアパートも素敵です

おまけ的要素になりますが、建築が好きなわたしとしては、こちらも注目ポイントでした。

そう、あと、Mr.ホッピーとMrs.シルバーが住んでいるマンションが、面白い建築で。
エレベーターホールが吹き抜けっぽくなってて、ぐるりと大きな螺旋スロープがあるの。ベランダは、上下階の住戸が互い違いに出っ張っている。エレベーター内部は、ピカピカで素敵。イギリスに実在するのかなぁ?

(鑑賞時の感想ツイートより)

建築に興味がおありの方は、そのあたりも是非チェックしてみてください。


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