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ケルン 街を見下ろす大聖堂

Köln 
ケルンは、近いけれど遠い街。
デュッセルドルフから、電車でたったの30分。
以前は友達がケルン市内に住んでおり、頻繁に遊びに行っていた。
しかし、友達が別の街に引っ越し、友達に会う目的がなくなると、行く機会も減った。
近いが故に、目的地とはなりにくく、旅の経過点として通り過ぎてしまう事が増えた。
 
久しぶりにケルンに足を運んだ理由は、レンブラント展を訪れるためだった。
Wallraf-Richartz-Museum

クリスマス時期だったので、かなりの混雑を予想し、私は有給休暇を使ってケルンに出かけた。
こういう贅沢な有給の使い方が、私は好きだ。
 
ケルンと言えば、世界遺産の大聖堂。
Kölner Dom 
トリーア、マインツの大聖堂と合わせ、ドイツ三大大聖堂に数えられている。
その中でも一番訪問者が多いのは、ケルンの大聖堂だという。

中央駅から出るとすぐに大聖堂を見上げる格好になるため、度肝を抜かれる。
初めて訪れたのは、留学生のためのレクリエーションの一環としてだった。
一緒に行った学生はみな、大聖堂を見上げて歓声を上げた。

大聖堂については、その正確な初期の事は分かっていないようだが、すでに4世紀には教会の基礎部分となるものが建設されていたようだ。
そして、建設の中断や度重なる戦争による破壊を得て、1880年に完成している。
1996年には、ユネスコの世界遺産に指定された。
 
2013年、自らの意思で退位されたベネディクト16世。
ドイツでは、本名からラッツィンガー教皇と呼ばれることも多かったベネディクト16世も、ここケルンの大聖堂を訪れている。(Joseph Alois Ratzinger)

塔にも登ることができ、その高さは157メートル。
世界最大規模のゴシック建築だ。

大聖堂の中のステンドグラスもまた、息を呑むような素晴らしさ。
その中でも、バイエルン窓と呼ばれる宗教画を元にした5枚の作品は、その大きさに圧倒される。

こちらは、そのうちの東方三博士。
この青い衣装の美しさに、目を奪われてしまった。

そんな中、一つだけ異質なスタンドグラスがある。

写真の画像が悪いのではなく、これはモザイク模様で作られている。
 
2007年にお披露目されたこのステンドグラスは、ケルン在住の現代アーチスト、ゲアハルト・リヒター Gerhard Richterの作品。
歴史ある大聖堂に、この現代的なステンドグラスをはめ込もうとしたリヒター氏にも驚くが、それを受け入れたケルン市もすごい。
当時はかなりの賛否両論があったが、今はこのステンドグラスを見に訪れる人も多いと聞く。

今やパリのシンボルとなったエッフェル塔も、建設当時は醜いと呼ばれた。
そして、ルーブル美術館前のガラスのピラミッドも、かなりの批判があったことを思い出す。
芸術というのは、きっと、そういう物なのだろう。

ケルンと言えば、香水も有名だ。
ケルンが訛りコロンになったと言われており、香水と言えばフランスが有名だが、香水の元祖は、ここケルンだとも言われている。
Kölnisch Wasser、ケルンの水と呼ばれる香水、それが4711。

この4711というのは、ケルンがフランス、ナポレオン軍に占領された際の歴史に遡る。
ケルンは、ドイツとフランスの国境に近いため、戦争の犠牲になりやすかった。
 
ケルンを占領したナポレオン軍が、家々に新しい番地を振り分けていった時、ちょうどこの香水の店舗の住所が4711だったのだそうだ。
そしてこのお店は、そのまま4711と名付けられたという。
今も店舗は残っており、販売も行われている。

学生だった私達は、お店で色々な香水を試し、記念に小さな瓶の4711を買った。
 
住んでいた街に戻り、たまたま友達と一緒にドラッグストアに行った時のこと。
香水売り場に並ぶたくさんの4711を見て、私達は顔を見合わせて笑ってしまった。
ケルンでなくとも、ドイツ国内どこでも売っているとは知らなかったからだ。

さて、ここからはクリスマスマーケットについてほんの少し。
ケルンのクリスマスマーケットは、市内に何か所か開かれるが、この大聖堂前の広場は特に賑わっている。

大聖堂前マーケット

夜のクリスマスマーケット。

Neumarkt
こちらのマーケットは、流星をイメージしているようだ。
上を見上げて歩きたくなるほど、美しいイルミネーション。

Heinzel Wintermärchen
こちらは、メルヘンの世界のクリスマスマーケット。
あちこちに小人がデコレーションされて可愛らしい。

サンタさんのコスプレをして、スクーターに乗った100人ほどの団体に出くわした。
サンタさん達は、道行く人にチョコレートを配っていた。
粋なことをするものだ。

ケルンのビールも忘れてはいけない。
Kölschと呼ばれるビールは、フルーティーで飲みやすい。
デュッセルドルフの黒ビールばかり飲んでいる人にとっては、翌日頭痛がするビールだそうだが、私は飲みやすくて好きだ。
 
ケルンビールの多くのブランドも、Radebergerグループ傘下に入っている。

他には、チョコレート博物館を始め、ケルンには多くの博物館、美術館がある。
中央駅から電車で約10分の場所には、メッセ会場もあり、またケルン空港も市内から近い。
大変便利な街だ。

私は友達と一緒に、よくライン川沿いを散歩した。
Hohenzollenbrücke(ホーエンツォーレン橋)を渡り、向かい岸を歩くのも好きだ。
夏の暑い時期も、冬の寒い時期も、私達は好んで散歩した。

デュッセルドルフと同じくライン川沿いの街だが、やはり大聖堂が聳えるケルンの街は、遠くから見ても美しい。

街の中で見る大聖堂は、荘厳で圧迫感がある。遠くから見る大聖堂は、街に溶け込み、その圧迫感がなくなる。

それでもなお、その荘厳さが失われることは、決してない。

ケルンの大聖堂を見る度に、エドワード・エルガーの威風堂々が、私の頭の中を静かに流れていく。

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ケルンや、マインツ大聖堂について

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