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「あの人は楽をしている警察」は、自分が不幸になるだけだからやめよう

「あの人、楽してませんか?」という発言のことを、私は「あの人は楽をしている警察」と呼んでいます。

「あの人は楽をしている警察」は、その発言をしている人自身が、自分で自分の人生を不幸にしているので、絶対にやめた方がよいです。

Housmartはラクな会社でも、やさしい会社でもない

こういうことを書くと「Housmartってやさしい会社なんですね!」と思われるかもしれませんが、全然そんなことはなく、どちらかというと厳しい会社だと思います(なかにいるHousmartメンバーは人格的にもスキル的にもめちゃくちゃ素敵で、私は超好きですが)。

Housmartは、結果、アウトプット、その人の起こしたビジネスインパクト、行動で1人1人を評価します。

またHousmartは「住を自由にする」というMissionを成し遂げるために存在しているスタートアップなので、1人1人へのビジネスパーソンとしての要求水準は、正直かなり高いです。先ほど、Housmartが、どちらかというと厳しい会社だとお伝えしたのは、それゆえです。

Housmartは1人1人へ、プロであることを求めています。ありきたりの方法や従来通りの方法ではなく、高い水準で仕事を進めることを求めています。

ですので結果が出てなかったり、アウトプットが少なかったり、ビジネスインパクトが弱いと、その人の評価はすごく低くなります。期待水準に届いていないと「期待水準に届いていないです」と率直に伝えています。

採用計画も、各チームのHEADCOUNTをかなり厳しくみています。

そのチームの1人あたりの生産性が現状高く、人数を1人増やすことで確実に勝てる、1人以上の売上が伸びるという時にだけ採用しています。

採用してチームのアウトプットがちょっと増えるだけであれば、採用はしません。勢いでの採用も、絶対にしません。

倒産やリストラに繋がり、「住を自由にする」というMissionを達成出来なくなるからです。

Housmartは各チーム、各メンバーにかなり権限を委譲していますが、各チームのHEADCOUNTだけは、社長である私が、超厳しく見ています。またチームの生産性がチームの人数に対して低い場合は、マネージャーの評価も低くなります。

チームのマネージャーからすると、新規でさらにメンバーを増やしたい場合は、自分のチームの1人あたりの生産性を上げて、人数を1人増やすことで確実に勝てる、1人以上の売上が伸びるという状況にしないといけません。

一番確実なのは、採用の基準をものすごく厳しくすることです。もし採用の基準を緩めた場合、メンバーの生産性が上がるまでは新規の採用が出来なくなるからです。

「あの人は楽をしている警察」は自分を不幸にしている

Housmartでは結果が出ないと、本人も、マネージャーも、評価が低くなります。もちろん「評価が低い」で終わりではなく、本人、マネージャーが生産性を上げられるように、コーチングをはじめとした支援をしていきます。

ですので、「あの人は楽をしている警察」の指摘は大抵「あなた、その人の成果に責任持ってましたっけ?」で終わります。その指摘自体がありがた迷惑、お門違いなのです。
(同じ事業部内で「もっとこうしたら生産性が上がるのではないか」というディスカッション、質問、提案、リクエストはどんどんするべきです。)

そして、私は「あの人は楽をしている」発言をした人は、ビジネスパーソンとしてかなりマズい状態、赤信号だな、感じます。

自分の仕事をいかに高めるか、ではなく、自分がいかに不幸か、という不幸自慢スパイラルに陥っているからです。

そもそもビジネスで重要なのは結果、ビジネスインパクトだけです。

楽できるなら、楽をした方が良いのです。

イノベーションとは、もっと少ない時間で多くのアウトプットを出す方法、もっと楽なやり方で大きなビジネスインパクトをもたらせる方法を見つけ出すことです。

頑張っているだけで、高いお金がもらえるわけではありません。

工夫して、顧客に対してより大きな価値を提供出来るから、結果としてお金がもらえるのです。

ところが、この工夫をする行為、というのはなかなか目には見えません。

頭の中で四六時中考えたり、幼少期からの積上によって成し遂げられたりします。

ピカソが10分ぐらいで描いた絵に対して1億円の価値がつけられるのは、それだけ顧客にとって価値があるからです。そして手を動かしたのは10分だとしても、幼少期から絵に人生を投資し、何万枚の絵を書いてきた積み上げ、圧倒的なスキル、ピカソにしか出来ない思考方法があるからこそ、顧客にとって価値があるアウトプットが出せているわけです。

「あの人は楽をしている警察」は、ピカソが10分で描いた絵が1億円なのに対して「えこひいきだ!」「楽をしている!」「もっと私をサポートして!」と言っているのと同じです。

そんなことを言ったとしても、顧客からしたら「知らんがな」で終わりです。

悔しいですが、自分で自分の仕事を高めるしか、持続可能な方法はありません。

事実と向き合うのは大変だが不幸ではない

もちろん自分の仕事を高めるのは大変です。

世の中、そもそもの能力やIQが高い人はたくさんいます。

私自身「この人には、この分野では絶対かなわないな」という人がほとんどですし、Housmartにはそういうトップレベルに優秀な人がたくさんいます。

ただ、そういう優秀な人たちと切磋琢磨して仕事をするのは、大変ですが、ハッピーなことだと思います。

一方で最悪に残酷なのは「あなたの絵にもピカソの絵と同じぐらいの価値があるよ!」とお互いでお互いを騙し合うことです。だれしも市場原理からは逃れられないので、ビジネスインパクトを出す方法を身に付けられないまま「自分は大丈夫!」と思い続け、年を重ねてしまったら目も当てられません(アラブの石油王の寵愛を受けられればいいのですが、そうなったらアラブの石油王に依存することになるので、アラブの石油王からのDVや、アラブの石油王に捨てられるのが心配になります。石油が出なくなって、アラブの石油王自体が破産するかもしれません)。

本当の不幸とは、事実と自己認識の間の差異が大きく、しかもその差異に気づかないことです(あくまでビジネスの話ですが)。

事実と自己認識の差異が大きくなればなるほど「なぜ分かってくれないのか」という、負の感情が溜まっていきます。しかし、その負の感情は、自分のスキルを高めることでしか解決出来ません。

「あの人は楽をしている警察」は、「ビジネスインパクトではなく、もっと私を見て!」という自己顕示欲の裏返しとも言えます。

B'zの「love me,I love you」という曲に、こんな歌詞があります。

モヤモヤしているのがイヤならフトンを噛んで考えて
なんかあいつに期待過剰なんじゃないの
人の心はどうしても何か足りないけれど
そこんとこ埋めるべきなのは
恋人じゃない 親でもない ねぇ、そうでしょう・・・
おごらせてるだけじゃ そのうち誰もいなくなるよ

 

不幸自慢大会は、楽だし気持ちが良いですが、特にビジネスにおいては報われません。

また不幸自慢スパイラルに陥ると、チーム全体が腐ってしまうので、絶対に陥ってはいけません。

決して楽ではありませんが、「あの人は楽をしている警察」をしたい気持ちをグッとこらえ、プロとして顧客に向き合うことが、ビジネスパーソンとしての成功につながる唯一の道です。

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