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#07 社名決定 「ナラティブベース」

パッチワーク型集合体人材?!

法人化を決めたころは、まだ4、5名のチームだった。それぞれができることを持ち寄りながら、子育てや別の仕事などの制約の中で互いをフォローしながら成果を出していた。そして、仕事を通して互いのスキルを学び合い、できることを増やして、次の仕事に繋げた。いわば、ひとりひとりが明確な役割とスキルを約束し協力しあうというよりも、融合して学び合いながら成果を出していくパッチワーク型集合体人材のような感じだった。だんだんできることが増え、成長するという意味では「生き物」にも近い。

そのころ、メンバーの一人が言ってくれた「ひとりでスーパーマンになれないのならば、何人かでスーパーマンになればいい」という言葉があった。まさにそんな感じだった。メディアではピカピカの職歴とスキルをもったママたちがかっこよく苦労話を語っていた。けれど現実は違う、キャリアなんか人に話せるほど出来上がらないまま、いろんな事情で滞っていた(笑)。「苦労話が苦労のまま、かっこいいところまで行き着きません!」そんな泥臭さが大好きなわたしは、この働き方をつくるにはぴったりのリーダーだったと思う。

モノローグからナラティブへ

そんなこんなで、わたしが語っていた「株価暴落」や「5の2乗」といった苦労話が、誰かに共有され「ひとりで勝ちに行かない」という工夫が生まれ、その工夫から「誰かの信頼から別の人の得意が売れる」だったり、「学び合って仕事を増やす」という価値が生まれていった。

対話から価値が生まれる場を作っていたという自負もあったし、大切にしたいという思いから「ナラティブベース」という社名を決めた。

自分なりの答えを語れる場

社名の由来は、ちょうどそのころものの本で「ナラティブベースド・メディスン」という医療用語を目にしたのだ。「エビデンスベースド・メディスン」の対義語で、エビデンス(数値的な証拠)を元に治療方針を決めるのではなく、ナラティブ(患者の語り)を元にその背景を理解して治療方針を決めるという考え方だ。

誰もが納得する目に見えるエビデンスは確かに正解の根拠としては頼もしい。でも、あいまいで共有されづらい個人的な情報の中にしあわせの答えがあることは明らかだった。自分なりの答えをもっと働き方の中に見出したい。まさに、ナラティブベースドな基地、ナラティブベースを作りたいと思った。「事業」を起こしたいというよりは、働き方を、語り、つくる、「場づくり」をしたいという想いでの法人化だった。
東日本大震災が起きた2011年のこと。

つづく

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