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今週の読書録

今週は三連休もあり、いつか読もうリストに入れていた作品をまとめ読みできました。
いつもの美味しい小説から話題の作品まで4冊を読了。

一足早い夏休み気分で、予定の空いた日には空いてるテラスでお気に入りのお茶を味わいながらゆったり読書タイム。

手軽に持ち歩ける文庫サイズはお出かけ用に

日中にはお昼寝をして、日が陰りつつある夕方からはお散歩も兼ねてカフェまで移動。
まだまだ日差しは強いので、日焼け対策を万全にして、空いているテラス席でゆったり読書。
海の見えるテラス席でのんびり過ごすことで、日ごろのモヤモヤも晴れていくようです。

海が見えるカフェ

おうちごはん修行中

メタボ予備軍からの飯マズ女子が奮闘する食生活改善計画。
『居酒屋ぼったくり』など、料理系作品で人気の秋川滝美さんが描く、自炊ラブコメ?

男性優位の建築業界で仕事に邁進するデキル女。
ただし、仕事の能力とは反比例するように料理は壊滅的。
えっ、温めるだけでは…?!と思うようなレトルトを爆発させるほど。

知らぬは当人ばかり也、よくある同僚とのラブコメも組み合わさると見覚えのある王道展開に。
先が読める展開ながらも、軽妙な掛け合いと秋川さん特有の料理描写でファンならずとも楽しく気軽に読み進めることのできる一冊です。

仕事はキャリア、でも料理と恋は超初心者!? オフィス×自炊ラブコメ!

総合建具会社で営業一筋の和紗は仕事漬けの毎日。同期の村越と張り合い、柿本課長に片想いしながら、接待と残業で外食三昧の暮らしをしていたら、34歳にしてメタボ予備軍と診断されてしまった! 健康のために和紗が自炊を始めると、営業トーク用にと村越も料理を頑張りだし、村越に想いを寄せる後輩の風花も参戦してきて……。
仕事はキャリア、料理と恋は超初心者な和紗のオフィス×自炊ラブコメ!

Amazon書籍紹介より

テスカトリポカ

第165回直木賞、第34回山本周五郎賞を受賞した昨年随一の話題作。
500ページを超す圧倒的な存在感に及び腰でしたが、三連休を利用してついに読了。

佐藤究さんの『テスカトリポカ』は、名のある登場人物はもれなく犯罪者。
逮捕や懲役の有無を問わず、皆何らかしらの罪状がつく悪い人。
悪役特有の陰のある魅力などでは片付かない悪人ぞろいです。
世間の倫理観や常識を持ち合わせている人が苦悩するほどのヤバイ人たちが繰り広げる犯罪ビジネスの異質の作品。

その中でも群を抜いてヤバイ、メキシコの売人バルミロ。
麻薬ビジネスの次に目をつけたのは、生きた人間から心臓を取り出す臓器の密売。
足掛け数年、周到に準備したビジネスは巨額のお金を動かすことに。
しかし、当然仲間も一枚岩とはいかぬわけで…

先日の銃撃事件でも騒然としましたが、日本は犯罪の抜け道が結構あるのかもしれない。
社会の抜け道を巧みに利用し、アンダーグラウンドで暗躍する登場人物たち。
社会の、自らの善悪は本当に正しいのか不安になるほど、当然のように続けられる犯罪。
最後に生き残った主要人物のちょっとした恩返しにかすかな光を感じた作品です。

メキシコのカルテルに君臨した麻薬密売人のバルミロ・カサソラは、対立組織との抗争の果てにメキシコから逃走し、潜伏先のジャカルタで日本人の臓器ブローカーと出会った。二人は新たな臓器ビジネスを実現させるため日本へと向かう。川崎に生まれ育った天涯孤独の少年・土方コシモはバルミロと出会い、その才能を見出され、知らぬ間に彼らの犯罪に巻きこまれていく――。海を越えて交錯する運命の背後に、滅亡した王国〈アステカ〉の恐るべき神の影がちらつく。人間は暴力から逃れられるのか。心臓密売人の恐怖がやってくる。誰も見たことのない、圧倒的な悪夢と祝祭が、幕を開ける。

Amazon書籍紹介より

新しい星

昨年の直木賞候補作。
綾瀬まるさんの『新しい星』は、大賞受賞作とは異なり、どこにでもありそうな誰にでも起こりうる日常を切り取ったような作品。

普通の日常である日起こる想定外。
一人では辛いことも一緒に乗り越える人がいる幸せ。
濃密な時間を共にした友人は、家族や同僚などとも別格で、とりつくろうことのない悩みや悲しみもシェアできる存在。

アラサーアラフォーにとっては起こりうるライフイベントを男女四人の視点から語られる短編作品集。
大学時代のサークル仲間の4人の間には男女の生々しさはなく、読んでいても本筋に集中できるので、読了感も良好です。

私たちは一人じゃない。これからもずっと、ずっと
愛するものの喪失と再生を描く、感動の物語

幸せな恋愛、結婚だった。これからも幸せな出産、子育てが続く……はずだった。順風満帆に「普通」の幸福を謳歌していた森崎青子に訪れた思いがけない転機――娘の死から、彼女の人生は暗転した。離婚、職場での理不尽、「普通」からはみ出した者への周囲の無理解。「再生」を期し、もがけばもがくほど、亡くした者への愛は溢れ、「普通」は遠ざかり……。
美しく、静謐に佇む物語
気鋭が放つ、新たな代表作

Amazon書籍紹介より

夢の燈影 新選組無名録

コミカライズ版で連載中の『燃えよ剣』にも携わる小松エメルさんの新選組をテーマにした作品である『夢の燈影』。
単行本ではなかった書き下ろしも含め7名の隊士の視点で描かれる短編集ということで文庫版を手にしました。

今作の主役は、燃えよ剣や映像化作品では脇役や名前も登場しない平隊士を含む7名。
時代の変わり目に生を受け、自らの意思で、もしくは流されるように組織に入った彼ら。
時代の主役とはならなかった人々の視点で語られる、幕末にわずか数年だけ表舞台に登場した新選組のリアルな姿は、主要な新選組関連作品を一通り読み終えた方にこそおすすめです。

新選組――その人斬りに、志はあったのか。男たちに残された最後の夢は、この女性作家に描かれるのを待っていたのかもしれない。日本の夜明け前――幕末維新を駆け抜け、散っていった「新選組」。幹部の華々しい活躍の陰で、語られることのなかった、無名隊士の人生もまた、あった。夢、希望、そして家族と生活。縄田一男氏に「『新選組血風録』以来の収穫」と言わしめた、歴史小説界の新星の文庫化。

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