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薔薇に導かれる街 ヒルデスハイム

一つの街に、二つの世界遺産がある街。
それがヒルデスハイムだ。
薔薇に導かれる街というのも、この世界遺産に関連している。
街の場所は、ニーダーザクセン州。
司教座が置かれた815年から数えると、千年以上の歴史を持つ古い街だ。
更には、1367年にはハンザ同盟にも加盟している。

聖マリア大聖堂

一つ目の世界遺産は、聖マリア大聖堂。
この街の一番のシンボルと言っても良いだろう。
872年、大聖堂の基礎となる最初の聖堂が確認されているようだ。
その後、拡張を続け、現在のロマネスク様式に仕上がったという。

教会内部は、非常に明るい印象だ。
中央に飾られた王冠のようなシャンデリアは直径6メートルもあるそう。

キリストの円柱は、螺旋状にキリストの生涯が刻まれている。

中庭の回廊。

回廊の中央部が庭になっており、建物に這うようにして、樹齢1000年と言われる薔薇が生い茂っている。

815年頃、ルードヴィッヒ敬虔王(カール大帝の息子)が狩猟とミサへの参加を目的に、この地にテントを張った。
そして、聖母の衣の聖遺物を入れた銀の容器を木に吊り下げたが、そのまま忘れてしまった。
慌てて取りに帰ったものの、銀の容器はもはや枝から切り離すことはできなかった。
王は神の意志の啓示を見出し、この場所に聖母を祀る礼拝堂を建て、これが今日の大聖堂の基礎となった。

1945年3月22日の爆撃で、このバラは焼けてしまったそうだ。
しかし、その直後に再び新芽を出したことは、市民にとって希望の光となったという。
薔薇によって、この地に礼拝堂が建てられ、そして薔薇が市民を力付ける。
この薔薇は、何か特別な力を持っているのだろう。

ヒルデスハイムの街中では、歩道で薔薇のマークを見つける事ができる。
主な観光ルートに沿って、この小さな薔薇のマークが敷かれているからだ。

この薔薇のマークに導かれ、次の世界遺産へ。

聖ミヒャエル教会

1010年に建築が始まったこの建物も、世界遺産に指定されている。
第二次世界大戦で爆撃を受けた後、1957年には再建が終わったそうだ。

緩やかな階段を登った先に、何本もの塔を持つ建物が堂々と鎮座している。
丸みと四角のコントラストが、とても美しい。

教会内部は、その天井の美しさに目を奪われた。

マルクト広場

市内にも、見どころがたくさんある。
マルクト広場は、四方が素晴らしい建物に囲まれている。
訪れた日は、広場でお祭りが開催されており、とても賑やかだった。

広場東側
市庁舎/ローランドの噴水

広場南側
貴族の屋敷だったというTempelhausは、今は観光案内所として利用されている。

同じく広場南側
Tempelhausの隣に建つWedekindhausも、貴族の家として建てられ、今は銀行として使われている。

広場西側
肉屋のギルドホールの装飾は、とても華やか、かつ煌びやかだ。

広場北側
ホテルとレストランが並んでいる。

木組の家

広場から少し離れた場所にあるDer umgestülpte Zuckerhut。
逆さにしたシュガーローフと名付けられたこの建物は、非常に面白い三角形をしている。
作者は不明だそうだ。

この街にも、木組の家が残る一帯がある。Waffenschmiedhausや、Blühlという道の辺りは多くの木組の家が立ち並ぶ。

特産品やお土産

「はらぺこあおむし」という絵本は、誰もが一度は目にしたことがあるのではないだろうか。
エリック・カール氏によって描かれ、66カ国、5500万部の売り上げを誇る、世界的ベストセラー絵本だ。
この絵本は、Hildesheimer Gerstenberg Verlagという、ヒルデスハイムにある出版社が発行したそうだ。

もう一つ、お祭りで見かけてどうしても食べたくなってしまったヒルデスハイムの特産品。
それが、カリーヴルスト。
大きなソーセージが、食欲をそそる。

他には、ヒルデスハイムの薔薇を生かしたジャムや砂糖、ジュレ、そしてチョコレートをお土産に購入した。

今回のホテル

宿泊は、マルクト広場のVan der Valk。
リエージュの系列ホテルに宿泊して以来、すっかりファンになってしまった。
フロントは、重厚感があって落ち着いている。

非常に心地良い清潔感と、快適さを与えてくれる。

夕飯は、ホテルと一体となったGildehausにて。

ホワイトアスパラガスの季節だったので、サーモンと白ワインと一緒に。

デザートには、ヒルデスハイムのチーズケーキと呼ばれるケーキを注文してみた。
とても上品な味で、チョコレートアイスの少し苦味のある甘さや、フルーツにも合う一品だった。

今回は、ホテルではプールなどの設備は利用しなかったものの、ここはスパも楽しめるホテル。
大好きなホテルで寛げる時間は、まさに極楽。

さて、街を歩いている時に、たった一輪だけ赤い薔薇を見かけた。
薔薇の季節には、まだ少し早い。
早咲きの薔薇は、私をお迎えしてくれたのだろうか。
思わずパチリと一枚。

薔薇の街ヒルデスハイム。
私はもう一度、この街を訪れるだろう。
樹齢1000年の薔薇が、壁一面に咲き乱れるその姿を、この目で見てみたいから。

リエージュのVan der Valkも、とても素敵なホテル。

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