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江戸川乱歩賞贈呈式

こんばんは。

生涯40回以上の引っ越し、職も転々とした江戸川乱歩の終の棲家となったのは現在の東京都豊島区。
そこで昨日開催された「第67回江戸川乱歩賞」「第74回日本推理作家協会賞」の贈呈式は、初の一般公開ということで、推理小説好きの方の間でちょっとした話題になったのではないでしょうか。

日本推理作家協会代表理事である京極夏彦さんの風格のあるナレーション入り映像で幕を開けた贈呈式。
詳細は様々なニュースでも紹介されていますが、個人的には「小説は不要不急のもの。特にエンターテインメント文芸は要不急の塊。しかし、人は不要不急なくしては決して豊かな人生を送ることはできない」という京極さんのお話が印象的でした。
出版不況と言われて久しく、さらに100年に一度の未曾有の変化に遭遇してもなお、魅力あふれる作品が続々と世に送り出されています。

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今年の受賞は、10年ぶりのダブル受賞。
受賞作である伏尾美紀さんの『北緯43度のコールドケース』と桃野雑派さんの『老虎残夢』は、会場内に展示されていた他、贈呈式では作品をイメージした映像も上映されました。
審査委員の講評では、小説としては下手と言われつつも魅力的なキャラクターとストーリー展開が魅力で早くもシリーズ化が待望されているという『北緯43度のコールドケース』。
南宋時代を舞台にした侠客+推理小説の合わせ技、古典的な密室系ミステリーでありながらも歴史ものという江戸川乱歩賞の歴史の中でも新たな切り口である『老虎残夢』。
登竜門の賞であるだけに、両作とも原稿時点では粗削りな点もあったそうですが、次回作も楽しみになる二冊でした。

「事件が面白い」「登場人物が魅力的」「警察の描写がリアル」と選考委員が称賛!
博士号を持ちながら30歳で北海道警察の警察官となった沢村依理子。
ある日、5年前に未解決となっていた誘拐事件の被害者、島崎陽菜の遺体が発見される。
犯人と思われた男はすでに死亡……まさか共犯者が……? 捜査本部が設置されるも、再び未解決のまま解散。
しばらくのち、5年前の誘拐事件の捜査資料が漏洩する。なんと沢村は漏洩犯としての疑いをかけられることに。
果たして沢村の運命は、そして一連の事件の真相とは。
組織に翻弄されながらも正義を追い求める沢村。
警察官として、ひとりの女性として葛藤し成長していく――。
最侠のヒロイン誕生!
湖上の楼閣で舞い、少女は大人になった。
彼女が求めるのは、復讐か恋か?
各選考委員絶賛!
綾辻行人「論理的に真相を解き明かしていくスタンスにはブレがなく、スリリングな謎解きの演出も◎」
京極夏彦「南宋の密室という蠱惑。武侠小説としての外連。特殊設定ミステリという挑戦。愉しい」
私は愛されていたのだろうか? 
問うべき師が息絶えたのは、圧倒的な密室だった。
碧い目をした武術の達人梁泰隆。その弟子で、決して癒えぬ傷をもつ蒼紫苑。料理上手な泰隆の養女梁恋華。三人慎ましく暮らしていければ、幸せだったのに。雪の降る夜、その平穏な暮らしは打ち破られた。
「館」×「孤島」×「特殊設定」×「百合」!
乱歩賞の逆襲が始まった!


贈呈式ではもちろんあの有名なトロフィーも目にする機会がありました。
江戸川乱歩といえば往年の眼鏡をかけたイメージがありましたので、実物のトロフィーを間近で目にすると「うぅんっ、眼鏡がない?!」と何だか妙なところで新たな発見もありました。
像は意外にも?猟奇殺人事件の犯人扱いする怪文書が届けられたとは思えぬような、真面目そうなお顔立ち。

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また、会場にていただいた見事な箔押しの冊子は、受賞者の言葉はもちろん審査委員のコメントなど、ファンには嬉しい舞台裏のエピソードも掲載された特別感ある記念品です。

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普段は目にすることのない文学賞の舞台裏をちょっと覗き見ることのできた一日でした。

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