一日千夏
少し暗くなりすぎた
夕暮れの時間が好きです
沈んでしまったはずの太陽の残光と
張り切って光る月と
待ちきれずに瞬く星たちが
そわそわとざわめいている
あの時間が好きです
煌々と照らされた社の
夏祭りの匂いが好きです
焦げた焼きそばのソースと
魅惑的なりんご飴と
雨上がりの土くれのような
南風に連れられてやってくる
あの匂いが好きです
どこか遠くで迷子の子供が泣き叫んでいて
それがいつかの私だと気づく頃には
もう取り返しがつかないほど
大人になってしまっているのだけれど
それでも
これから良いことが起こるんじゃないかしら
と、世界が心急くところで私は
それを今か今かと待っていたいのです
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