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寒さの中の温かさ

スーパーに行くといつも流れているあの安っぽいBGMが、

クリスマスの定番曲に変わっていた。

相変わらず安っぽい。

これではサンタさんも足を外して煙突から降ってきそうである。

少しずつ、世間はクリスマスカラーに染まってきたと感じる。

コンビニではケーキの予約開始のビラ配りを始めて、

どこか余裕がありそうな近くの家はイルミネーションを始めた。

これを見て、電気代が、、。とか思う向暑はるはまだまだ卑しい。

向暑はるは、このクリスマスが近づくに連れて街や人の色が少しずつ変化していくのを見るのが結構好きである。

1年の間にイベントはたくさんあるけど、楽しみ方は人それぞれである。

でもクリスマスはどんな街もどんな人も同じ色に染まっている気がする。

寒さの中に温かさがあるような、そんな矛盾している色。

今日も寒さを感じて目を覚まし、いつの間にか蹴飛ばしていた毛布を今度は離さないように身に包ませる。

なんとか身体を起こし歯をガタガタさせながらもケトルの電気をつける。

朝のホットココアが向暑はるの目を覚ます。

白息がいつもより濃く目の前に広がる。

着替えのために空気と肌が触れ合うたびにまだ温かい毛布に飛び込みたくなる。

それでもモフモフのアウターを着てしまえば実質毛布なのである。(?)

外に出ると家の中とは比べ物にならないほどのチクチクした冷たい空気が、向暑はるの耳や手先に攻撃してくる。

耳の感覚がなくなった頃に、暖房もそんなに効いていないスーパーに飛び込む。

おや。

店内のBGMがクリスマスの曲に変わっていることに気づく。

固まった耳が少しずつ解凍されていく。

寒さの中の温かさだ。

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