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好きを壊した苦しみは
好きなものを封印してしまった話をします。
わたしの好きなものは妖怪です。
中学生の頃『ぬらりひょんの孫』という漫画にとても影響を受けて、妖怪が大好きになりました。
毎日のように妖怪の絵を描いたり、調べたりしていました。
高校の頃は妖怪ものの漫画を描いて、楽しんでいました。
大学に入り、民俗学系も扱うゼミに入りました。
そこで、わたしは小松和彦さんという妖怪に関する書籍を多数出版されている方の本を紹介したのです。
ゼミでの発表ははじめてなので、受け入れてもらえるのかドキドキしていました。
心配とはうらはらに、教授には大ウケで、「こういうの大好きなんだよ」と言ってもらいました。
人生で三大良かったことに入るくらい嬉しかったです。
でもそのゼミの中に、わたしと同じように妖怪が好きな子がいました。
その子に痛烈に批判されたのです。
わたしの妖怪に対する思いと、考え、すべてを否定されました。
あまりのことに、頭を強く殴られたのかと錯覚するほどでした。
そしてなによりもショックだったのは、その子になにも言い返さなかったことです。
捉え方は一つじゃない。違う考えだってある。
あなたはのような考えもあるけれど、私の中の妖怪という存在はこうだ!となぜはっきりと言えなかったのだろう。
私の妖怪に対する情熱が後ろめたいものに変わってしまいました。
わたしは間違っている。わたしなんかが妖怪好きを語ってはいけないのだ。
そうやって自ら自分の好きを壊したのです。
もうその子には会うこともないのだから、気にせず妖怪を好きでいればいいと分かってはいるのですが、否定された記憶は消えません。好きなものが怖くなった自分を受け入れることができるだろうか。乗り越えて、気兼ねなく好きでいられるのだろうか。
今は、少しずつ妖怪に触れています。
いつか心のわだかまりが無くなることを願って。
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