私だけ 修学旅行は九州だった。そこでの移動はクラスごとにバス。 ガイドさんもいて、色々と説明してくれていたが私が通っていたのは男子校。あの年代のガキが集まれば大人しいはずもなく、勝手に盛り上がってガイドさんの話なんて聞いてなかった。もちろん私も… ただ、隣の友人が早々に寝てしまったことと、最前列に座っていたことで、やることも無くなった私はガイドさんの話に耳を傾けることにした。 きっとそんなに歴は長くないんだろうなと感じる雰囲気のガイドさんの話し。 つまらなかった。
ひたすらに白球を追い、汗だくで帰ってはゲームをし、ただただやりたい事を好きなだけしていた少年時代。誰に遠慮することなく、自信に満ち溢れていた。 そんな時代が自分にもあったのだ。 いつからだろう、人の意見にばかり耳を傾け自分の声を聞けなくなったのは。 いつからだろう、求められているであろう良い人を演じるようになったのは。 いつからだろう、自分に自信を失ったのは。 きっと自分を裏切ったからだ。 小学校の卒業文集に書いた夢『甲子園にでる』 でも、高校で野球をやらなかった。 女のケ
今回の映画鑑賞はコチラ! 『8番目の男』 韓国初の国民参与の裁判 日本でも始まっている陪審員制度 あくまでも参考程度の参加と言っても、人の人生を左右する局面に立ち会い何かを決めることは簡単なことではない。 冤罪を生むことも、犯罪者に無罪を言い渡すことだってゼロではない。 これは陪審員制度だから気をつけるべきことではなく、人が人を裁く以上、常に気をつけなくてはならないこと。 作中で陪審員の1人が「人の人生を決めるのは初めてだ。だからちゃんとしたい」 この一言に尽きると
今回の読書感想はコチラ! 『いい子のあくび』 高瀬隼子 私は高瀬隼子さんの作品が好き 誰にでもあるであろう、悪意や裏の部分を誇張はしているけど言語化してくれて晒してくれるのが凄く良い 今作もそう 歩きスマホしてる奴のために、なぜ私が避けなければならないのか 結婚式って、お祝いの気持ちとは別に滑稽に見えて気持ち悪い めちゃくちゃ分かる。共感でしかない。 しかも主人公は至って普通の女性たち。 どちらかと言えば真っ当で良い子だった人。 彼女たちが感じる違和感は、内容こそ違って
今回の読書感想はコチラ 『ポイズンドーター・ホーリーマザー』 湊かなえ 6作からなる短編集 表題の「ポイズンドーター」と「ホーリーマザー」は連作短編になっています どの物語もそうですが、立場によって見方が変わる 犯罪者も誰かに愛されている人であり、毒親だと子供に思われている親も我が子を想い、親を罵る子供に正義はあったのか… 誰の意見が正解なのか正義なのかが問題なのではなく、自分の判断は常に平等なのかの視点は持たなくてはと思わされた作品でした
今回の読書感想はコチラ 『悪い夏』 染井為人 初読みの作家さん 見事なまでに転落していく主人公? いや、この物語の主人公は誰だったのか 登場人物、それぞれの視点で章別に書かれていることもあり、全員の本音の部分が分かるのも面白かった ただ、全員がクソ 本人たちは悲劇の主人公なのだろうけど、誰一人まともじゃない 誰一人として同情できないが、自分は大丈夫だと鷹を括るほど楽観視できない怖さも伝わってきました 胸糞悪い読後感でしたが、嫌じゃない… 作者の他の作品も読んでみたいで
今回の読書感想はコチラ! 『映 アムリタ』 野崎まど 読み始めの序盤と読了後の印象がガラッと変わる一冊 序盤は天才と噂される最原と二見のラブコメディの要素が強かったけど、登場人物の軽妙なやりとりはそのままに、後半につれてちょっとテイストが変わっていき、ラストで… 読んでいて何が本当で何が冗談なのかわからなくなりました 天才は能力を人のために使えば神様となり、自己都合で使えば悪魔となる 最原はどっちだったんでしょうか… 初読みの作家さんでしたが、面白かったです!
今回の読書感想はコチラ! 『地雷グリコ』 青崎有吾 昔からあり馴染みのある遊びをアレンジして対戦する 主人公は一見、軽そうな女子高生 めちゃくちゃ面白かった! 昔やったな〜と言う遊びを、ちょっと改良してよくこんなに複雑にしたなぁと思ったけど、それに対しての解も見事で、作者の頭の良さにも驚きでした あのグリコが?ダルマさんが転んだが?こんなにハラハラする展開になるの?? この感覚は読んで体感できてホント良かった 主人公の真兎はまだ一年生、シリーズ化してくれたら嬉しいなぁ
今回の読書感想はコチラ! 『コンビニ兄弟3』 町田そのこ 今回は大人の恋が中心な3編 店長は最初と最後だけの登場でした笑 3話目の「華に嵐」が良かった 前作にあった話しの回収にもなる話でしたが、ツギと華、それぞれの人生を少し垣間見れ切なかったですね 何も失わなかった人と、大事なものを失った人 ただ周りは誰も何かを失った事を知らない ズルいと思ってしまうのもホンネですよね ここでの華のセリフが響きました シリーズの続きがあるなら、次は怪談なのかなぁ笑
今回の読書感想らコチラ 『事件は終わった』 降田天 地下鉄で起こった殺傷事件 その事件によって日常が人生が少しズレてしまった人たちのアナザーストリート 犯人についてはほとんど書かれてません。 明確にこの本の書きたいところはそこではないんだなと。むしろそこが良かったのかもしれません。許されざる犯罪者に焦点を当ててしまうと、思わず犯人に肩入れしてしまい、事件の被害者達への見方がブレてしまう気がしたから。 そしてちょっとファンタジーさを強く感じました。ここは少し違和感を覚え
今回の読書感想はコチラ 『花束は毒』 織守きょうや 読後のこの気持ち… すべてがわかった上で、このモヤモヤする気持ち。すごい作品でした。 物語りはスラスラと進んでいきます。『彼はきっと冤罪だ』と。 だけど、ずっとなんか引っ掛かりは感じるんです。そしてまさかの真相。 その結果を受けて、真実を明かすべきか否かの選択を主人公が迫られます。 それが今まで冤罪で苦しんできた人物に対しての想いなどが交差して複雑な思いにさせられます。 読む前から期待していた作品でした。 想像してい
今回の読書感想はコチラ! 『寄居虫女』 櫛木理宇 かなり精神的にしんどかった… フィクションではあるけれど、実際に起こった事件も参考にしてるって知り、余計に読んでいて辛かったです 他人の家庭に寄生する山口葉月 なんで?どうして従っちゃうの??って思うくらい洗脳の巧さ、そして怖さを感じました ターゲットにされて家族が壊れていくのを見るのは何度も言いますが辛かった… ラストは衝撃というか、かなりひっくり返されましたが、だからと言って気持ちが晴れるわけでもなかったです 寄生す
今回の読書感想はコチラ 「俺ではない炎上」 浅倉秋成 前に読んだ「六人の嘘つきな大学生」が面白かったので今作も期待してました SNS、なりすまし、根拠のない情報の氾濫、無責任で傲慢な正義、炎上… 題材は興味深く、身に覚えのない犯罪に巻き込まれる主人公・泰介の逃走劇には緊迫感もありました。 なにより一番は、自分の思っている「他者からの評価」と実際の他者からの評価の隔たりの大きさを知ってしまった時の恐ろしさ。 SNSでのデマよりも心をえぐられる状況ですね。 これらを踏まえ
今回の読書感想はコチラ 『暗いところで待ち合わせ』 乙一 これはすごい… 物語りは盲目のミチルの部屋に、同僚を駅のホームから突き落とし殺害したアキヒロが身を隠し生活をするという、何とも気味の悪い設定で進みます 読み始めた時は思いもよらなかった、読後のこの感情 感動という簡単な一言では表せない感情でした 境遇は違えど、1人でいることが幸せなんだ、傷付かない唯一の方法なんだと自分自身に言い聞かせている2人 でも、本当は自分に嘘をついていることを分かっている…分かっているけど
今回の読書感想はコチラ 『罪の余白』 芦沢央 娘・加奈を亡くした父親、その娘を死に追いやったであろう娘の同級生・咲を軸にした物語 物語は転落していく加奈の心情から始まります 加奈は死にたくないと思っているし、父親に対してもこんな事になってゴメンと思っている この加奈の気持ちを先に知らされているため、余計にこの後に書かれる父親の苦悩が心をえぐってきます 父親の苦悩と対比で同じく悩んではいるが、それは自身の保身のためである咲の軽薄さ身勝手さが不快さを煽ってきます 父親の同
今回の読書感想はコチラ 『復讐は合法的に』 三日市雫 端的に言えば期待通りに面白かった! そして、主人公エリスがオネエ設定だったことにも驚きでした笑 でも、このオネエなのも男女使い分けられるのが絶妙な設定だったし、復讐屋としての自分の二面性、表裏の顔を持つ相手側の二面性、これらを現す象徴的なものとして男女の顔を持つ二面性の主人公というのもハマってました 四つの短編のためテンポよく、リーガル系ではあるものの読みやすかったです エリスの優秀さカッコよさと、助手のメープルと