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【書店員の皆さまの感想全文公開】S・A・コスビー『頰に哀しみを刻め』加賀山卓朗[訳]

『このミステリーがすごい! 2023年版』(宝島社)海外編第6位にランクインした前作『黒き荒野の果て』に続き、2年連続でアンソニー賞、バリー賞、マカヴィティ賞の3冠を達成するなど、いま米国で最も熱い作家S・A・コスビー。

そのコスビーの新作『頰に哀しみを刻め(原題:Razorblade Tears)』(S・A・コスビー〈著〉加賀山卓朗〈訳〉)が、2023年2月16日にハーパーBOOKSより刊行されました!

発売直後より大きな反響をいただいていますが、刊行に先駆けて、いち早くお読みいただいた書店員の皆様の感想の一部をご紹介いたします!

なんと感想を送ってくださった方のうち、「お客様におすすめしたい」との回答率は100%。その熱量が伝わってくる、感動のコメントの数々です。

『頰に哀しみを刻め』
S・A・コスビー〈著〉
加賀山卓朗〈訳〉

MWA賞長篇賞最終候補作!
黒人の父親、白人の父親、惨殺された息子たち――
血の弔いが幕を開ける。
「懺悔と贖罪に彩られた哀しき父親たちの挽歌」宇田川拓也(本書解説より)

◆望月美保子(あおい書店富士店)

復讐の炎はやがて誰をも焼き尽くす大火になり、猛獣が獲物を手あたりしだい襲いかかるかのように燃え狂った。
子を想う父親の深い愛と、凶暴なまでのバイオレンスとの対比が切なく、失ったものの大きさと大切さに涙が滲んだ。

◆根本智子(くまざわ書店グランデュオ蒲田店)

ここまで愛を伝えることが下手なオジサンたちが果たしていただろうか? 不器用すぎる2人が、愛する息子のためにつっぱしる。この物語は私にとって2023年ナンバーワンだ!

◆渡邉森夫(ブックマルシェ我孫子店)

こんなにも怒りをストレートにぶつけることができたらどんなにか救われるだろう。
凄惨なシーンも多いが、どこか共感してしまう自分にも驚く。
戦争のような血が流れるのに、読後には感動と祈りが残る。

◆原田里子(マルサン書店サントムーン店)

愛情の深さ、後悔の重みがより大きな贖罪を求め暴力的で哀しい、父親の復讐をなしとげている。犯人に対してだけでなく自身に対しても向けられる、息子たちへの贖いの渇望が行間から血のようににじみ出て感じられる。
「自分とちがう人たちに世界はどう見えるか(P298)」その考えに至るまでの人間の物語でもあるように思う。

◆萩原一良(三省堂書店小田原店)

主人公アイク(黒人・15年の服役経験有)とバディ・リー(白人・酔いどれの乱暴者)2人、老年バディコンビがいい。息子たちと向き合わず、結果失ってしまったことが癒えぬ悲しみとなって2人を襲う。それでも自らの姿勢を正し、きちんと眠る息子たちへの手向けの言葉をかける。それを胸に犯人を追う姿が、ただただひたすらアツい。心の奥にある何かを揺さぶってくる素晴らしい小説。一読して思った、今年はこれで決まり!

◆工藤雅子(東京旭屋書店新越谷店)

目の奥が熱くなるような1本の映画をみた気分だ。父として、男としての"戦い"に心揺さぶられ感動すらしてしまう。
読後、タイトルを見直して、さらに胸がしめつけられた。

◆藤井美樹(紀伊國屋書店広島店)

連鎖する暴力と哀しみにひっきりなしに襲われてものすごく疲弊しました。やってることはとてもひどい主人公二人組なのに、時折垣間見えるキュートさがとても救いでした。(バディ・リーはクリスティンが言ったように憎めない人ですよね)けれどそれを上回る、頭沸騰する程の怒りに、壊さずにいられない収まらないいらだちに、戦慄が止まりませんでした。
もう少し、もう少し何かがあれば。息子達と話せていたら。心がキシキシと鳴りました。圧巻!!

【内容紹介】

殺人罪で服役した黒人のアイク。出所後庭師として地道に働き、小さな会社を経営する彼は、ある日警察から息子が殺害されたと告げられる。白人の夫とともに顔を撃ち抜かれたのだ。一向に捜査が進まぬなか、息子たちの墓が差別主義者によって破壊され、アイクは息子の夫の父親で酒浸りのバディ・リーと犯人捜しに乗り出す。息子を拒絶してきた父親2人が真相に近づくにつれ、血と暴力が増してゆき――。

【好評発売中】著者既刊

  • 『このミステリーがすごい! 2023年版』(宝島社)海外編第6位

  • 「週刊文春ミステリーベスト10」海外部門第14位

  • ミステリマガジン「ミステリーが読みたい! 2023年版」(早川書房)海外篇第16位

  • ゲームクリエイター小島秀夫監督が選ぶ2022ベストミステリー「ヒデミス!2022 小島秀夫が選んだミステリー・ゴールデン・ダズン」選出


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