愚か者の石
「愚か者の石」は、河崎秋子さんの直木賞受賞(『ともぐい』新潮社刊)後、第一作。
「締め殺しの樹」と同様に開拓期の北海道を舞台にした作品です。
今作の主人公は囚人。
本人曰く、冤罪と捉える思想犯の刑期は10年ごえ。
慣れない北の地で環境も価値観も全てがくつがえる日々を送る中で、変わるもの変わらないもの。
決して明るくない世界観であるにも関わらず、ページを繰る手がとまらない。
古本食堂 新装開店
原田ひ香さんの「古本食堂」シリーズ第二弾。
前作に引き続き主人公二人による神保町の古書店を舞台にした作品。
今回も本と食を中心としたストーリーで、本好きには嬉しい内容。
美希喜ちゃんの親戚はキャラが濃い人物が多め。
新登場の親戚3姉妹は別作品の主人公にもなれそうな存在感が漂っています。
珊瑚さんの残る人生の過ごし方、美希喜ちゃんの展望、続編も今から楽しみです。
愛と死
武者小路実篤の『愛と死』。
比較的新しい書籍を読むことが続いていた中で、「古本食堂」の影響を受け名作にも手を伸ばしてみました。
「古本食堂」の中では泣ける作品と紹介されていたものの、個人的には?でしたが、近代日本の純愛小説ということで若い頃に手にしていたならばまた印象が違っていたのかも?
最近ではありがちな展開ではあるものの、当時の恋愛観や相思相愛の二人には、純愛とは縁遠くなった今読むと思うところがあります。
函館グルメ開発課の草壁君
森崎緩さんの『函館グルメ開発課の草壁君 お弁当は鮭のおにぎらず』は、大好物のお仕事+グルメ小説ジャンル。
冒頭の印象では缶詰アレンジ系の料理かと思いきや、中盤以降では北海道の食材をいかしながらお弁当作りに励む。
新入社員かつプライベートの住環境も変わったばかりの主人公。
仕事や環境に慣れるだけで精一杯では?という心配もよそに、日々お弁当を中心とした料理にいそしみます。
自宅でも再現できそうなお手軽レシピに興味津々です。
どうやら登場人物である小料理屋の播上さんを主人公とした作品もあるようです。
「函館グルメ開発室の草壁君」シリーズとして、今後も続くのかしら?
関連作品も楽しみな一冊です。