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#185 キッチン南海 神保町店 *閉店*

神田神保町で半世紀以上もの長きに渡り、多くの人々に愛され続けてきた老舗の洋食店「キッチン南海」——。

1966年創業の「キッチン南海」は、安価にしてボリューム満点なメニューの数々によって、神保町界隈の学生やサラリーマンをはじめとする多くの人々の胃袋を満たしてきたとともに、同店で修行したシェフによる暖簾分け独立店として、各地に多数の「キッチン南海」を展開してきたことでも知られています。

その老舗の名店が、建物の老朽化に伴い2020年6月26日をもって、54年の歴史に幕を下ろすことになったと知り、閉店まで残りわずかとなった6月最後の週末に行列覚悟で足を運んできました。

お店に到着したのは、夜の部の開店時間にはまだ大分早い16時頃。しかしながら、店の前には既に50人ほどが列をなしており、その後も列はぐんぐん伸び続け、ついにはすずらん通りを抜け白山通りに至るまでの長さに。
これは言い換えれば、これだけ多くの人々の心の中に「キッチン南海」が、思い出の味として刻まれているということでもあります。

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その「キッチン南海」の人気メニューと言えば、「しょうが焼き」や「ヒラメフライ」「クリームコロッケ」などいくつもありますが、取り分け人気なのは何と言ってもやっぱり「カツカレー」。

それもそのはず「キッチン南海」の前身は、1960年東京・飯田橋にて創業した「カレーの南海」。
元々がカレー専門店だったためカレーが特に評判で、中でも「カツカレー」は、浅草の「河金」や銀座の「グリルスイス」とともに、日本三大・元祖カツカレーのひとつとして並び称されるほど有名で、同店では一日に400食以上売り上げるほどの人気メニュー。

もちろん、今日のわたしのお目当ても、この「カツカレー」です。

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さてさて、2時間弱並んだところで順番が回ってきてようやく入店。
それでもこの行列の長さを考えると回転率はかなり良く、予想よりも早く席に着くことができました。

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というのも、厨房に立つシェフはもちろんのこと、ホール係のスタッフのオペレーションがそれは見事で、オーダーは行列に並んでいるうちに取り、客の順番や人数、オーダーなどの情報を事前に厨房に伝え、シェフたちと連携を図りながらどんどん店を回して行くその姿は、まさにプロフェッショナルそのもの。

というわけで、着席した後は5分も待たずしてお待ちかねのカレーが運ばれてきました。
う〜ん!美味しそう!!

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ではでは、いただきまーす!ぱくり♪
うんまぁーいっ!!

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カツカレー・・・"黒いカレー"として有名な「キッチン南海」の看板メニュー。
じっくりと時間をかけてローストした小麦粉とスパイスを、玉ねぎや豚肉などとともに形がなくなるまで煮込んでは寝かせを繰り返し、約3日間かけて作るというルウは、甘さは控えめでビターなコクがあり、後からじんわりと辛さが追いかけてくる大人の味わい。薄めのカツは粗目のパン粉がサクサクと香ばしく、ルウとの馴染みの良さも抜群。合間に千切りキャベツや福神漬を挟みながら食べ進めると、結構な量だったにもかかわらずあっという間に完食。

神保町から老舗の名店が消えてしまうことを考えるとやはり惜しい気持ちにはなりますが、今後は30年以上本店の厨房で腕を振るってきた現料理長の中條シェフが、最後の暖簾分け独立店として同じ神保町内にて新店をオープンさせるとのことなので、本店の味についてはこの先も変わらずに受け継がれていくものと思われます。
オープンしたらそちらにも是非伺わねば。

それにしても凄いボリューム!
お腹いっぱい大満足です♪

ごちそうさまでしたー!!

晴れ、時々Curry。2020-06-20

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