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部活同期に罪悪感を感じていた自分とのお別れ【エッセイ】

入部のきっかけ

私の母校は中高一貫校で、中学・高校とずっと同じ部活に所属していました。
それが合唱部。

中学一年の時、「必ず何かの部活に所属すること」が必須だったので、
最初は運動してみたいなと運動部なんかも見学をして自分に合いそうな部活を探していました。
しかし、どの運動部も放課後の活動が週三回以上。

初めての電車通学で部活がなくても疲れ果てていた私にとって、
週三回も放課後に運動するのは絶対に無理だと早々に諦めました。

そんな時、出席番号が一つ前の子が
「ここの合唱部に入りたくてこの学校に来たんだ」と言っていて、
話を聞いてみると活動は昼休みがメインで、放課後は週一回だけとのこと。

別に合唱に興味はなかったものの、これなら私の体力でもいける!
と不純な理由で入部しました。


そこそこ真面目に参加していた在学時代

特に歌うことがうまかったわけでも、声量があったわけでもなかった私は、
昼休みはお弁当を一緒に食べるという目的のために音楽室に通い、
時間になると勝手に練習が始まるのでついでに練習に参加していました。

途中半年ほど逃げ回ってサボりにサボった期間があるものの、
それ以外はたまにサボる程度でそこそこ真面目に練習に参加していました。

▽▽サボりの理由

自分以外全員部活を掛け持ちしていて、部長をやれる人が誰もいなかったので、そうなると消去法で自分が部長になる。

なんとかその最悪の事態を避けられないかと、
誰ともクラスが被っていなかったのをいいことに逃げ回っていました。

責任感が無さすぎる笑

一年の逃亡生活ののち、腹を括って部長になりました。
みんなその節はご迷惑をおかけしました。
あとたくさんサポートしてくれてありがとう。

逃げ回っていた時に説教することなく一緒に過ごしてくれた人たちも本当にありがとう。

サボりの理由終わり△△

最初は同期が自分含め三人しかいなかったのですが、少しずつ増えて最終的に六人にまで増えました。

最初からいた私以外の二人はもちろん、
後から入ってきた子たちも歌うことが好きだったり別の合唱部にもともと入っていたりで、
要するにみんな歌うのが大好き。


卒業後の罪悪感

同期は結構仲が良くて高校卒業後もそこそこみんなで会います。

それぞれに合唱を続けていたり、バンドで歌っていたり、声楽科を卒業していたり、一人カラオケに足繁く通っていたり。
みんないろいろなところで歌を続けているようです。

そうなると自然と「またみんなで歌いたいね」という流れによくなるのですが、

私自身は歌に自信はなく、
音がうまくとれないことが気になってしまって合唱が「楽しい」という感覚になれず、

同期で集まって歌ってもどうしても楽しみきれていませんでした。


「みんなでまた歌いたいね」と言われた時に「そうだね!」と返せない罪悪感。

「今度歌のコンサートやるんだ」と言われた時に、
歌にあまり興味がないのに加えてもともとの引きこもり体質が相まって
「行きたい!」と言えない罪悪感。

合唱部に最初からいた初期メンバーのくせに。

そんな罪悪感と誰からも言われたことのない非難の言葉が頭に響き、がんじがらめになっていました。

同期のことは好きだし集まると楽しいけど、
「歌いたいね」の言葉には本心からの同意をすることができない。
そんな状態で10年以上罪悪感と共に過ごしてきました。


とあるコンサートで自分の気持ちに気付く

そんな折、母に誘われてとあるコンサートへ。
誘われるがままに行ったので内容を全く把握していませんでした。

最初はオーケストラのみの楽曲が続いたので
管弦楽のコンサートだと思っていたのですが、

途中で合唱団がわらわらと入ってきてびっくりしました。

オーケストラの伴奏での合唱。

思い出補正がかかっているのだろうとは思いますが、中高の頃の合唱コンクールの、
あの圧倒的なパワーに満ち溢れた高校生たちの合唱の方が圧巻だったなぁ
などと勝手に思い出に浸りながら聞いていました。

しかし、それが最後の曲でひっくり返ります。

小さめのホールだったのもあり、ものすごい声量で殴られたわけではなかったのですが、
なにか鬼気迫るものを感じて、
一緒に歌いたい気持ちが急に、強く湧いてきました。

信じられない。
自分が、一緒に歌いたいと思っている、、、?

本当に衝撃でした。

その後、
「自分にも歌いたいという気持ちがあったのか」と改めて認識して、

在学中は
「歌が好きなわけでもないのになんで合唱部にいるの?」、
卒業後は
「一緒に歌いたいねって問いかけに曖昧な返事しかしないの何なの?」

と勝手に頭の中で非難していた自分が急に赦されたような気持ちになって涙が溢れてきました。
氷が溶けるような。


罪悪感とのお別れ

多分、
「ある程度の人数がいる中でみんなの中に溶け込み、個人が判別できないくらい一つになって歌う」
という行為は好きだったのだと思います。

それが卒業してからは最大六人しかいない少人数になって、
自分という「個」の存在を強く感じてしまい、それが苦手だった。
それだけのこと。

別に歌うことが嫌なわけじゃなかったんだとようやく自分の気持ちに気づくことができて、
本当に救われました。


部活に入ったきっかけは不純だったし、
歌うことが大好きかと言われると分からないまま卒業した。

だけど、歌っているうちにいつの間にか合唱そのものはだいぶ好きになっていたようです。

これからは「またみんなで歌いたいね」と言われれば肯定できる。
実際に歌いたいのは六人でじゃない。
だけどそれは別に伝えなくてもいい。

だって歌いたい気持ちはちゃんとあるんだから。


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