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正直な右手

ペンを持つ
動かさなければ、思うほどに右手は固く
まるで独立した生命器官であるかのように
小刻みなリズムを刻む
お前、もう一つの心臓という訳ではあるまいな
黙して動かぬ右手をいっそ切り落としてしまいたい
という衝動
隻手の私に一体何が救えるものか、右手は全てを見透かして
決して喋らず
嘲笑うかのように細かな筋収縮
踊る踊る筋収縮、耳鳴り
乾き切ったインクの染みがピリオドに見える
ブラックホールに吸い込まれた一点が
本日の私の全て、いや私の右手の成果全てであった

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