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シルク・ドゥ・ソレイユに魅せられた日のこと

2月のカーニバルの記事に続き、道化師に魅了された日のことを。

まだドイツにはコロナの影響が全くなかった3年前の今頃、私達はシルク・ドゥ・ソレイユのデュッセルドルフ公演を見に行った。

デュッセルドルフの後は、ミュンヘンなどを興行する予定だったが、急遽キャンセルになったと聞いた。
良い時に観ることができたと、安堵したのを覚えている。

*****

公演の撮影は許可されているものの、撮影をする余裕がない程に、私は演技に夢中になり、一瞬たりとも見逃したくなかった。
あまり写真が残っていないのは、そのためだ。

駅前の空き地に、突如組み立てられた大型テント。
その前を通る度に、早く公演を見たいと胸を躍らせていた。

当日の会場入り口。

演目名は、TOTEM。

会場に入場してからの様子。
舞台は、繭玉のように丸く布が被せられており、神秘的だ。

ピエロ役の数人が会場を回りながら、観客にちょっかいを出し、笑いを取る。
これは公演のための準備運動のように、人々が笑いやすい環境を作っているのだろう。
みんなの顔が、段々笑顔になる。

いよいよ公演開始。
舞台を覆っていた布が剥がされると、中には人が隠れていて、いよいよパフォーマンス開始だ。

私は、子供の頃に初めて見た木下大サーカスや、動物が出てくるサーカスを思い出していた。
子供の頃の私にとって、サーカスは夢の世界だった。

今までに見た事もないような動きをする人。
驚くような技をする動物たち。
目を瞑るのを忘れてしまうほど、ハラハラドキドキしながら、言葉通り手に汗を握りながら、その公演を見た。
そして、次々と目の前で繰り広げられる驚くようなシーンに、私は夢中になった。

上海で見た中国雑技団も、驚くような技ばかりだった。

しかし、シルク・ドゥ・ソレイユは、そのどれとも違うものだった。
シルク・ドゥ・ソレイユは、世界的に有名であるからもちろん知っていたが、公演を見に行ったのはこれが初めて。
私はシルク・ドゥ・ソレイユの世界に、すっかり夢中になってしまった。
公演には子供連れのかたも多かったが、内容的には、むしろ大人向けと言って良いのではないかと思う。

最初から最後までストーリーがあり、光とその舞台装置までもが一体となって演出される。
驚きだけでなく、その美しさに感動してしまった。
サーカスを越えて、これは芸術作品だと感じたのだ。

ラストのシーンは、演者さん全てが舞台に上がりご挨拶。

ドイツでは遊園地などの遊戯施設が少ないため、移動遊園地や、移動サーカスがやってくる。
街の空き地に、突然建てられるテント。
そして、漏れ聞こえてくる音楽。

シルク・ドゥ・ソレイユ
Cirque du Soleil
直訳すると、太陽のサーカス。
まさに、長い冬に突然現れた太陽のように、激しくそして強い光で私達を温め、興奮させた。

その後、コロナの影響でシルク・ドゥ・ソレイユに関わるスタッフの95%が解雇されたというニュースを読んだ。
あの舞台の輝きを思い出し、胸が痛んだ。

*****

しかし、数ヶ月前に、私は1通のメールを受け取った。
それは、シルク・ドゥ・ソレイユのドイツ公演の案内だった。

2年間の空白期間を経て、また世界を駆けまわり、芸術とも言えるその演技を披露できる日が再びやって来たのだと、私の胸は高鳴った。

シルク・ドゥ・ソレイユ、太陽のサーカス。
太陽は沈んでも、また必ず昇る。
まさに『太陽のサーカス』だ。

さて、次はいつデュッセルドルフにやってくるだろう。
近隣の街や、隣国での公演プログラムを見ると、私の心臓は次第に鼓動を早めていく。
あの痺れるような感動を、私はまた味わってみたい。

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