糖質制限はパフォーマンス制限
食事指導していると糖質を悪者扱いしている方に出会う。
日常的に糖質制限をしている方にお話を聞いてみると「体重を落とすためにご飯を食べないようにしています」とか「フルーツは果糖が多すぎるので止めました」とか「ブドウ糖はがん細胞を育てると聞いたので控えています」などなど、情報の局部を切り取って解釈したものが多い。
なぜ、こんなことが起こっているのだろう?と考えると、糖質が肥満、糖尿病、生活習慣を上げるリスク要因と認知させるような広告、情報発信が多いからだと思う。
かくいう僕自身も過去に、糖質制限をして過ごしてみた経験がある。結果は予想していた通り、パワーが制限された。(僕のライフスタイルでは)
糖質制限に興味がある方のことをざっくりまとめると、健康を維持&向上させたい方、減量したい方、ハイパフォーマンスを出してビジネスを加速させたい方の3タイプだと思う。
だったら、はじめから糖質制限はしないほうがいいのでは?ということをこの記事で提案してみようと思います。
炭水化物の摂取基準
基準として、厚生労働省の見解を理解するのが手堅いと思います。
現代は様々な健康情報が飛び交っており、情報を得るのは簡単でも判断に戸惑うことが増えたと思います。なので、迷ったらとりあえず厚生労働省をチェックしてみるといいでしょう。
なぜなら、世界各国の膨大な研究結果や論文を集めて、さらにそれらを分析、精査した結果、日本国の見解として表に出すので信頼感が桁違いだからです!
私利私欲や利益のために情報公開しているわけでもないので、過剰に煽ることもなく、地味でお堅い情報を得れるところが安心できます。
そんな厚生労働省は、炭水化物の摂取量についてどのように発表しているのかというと、一日に必要なエネルギーの50~65%は炭水化物を摂取するといいよーと言っています。
↑この図を一枚作るのにも、参考文献で50以上の研究データが使われているのには驚きです。
こんな有益な情報を見ないで「それだめ!白米は万病のもと」とか「スティーブジョブズは果実の食べ過ぎで死んだ」などSNSでインパクトのあるタイトルに釣られて、影響を受けている方が実際にいらっしゃいます。
なので、SNSで健康情報を得たならば、同時に厚生労働省もチェックしてみてると、健康情報リテラシーを伸ばせると思うのでお勧めです。
一日のエネルギー総量の50~65%を炭水化物で補えばよいかという結論を厚生労働省が出したのにも、世界のいろんな研究がヒントになっています。
その一つがコレです。↓
この論文をまとめると、アメリカ人中年男女(45〜64 歳)15,428 人を 25 年間追跡して、炭水化物摂取量と 総死亡率との関連を検討してみると、炭水化物摂取量が 50〜55% エネルギーであった集団 で最も低い総死亡率と最も長い平均期待余命が観察されたというものでした。
要するに、一日のエネルギー摂取量の約半分を炭水化物で摂取している人が、長生きできたよってことです。
このような研究結果を背景に、一日に必要なエネルギーの50~65%は炭水化物を摂取するとよいと結論付けているので、納得できますよね(^^)/
具体的にどれくらいなの?
一日のエネルギー摂取量の50~65%といわれても、具体的な食品でイメージできないことには理解が進まないとおもうので、具体例を挙げてみます。
例えば、45歳女性で電車通勤を行うデスクワーク中心の方ならば、一日に2000キロカロリーが必要になります。(身体活動レベルによって総摂取カロリーは変わります)
厚生労働省がすすめる炭水化物摂取量をここにあてはめると、そのうちの50%である1000キロカロリーを炭水化物で補うと、健康リスク要因を下げれることがわかっています。(炭水化物必要量は50~65%ですが計算しやすいようにここでは50%にしました)
炭水化物は1gあたり4キロカロリーなので、1000kcalを4kcalで割ってみると、一日に250gの炭水化物が必要であることがわかります。
「わかった!一日にご飯を250g食べればいいってことか!それじゃ、一食当たりお茶碗に83gのご飯を入れればいいのね♪」と、考えた方の気持ちもわかりますが、それでは少なすぎます。
白米100gに含まれる炭水化物量は37gなので、食品に含まれる炭水化物の含有量で考えないといけないのです。
電車通勤でデスクワーク中心の45歳女性が、もし、一日に必要な炭水化物250gをすべて白米のみで補うのであれば、一日に白米を673g食べる計算になります。
ちょっと面倒くさいかもしれませんが、性別、年齢、活動量を当てはめて計算してみてもらえると、一日にどれくらい炭水化物を食べるといいのかを確認できます。
ただし、これは計算しやすくするために白米のみで一日の炭水化物を補うという、すごく偏った食生活を想定して計算しましたので、その辺は、想像力を膨らましてください。
目安を知るのにいいかなーくらいの気持ちで計算してみてください。
外食はなぜ高炭水化物に偏るのか?
先週末、久しぶりにカレーハウスCoCo壱番屋(通称ココイチ)に入りました。
おそらく10年ぶりくらいにココイチのカレーを食べて、やっぱり美味しいなと、感動しながら食べていたのですが、食べ終わってからお腹が膨れすぎ、その後の強烈な眠気にすこし量を減らせばよかったと後悔をしました。
大盛りにしたのか?と思われそうですが、「ご飯の量はそのままでいいですか?」という店員の声に「はい!」と答えたので、量は通常サイズ。
だけど、食べ終わってから確認すると通常のご飯量が300gだったのです!かといって、減らしていると「ちょっと物足りないかも…。」って感じる自分がいるのも確か。
なぜ、ココイチの普通盛りが300gなのか?を栄養学的視点&ビジネス視点で考えると、確かに絶妙な量だなーと頷けた。
まず、前提知識として人の満腹中枢を刺激する栄養素第一位はタンパク質であり、第二位は食物繊維だということを知っておいてください。そして、このどちらにも共通するのは、よく噛まないと飲み込めないということ。
「よく噛んで食べるとお腹が膨れやすいよ」って聞いたことないですか?あれ、正しくは、よく噛まないと食べれない食品はお腹が膨れやすいです。
例えば、ご飯に比べてお肉は噛まないといけないし、ご飯と比べてごぼうもレタスも噛まないといけないですよね。お腹がいっぱいのときでも、締めにお茶漬けはサラサラ食べれるけど、サラダボウルは食べようとは思わないでしょ?
ここが、ポイントなんです!
カレーは噛もうと意識していても流れ込んでいくことが多い。他に、汁物の料理も同じことが言えます。(ラーメン、うどん、つゆだくの牛丼とかも)
ココイチではトッピングを行い具沢山にできますが、基本的に家庭で作るカレーに比べると具が少なく感じると思います。
のせるトッピングにもよりますが、タンパク質も食物繊維も低くなりがち。と、いうことは、お客様は満腹になりにくい可能性が出てきます。
じゃ、お客様の立場に立って満足度を上げるために企業努力で具をたくさん入れればいいんじゃない?と思うけど、それでは会社側のコストがかかりすぎる。
簡単にお肉を増やせない、野菜を増やせないとなると、国内で供給が安定していて、安価に仕入れれるお米で調整するのが現実的でしょ!となり、満足度を上げるために普通盛りを多めの300gにしておけばいいんじゃない?となるんだと思います。(ココイチ関係者様、勝手な妄想ですみません)
たぶん、普通盛りが一番利益率高いんじゃないかな?なんて思います。
ああ、ココイチのカレーが食べたくなってきた('ω')
理想的なご飯量を知るために
僕自身、家ではお茶碗にご飯を軽く一杯(約150g±50g)ほど食べています。
僕の体格や活動量からしすると、このご飯の量は少ないです。しかし、一日を通して炭水化物をいろんな食材から摂取しているので、ご飯の量としては、150g±50gくらいで十分なのです。
なぜなら、毎日絶対にフルーツは食べるし、イモ類、根菜類、豆類も高頻度で食べて、たまにスイーツも頂きます。そうなると、トータル炭水化物摂取量としては総エネルギーの60%に近くなります。
大事な考え方は、決して主食だけで炭水化物量を決めてしまわないこと。
先ほどの計算では、45歳の女性が一食当たり224gの白米を食べれるとでましたが、白米だけを食べる人っていないですよね?必ず、おかずを食べますよね?そうなるとざっくりした計算ですが、一杯当たり170g±30gあたりの量が一食で妥当だと思います。
「あなたは食事指導ができるほど、知識があるので食べる量がコレくらいだって工夫ができるんでしょ?」と思われた方がいらっしゃると思います。僕も栄養学を勉強し始めた当初はそのように感じました!
そんなときに活躍したのが、スマホで使える健康管理アプリです。
今使っているスマホがGooglepixelで、スマートトラッカーがfitbitだったこともあり、連携できる「あすけんダイエットアプリ」をインストールして使い始めました。
使い方はシンプルで、食べたもの重さをはかってアプリに入力していくだけで、その日どれくらいどんな栄養素を摂取できたのかが確認できます。
食事をコントロールするには大変便利なものなのですが正直、面倒くさくてできない人が多いです。特に食べる前に、重さを測るという行動ができなくて挫折する方が多い。
だけど、重さを測ってアプリに入力さえできれば、健康になるとか、ダイエットを成功させるといったことが可能になります。
目標達成できない9割は、めんどくさいことをやらないからだ!と僕は知っています。だから、やるのですw
また、やっていくうちに大体の栄養量が把握できてくるので、測らずとも今日はあの栄養素が不足しているから、あれを食べよう!というように工夫が簡単になりますので、ぜひ、日々の食事レベルアップのためにチャレンジしてみてください。
可視化って本当に重要ですよ!
我慢が一番傷つけたくない人を傷つける
カロリーオーバーを気にされてご飯を食べない方が多いですが、心身にとって一番のリスクはカロリー不足です。必要なタイミングが食事が摂れていないないと、栄養素が入ってくるまで、自分の体を分解して耐えることになります。
この状態になると、体内では必死に血圧や血糖値を高めようとするためにストレスホルモンのコルチゾールや、奮起させるアドレナリン、ノルアドレナリンが体内で分泌されます。
その結果、心身は何事もなかったように日常を過ごすことが可能なのですが、アドレナリンやノルアドレナリンが分泌しているとき、私たちは感情的になりやすいくなり、ちょっとしたことでイライラしたり、冷静な判断ができずにミスを連発したり、そんな自分がが嫌で落ち込んだりと、気分のアップダウンが激しくなります。
お腹が減るとイライラしやすくなるのは、生命を安定させようと頑張るホルモンたちの機能の一つなんです。
「朝や夕方、子供に怒鳴ってしまうんです」というお母さんがいますが、このようなお母さんほど、家族思いで本当に懸命にお母さんとしての役割を全うされています。
お話を聞くと、自分の食事を後回しにして子供の世話や家事を優先しています。
だけど、これが体内でアドレナリンなどを分泌させてしまい、感情的になる状態を作ってしまうことになっているのです。うちの奥さんもそうですが「また、強く言いすぎた」と落ち込んでいることがあります。
口調が荒くなるときは大体、朝ご飯を食べずに家事をしているときとか、ランチからしばらく時間のたった夕方のご飯の準備をしているときです。
この二つの時間帯は、低血糖状態に陥りやすく体内でコルチゾールが分泌されている可能性が高いです。なぜ、そうなるのでしょうか?
それは、空腹時間が長すぎるためです。
昨晩の19時に晩御飯を終えてから起きてきて、何も食べずに洗濯やお弁当作りを行う。夕方は12時のランチ以降間食をせずに夕食の支度に入る。要するに飢餓状態(緊急事態モード)のなかマルチタスクで家事を行っている。
そんな状態で、朝の準備を子どもがしない、学校から帰ってきて子供が集まると喧嘩が始まる…。イライラしないほうがおかしいですよね?
何が言いたいかというと、炭水化物(糖質)はもっともエネルギーとして利用しやすいものなので、底をつくまでに補ってあげることが重要だってことです。
具体的に言うと、軽くでいいので朝起きたならまず何かを口にしてみる(ハチミツをいれたホットドリンクでもいい)。15時から16時は誰もが血糖値の低くなる時間帯なので、おやつ(サツマイモ、栗、果実がおススメ)を食べてみるなど我慢しないことが重要です。
この我慢が長すぎると、最も優しくしてあげたい人に対して、厳しく当たってしまうことになります。
まとめ
食べないことはパフォーマンスを落とすことになります。
なぜなら、炭水化物は体(脳)が最も欲するエネルギー源であるからです。もし、それでも炭水化物を食べることに心配がある方は、まず現状把握のためにアプリで食事を管理してみてください。
現状がわかっていない状態では、何が正しくて、間違っているのかもわからないので、常に同じ轍を踏むことになります。それが楽しいのであれば、そのままでいいですが、間違った食事法は少なからずあなたの細胞にダメージを与えます。そして、周りの方に影響を与えます。
今一度、ご自愛くださいませ。
Podcast
ここに書いた内容をベースにSpotifyで話してみました。
日常の邪魔をしないように、ながら聞きで聞き流していただけると幸いです。
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