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High Tech High現役教師による PBL実践(課題学習型教育)


今年の5月に設立されたという一般社団法人SOLLA による教育イベント、Learn by Creation に参加してきた。


2日間にわたって行われるイベントは、教育関係者、企業、親子・子育て関連のものも多く展開される。
会場にはボランティアと思しき方のお子さんも多くいて、それはとても活気にあふれていた。

一番の目的は、High Tech High(以下、HTH)の現役教師の方のお話。
HTHとは、アメリカ・カリフォルニア、サンディエゴにある公立学校。徹底的に子どもに「なぜ?」を考え抜かせようとする教育法が、いま注目を浴びている。
以前、以下の”Most Likely To Succeed”というドキュメンタリー映画の感想を書いたのだけれど、その舞台となっている学校でもある。

HTHの教育は、PBL(Project Based Learning)、「課題解決型学習」と呼ばれる。受動的に教えを乞うのではなく、生徒自ら考え、問題を発見し解決する能力を育てることを目的とした教育方法だ。
それを実践していくためには、生徒の自発性、感情、様々な事柄を「引き出す」ことが教師の役割。学習するためのサポートをする、といった位置づけ。

勉強しなければならない、そう感じてしまうと生徒にとってきっと苦痛だし、あるものに対して(例えば人前での発表とか)恥ずかしい、苦手、と感じている子どももきっといるだろう。
けれど、その苦手意識を少しずつ取り外すサポート — 視点を変えたり工夫をするための何か ―  をちりばめることで、子どもはそれを拾い集め、生かしていく。教師も生徒も、柔軟でいることがきっと求められる。
でも、だからこそ成長の度合いも高い。

課題を見つけられるから、自分で考えるアタマを鍛えているから、学校を卒業した先も見据えることができる。

今回は、HTHの教師である
ジョン・サントス氏(高校教諭・生物学)、ジャメル・ジョーンズ氏(小学校教諭)が登壇。

教師はデザイナーであり、処方箋をあげて考え方の一例を提示する、という表現を講演の中でされていた。「教える」という言葉ではなく、「一例を提示する」って選択の余地があるというのが、HTHの概念なんだ、と感じる。

また、学習体験の設計として、
生徒からのフィードバックで常に「調整」を加えていく、という話も印象的で。生徒がひとりひとり違うように、意見や感情も異なるのだから、学習空間も変化するもの、調整が必要であるという前提の下で動いている、そんなお話だった。学習環境・体験そのものを生き物としてとらえる考え方も、改めて触れてみるととても面白く、興味深い。
(是非とも、彼らの実践するワークショップなど、HTHに関連する体験をしてみたかったのだったけれど、あまりの反響ぶりに見学すらもできなくて、少々残念でした。。。)

そのほか、印象的だったものとして、
「わたしたちは、バスをもっていないのです」という言葉。学校として大人数が移動するためのバスを保有していないので、教室外の学習において、保護者にお願いするとのこと。保護者にも「教育の現場」に入ってもらうことがきっと重要なのだろう。

助けを求めれば協力してくれる、という先生方の言葉。課外学習だと先生が引率でバスなどに乗って、、というものを当たり前のように想像していたので、自分の中の先入観にまたひとつ気が付いた。


学びは教室だけではない、社会・コミュニティとの「統合」がテーマ、ということも言われていたのだけれども、その「統合」にきっと保護者も含まされているんじゃないかな。

あと、前述の映画でも触れられていた、作品の展示や発表について。
先生が見て終わりというわけではなく、保護者にも見てもらう機会を作る。

―「子どもたちが声を上げられる安全な場はどう作るの?」
意見を酌み交わすこと、「声を上げる」ということが自分たちにとって大事、と伝えていくことが必要、とのこと。

作品の展示や発表、声を上げること… あらゆる面で子どもたちにとって必要となることのヒントをちりばめて、子どもたち自らに感じ取らせる、気づかせる。まさしく、プロジェクト・課題を見つけ、乗り越えていく学習法。


概念的なものは、以前よりも解釈しやすくなった気はするけれど、もっと実践に落とし込みたい。
自分だったら、なにをしたら効果的だろう?また、他の人にそれを適用するとしたら、何があればよいだろう?
…「具体化」。自分の課題だな。



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