見出し画像

ハッピーエンドは眠りについてから~ランタナ心の花~【第20魂】

気付けば誠はそこに立っていた。
「ここは最初に来た世界か?おっ体が二十六歳に戻ってる」
「そうです。あなたがお亡くなりになって最初に訪れた世界です」
  振り向くとそこには天塚恵も立っていた。
「天塚さん!何でオレはここに来れたんだ?」
  さあ?とだけ答えた。何も知らないという感じの顔をしたが、実際は天塚が神様の所へ行きお願いをしたのだ。誠の価値を認めてもらうために。
「さあ…って」
まあいいやと頭を掻いた。
「それでは天国に行きましょう」
「あのさ行く前に聞きたい事があるんだけどいい?」
  天塚は何を聞きたいかすぐに分かった。
「早矢華様ですね」
  頷いた。
「大丈夫ですよ、あれからずっと見違えるほど元気ですよ」
「良かった。ありがと」
「それでは目を閉じて下さい」
ゆっくりと閉じた。そして目を開くとそこは、真っ白でも真っ黒でもない。一面が芝生で上には青空があり心地好い風も吹いている。とても気持ち良い環境だ。しかしそこに居る人達は皆寝ている。楽しそうではない。
「ここは凄く気持ちいいのに、何でみんな倒れてるんだよ。天国っぽくないね。地獄が何も出来ない自由。天国がなんでもできる自由って言ってたよね。そうは見えないけど」
  天塚はにこっと笑った。
「なんでもできる自由とは、死ぬ前の人生の続きが夢の中でできると言うことです」
  誠の眉間にシワが寄った。
「どゆこと?」
「もしも死ななかったらって事です。
例えばあなただったらあのまま出勤して、ずっと早矢華様と幸せな家庭を築くでしょ。それを夢で体験できます」
「ほぉ凄いね」
「さあ準備をします。というか好きな場所で寝て下さい。いつでも生まれ変わる事はできますので。どこにしますか?」
「あーオレいいや。今すぐ生まれ変わるよ」
天塚は驚いた。てっきり夢へ出掛けると思っていたのだから。
「かしこまりました。あなたがそれを望むのならば」
「うん。現実のさやちゃんが元気ならそれでいいんだ。夢もいいけど、起きた時の気分が良い気がしなと思うし」
  天塚は頷き。生まれ変わるための説明を始めた。
「それでは説明します。まず何に生まれ変わりたいのか言ってください。ざっくりで構いません。何の生き物なのか、そして種類を。男か女かを教えて下さい。例で言いますと、犬のダックスフンドのオス。と応えて下さい」
  誠はすぐに答えた。
「人間の男で日本人。これでいい?」
「はい、大丈夫です。それでは作業を行います。もう今までの全ての記憶が無くなりますが、よろしいですね」
優しい顔でゆっくりと頷いた。 天塚は誠の目を見て言った。
「最後に言いたい事はありませんか?」
「特にないな。天塚さんありがとう。感謝してます」
  誠から言われて嬉しかった。
「はい」
「あっ、そうだ天使って裸で羽が生えてるんだと思ってた」
  呆れた。
「それでは」
  天塚は両手を大きく横に開いて誠の目の前に真っ直ぐバッと突き出した。すると誠の体が淡い光に包まれながら小さく幼くなり、シャボン玉の様なものに変化した。これが魂だ。
「さようなら。私こそありがとう。あの時、水族館であなたの命を救う事ができて良かった」
  誠の魂はある場所へと飛んで行った。
「応答してください。」
天塚は魂が向かう先に連絡した。
「はい、こちらスピリットデリバリーです」
スピリットデリバリーとは、魂を新しい体に運ぶ会社の様な場所。
「そちらに新魂が向かいました。変わりは、日本人の男性でお願いします」
誠の魂を頼んだ。
「了解です」
連絡を切った。
〔 スピリットデリバリー 側〕
「これから新魂がこちらに来ます。適切な女性はいますか?」
「はい検索致します」
女性はすぐに見つかった。
「適切な女性が見つかりました。宮石 早矢華という女性です。魂が到着次第すぐにお腹へと送ります」
  「了解。」

 【 あなたにとって命とは何ですか?】

価値あるものを大切にしたいと思う
人間本来の温かい心
異性を慕う心
神仏の慈しみ・恵み
人類に示す無限の慈しみ
ものに執着する心
愛とは?
愛情
不思議な力
愛してる
不思議な言葉
愛着
不思議な気持ち
愛惜
不思議な感情
友 ・ 恋 ・ 族 ・ 物
いろいろな形がある
何が大切
崩れたり
芽生えたり
「愛」
生きてる
呼吸している

【第21魂】へ↓↓↓


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?