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『TS衛生兵さんの成り上がり(戦場日記)』という素晴らしい作品について

この間、本屋で「TS衛生兵さんの戦場日記」という本を見つけ、
そういえば聞いたことあるな、と
TSモノと戦争モノが好きな私は
購入し読んでみたのだが、

ドチャクソに良かったので是非全人類に読んでいただきたい
と思い、こうして感想を綴ることにした。



あらすじ

この作品のあらすじだが、
まあ基本的には題名の通りである。

ちなみにこの記事の題名でなぜ
『TS衛生兵さんの成り上がり(戦場日記)』と書かれているのか
不思議に思った方もいるかもしれないが、
これは書籍版とweb版で題名が違うからだ。どちらで書くか迷った結果このような形にした。
この違いについては後程解説する。

話を戻すが、あらすじとしては
少女として異世界に転生したFPS廃人が、衛生兵となって過酷な戦場を生き抜く話である。

…情報量が多いな。
もう少し詳しく言うと、

主人公トウリ・ノエルは、孤児でありながら回復魔法の素質を認められ、衛生兵(兵士の治療を行う兵士)として戦場に行くことになる。
本来衛生兵は後方勤務のはずなのだが、トウリは例外的に最前線の突撃部隊のガーバック小隊に配属されることになったしまった。
15歳の非力な少女であるトウリは、ファンタジーでありながらも地獄のようなこの戦場でどう生きるのか。

といった感じだ。

…だいぶ、幼女戦記ですね。

まあ実際、この作品、
「幼女戦記」作者のカルロ・ゼンさんが激推ししているので。

↑カルロ・ゼンさんのコメント


私も幼女戦記好きだが、正直TS衛生兵さんの方が好きだったりする。
確かに、似ているところはあるし、幼女戦記好きならTS衛生兵さんも好きだと思うが、読んでみると
全く別物で、全く別の良さがある。

よって幼女戦記好きな人はTS衛生兵さん読んでほしいし、
そうじゃない人も読んでみてほしい。
もう全人類読め。



個人的に思うこの作品の良さ

まず前提としてこの作品は、戦争描写がエグイ。
あまりに無慈悲で残酷で、人がバンバン死ぬ。

しかしそれは戦争というものを正面からリアルに描いているが故である。

戦争の醜さ、辛さ、痛さ、苦しさ、非道さ、無意味さ、虚しさを
これでもかと書き記している。

なんかもう教科書に載せてほしい。
道徳とかの。

キャラクターも容赦なく死ぬので結構メンタルにくる。
何回かもう読むのやめようかと思った。

だが、影が強くなるほど光も目立つというもので、
とんでもなく感動するシーンがいくつもある。
普段の戦場が酷過ぎるから、少し平和な日常回があったときなんかはまぶしすぎて
目がつぶれた。

ちなみに私はある話(web版78話)でありえないくらい号泣した。
ヴァイオレットエヴァーガーデンより泣いた。
小説でこれなのだからアニメ化でもした暁には多分脱水症状で死ぬ。

戦場で戦い抜く人たちの想いを、
儚いその命の輝きを、
戦友との歪かもしれないけど確かな絆を、
痛いくらいに感じられる作品になっております。是非。


私としてはそんな人間ドラマ的な部分が魅力的だと思ったが、
普通に戦争モノとしても面白い。
イメージとしては第一次世界大戦だろうか。

戦争の戦術や戦略もリアルでよく考えられている。

異世界なので魔法があるのだが、チートなどは無く、
衛生兵は回復魔法を4,5回しか使えないし、
盾の魔法も個人差があるが決して無敵になるわけではない。
無理ない現実的な設定なので、この魔法をどう使うか戦争で工夫されるのも面白いところなのだ。
回復魔法は貴重なので、自然治癒が見込める患者には使わないし、使う相手を重症度によって見極めなくてはいけない。場合によっては見捨てるのだ。
盾の魔法も、板のように張るのではなく、相手の攻撃を受け流せるように三角形で張り、斜状防御をする。

ファンタジー要素の魔法はこの程度で、基本的に塹壕戦で銃を撃ち合うので、この世界の戦争とあまり変わらない。

普通に戦争のドンパチとか、軍隊同士の殴り合いがみたいぜ!
って方にもお勧めだ。


ちなみにタイトルにもあるTS(性別が変わること)についてだが、

ぶっちゃけTSである意味はないし必要性もない。

普通の15歳の少女としてみてもそんなに違和感がない。

でも俺はTS大好きだから!
この作者のまさきたま氏もTS大好きなだけだから!
ありがとう作者!!

TS苦手って人もそこまで意識しなければ問題ないと思います。

でもなあ上手く言語化できないけどTSっていいよなあ。
TS好きな同志の方々は作者のほかの作品も見てみてください。
すごいいいですよ(語彙力)。



「成り上がり」と「戦場日記」の違い

原作、というか元々「小説家になろう」というサイトで連載していた
web版が「TS衛生兵さんの成り上がり」であり、
それを書籍化したのが「TS衛生兵さんの戦場日記」である。

web版では2024年3月29日現在、170話まで投稿されており、
書籍版ではまだ二巻しか出ていない。

違いとしてはweb版が終始主人公のトウリ目線なのに対し、
書籍版はトウリの残した日記とそれを読む男目線で話が進んでいく。
しかし、形式が少し変わっただけで内容自体はほとんど変わっていない。
私は書籍版を買うべきか少し迷ったが、

やっぱりすごい好きな作品だから普通に買った。
大丈夫!1430円なんて昼食二回我慢すればいいだけだから!

書籍版を買うメリットとしては、
購入特典とか、イラストとか、本の質感が良いとかがあるが、

実は書籍版のトウリの日記を読む男の正体が驚きの人物で。

わー生きとったんかワレ、大きくなったなあ!みたいになりました。
トウリの日記を読んでいくこの男の話はweb版にないので、個人的には是非書籍版買った方がいいと思います。

ちなみに漫画版もあったりします。


そんなこんなで、今回この作品を紹介させていただきましたが、
正直言いたいことはもっといっぱいあります。
ですがとんでもないネタバレになってしまうので機会があれば別の記事に書こうかなと思います。

まさきたま先生、素敵な作品をどうもありがとうございます。


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