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君は僕だけのものだなんて思い上がれるほど弱くはいられなかったのだから、この失恋は幻痛だ。…
笑ってしまうほど違う僕らが なぜかしら同じ時間を生きていて 理由なんてないけど 今夜は楽し…
橋の上で私は啼く 涙なんて出るもんか 強すぎる風に負けないように ただしなやかなリズムを求…
夜は猫たちの国だ 光源の知れない僅かな反射光で煌めく両眼が 誰にも見えない黒の果てを射抜く…
何もない、なんてことはなくて 僕らはちゃんとここにいる ここにいなければよかった。と思う時…
生きている者は あとどれだけいるのか あいも変わらずに 銀鮭の皮ばかり 好んで君は食べてい…
ペンを持つ 動かさなければ、思うほどに右手は固く まるで独立した生命器官であるかのように 小刻みなリズムを刻む お前、もう一つの心臓という訳ではあるまいな 黙して動かぬ右手をいっそ切り落としてしまいたい という衝動 隻手の私に一体何が救えるものか、右手は全てを見透かして 決して喋らず 嘲笑うかのように細かな筋収縮 踊る踊る筋収縮、耳鳴り 乾き切ったインクの染みがピリオドに見える ブラックホールに吸い込まれた一点が 本日の私の全て、いや私の右手の成果全てであった
無限の可能性がかつての僕に宿っていたのなら、こうなる未来、こうなる現実は可能性から除いて…
右に私 左にも私 上に 下に 前に 後ろに 私 私 私 同じカオ 同じカタチで 私がいる 泳…
瞬きみたいな午睡のあとで 忘れたくなかった 夢を忘れる 欠伸みたいな涙の後で 忘れたかった …
散歩している 名前も知らない誰かの犬へ 満面の笑みで笑いかけて おどける少女に この世界の…
少し暗くなりすぎた 夕暮れの時間が好きです 沈んでしまったはずの太陽の残光と 張り切って光…
私に傘は要らない気がする、と言って 女は前髪を濡らしながら最寄りの駅へ向かって 消えていき…
言わないで、といったのに おやすみ。だとか さようなら。だとか 言わないで、といったけど おやすみ。ありがとう。また会おうね。さようなら。 泣かないで、といったのに もう流せないのだから もう拭えないのだから 泣かないで、といったけど ありがとう。ありがとう。ありがとう。さようなら。