カフェと私、去り際数秒の相性
近所に新しいカフェができたというので、早速出かけました。
カフェや喫茶店に行くことを一種の癒しと捉えている私にとって、そんな場が新しく増えるかもしれないことは、この上ない幸せです。
やっとやっと暖かくなってきて、
服装も気分もなんだか軽やかになったりして。
冬から春に変わっていく、
その中間の季節が私のフットワークを軽くさせるのでした。
出会ってしまった、宝物のようなカフェ
一人で行き、ぼーっとそのお店の空気感、
匂い、人の動きなどを楽しみ、自分の肌に合うと思ったら、また来る。
こんなことを繰り返してみたりなんかして、
私は私のお気に入りたちを作っていきます。
お店の人の雰囲気、照明の色から机の配置まで、
自分にしっくりくるかは、まず行ってみないことには分かりません。
そして今回の私のお目当ては、線路沿いの小さな小さなカフェ。
絵本の中に迷い込んだかのように、可愛らしいお店です。
ドアを開けるとまさしく絵本の中。
ドライフラワーが飾られた窓際、木目調のカウンターには
オーナーであるお姉さんの、世界感たっぷりの小物が並びます。
私は自分の「好き」を見つけるときに、一つ大切にしていることがあって、
それは「鳥肌が立つかどうか」です。
まあ、鳥肌の立ったことがある方なら、きっと分かっていただけるはず。
鳥肌的観点で見ると、
このカフェはもう、私の中の200点満点だったのです。
去り際数秒の
マフィンとケーキを二つほどテイクアウトして帰ろうとしたとき、
そんな素敵な言葉をお姉さんがかけてくれました。
英語圏の国に行くと "Have a nice day !" のように、
別れ際声をかけてくれることはよくある光景だと思います。
けれど、日本だとあんまり聞かない。
「ありがとう」とか「さようなら」などとは違って、
「良い一日を」と言うのは、なんとなくハードルが高い気がします。
だからこそなのか、そんなお姉さんの言葉は
私をほっこり嬉しい気持ちにさせてくれました。
そのカフェの食べ物が自分の舌に合うか、
ということもカフェとの相性を見る上では大切ですが、
こんな素敵な言葉の存在もチェックリストに入りそう。
去り際数秒の出来事で、こんなに心が温かくなるなんて。
お返しの言葉を探す
(ここからは、ちょっとタイトルと内容が違ってしまいますが、
おまけとしてよければお読みください~)
私のいささか反省している点は、
その素敵な言葉に対するお返しの言葉がすぐ出てこなかったことです。
その場では「ありがとうございます」と言ってしまったけれど、
それだと個人的になんだか違う気がする…
そんなモヤモヤを抱えて、2、3回目の訪カフェ。
お姉さんは「良い一日を」のレパートリーを増やし、
その都度「良い週末を」とか「良い夜を」とか言ってくれるのです。
うーん、お姉さんに「ありがとう」以上のありがとうを返したい。
そこで、私はふと過去の留学時代のことを思い出しました。
そういえばあの人たち、"you too !"って返してくれてたな…
思い出すのが遅すぎるというツッコミはさておき、
直訳すぎるかもしれないけれど、
私は「お姉さんも!」と返すことにしてみました。
そのチャンスが訪れたある日、
意を決して私はお姉さんに「お返しの言葉」を述べます。
すると、どうでしょうか。
他のお客さんも「ありがとう」で返すことが
多かったのか、お姉さんはちょっと驚きつつ、
逆に「ありがとうございます」と返してくれたのでした。
ああ、こうして言葉は生きていくんだな、と思った素敵な瞬間でした。
去り際数秒に、
お店の人がどんな言葉をかけてくれるのか、
逆にお客さんがどんな言葉をかけて帰っていくのか。
そんな一瞬の出来事に、
カフェとの相性を見出すヒントがあるかもしれません。
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