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破天荒じいちゃんと孫。つまり私

後悔で泣きたくなる想い出と、愛しくてこそばゆい想い出が同じ場所にある

あの病室で

かつて祖父に言ってしまった言葉

世界で一番大好きな人に言ってしまった言葉

その少し後に亡くなって
もう、謝れなくて
どんなに後悔しても謝れなくて
亡くなって20年近く経つのに今でもたまに呟いてしまう

「ごめんね、おじいちゃん」

たまに夢に出てくる祖父はいつだって変わらずにあの部屋で寝てる
その姿を見るといつも安心する

「おじいちゃんのことが好きなのね」

そう聞かれた時、いつもは恥ずかしくて人に本音を話さない私が

「はい、好きです」
と答えた。
それを聞いていた祖父はとても嬉しそうだった。
あの病室で過ごした少しの時間

入院すればもう家には帰れないと病院を嫌がって駄々をこねてた子供のような祖父は、本当に戻ってはこなかった。

祖父のいない場所にいる意味もないと
大学生になると一人暮らしを始めた

小さい頃、私はいつも祖父について回った。ゲートボールも、山の中も、自転車での散策も、リヤカーに乗せてもらってどこかに行ったこともある 
いつものあの小屋の前で、箒を作りながらこちらを見てる祖父の姿を今も忘れない

たけのこ掘りも祖父に教わった。草むらに入る時は蛇がいるから長靴を履けと教えてくれたのも祖父だ。
ケチンボで、たまにテーブルひっくり返すほどの癇癪持ちで、酔っ払ってはご近所で叫び声あげてて、でも、とても優しくて強くてカッコよくて

本当に好きな人って
どんな欠点があってもゆるせるものなんだ

ものすごく小さい頃に知ったこと。
それはとても幸せなこと。祖父が教えてくれたことの一つ

いつも、私が肩を揉んだら、交代で肩を揉んでくれた。笑
こんな風にしたらいいんだよ。と教えてくれた。
それが正しいのかは未だに謎

たまに、一緒に野球の真似事をした。おじいちゃんの時代のファールは「チップ」って言うらしい
本当かな、それも謎のまま

時代劇の時間を教えるのと、牛乳をレンジであっためるのは私の大切なお仕事
二人並んで時代劇を見るんだ。私が好きなのは銭形平次と2番目の黄門様

お年玉で初めてお札をもらった。でも、お札って一枚しかもらえないの。硬貨なら10枚なのよ。初めてにするか、たくさんにするか。お札にするか、硬貨にするかどちらも欲しくて泣いて困らせた

泣き虫なのは昔から。
泣いて帰るのに大人はそれを見て笑ってるから、悔しくてもっと泣いてやった。

姪っ子見てたらその意味がわかって、同じように笑う大人の私
可愛くてしょうがない。そういう時に笑うんだ、と知ってまた笑う

おじいちゃんの1番になれないのが悔しかった。おじいちゃんにとってのおばあちゃんみたいに
(私のことがだーい好きな?うーん、大好きだったかはわからないけど.最後は必ずおばあちゃんの味方をするのよ、おじいちゃん

それが悔しくて
だから、)いつかそういう人が私にも現れるといいなってずっと思ってた。
最後まで1番の味方でいてくれる人

小さい頃から、仕事で家にいなかった父の代わりに祖父は私たち孫の面倒をみてくれた。私はとても懐いてて毎日が楽しかった。(だっておじいちゃん超面白いんだもん。)
祖父はとてもパワーのある人で、家族のまさに大黒柱だった。祖父を中心に回っていた家が中心をなくして、どんどんと形を変えていった
よく喧嘩してた祖母は、会う度にホトケ様みたいになっていったし、母は自分の時間、自分の人生を模索してる様だった
父に会うことはほとんどなかったけど、定年退職してからは少しずつ会話するようになって、この人はどんな人なんだろうとやっと私も興味を持つようになった。
何も知らない。ってことに気づいたことは大きかった。

家族って
「家族」という箱の中に一緒に収まってるだけで実際はお互いをよく知らないのかもしれない。それでも成り立つ。でも箱が狭いとたまに苦しいな

亡くなる前に、祖父に対してわたしは酷い冗談を言った。考えなしのアンポンタンだった。
それはきっと祖父の心を抉ったのではないかと今も自分の胸が痛む

後悔で泣きたくなる想い出と、愛しくてこそばゆい想い出が同じ場所にある
でも、それ以上ににたくさんの大切な想い出がある。
昔、夢で祖父を見ると嬉しくて安心した。
でも、今はもうずっと眠ったままだ。
言葉を交わすことはないけれど、いつも見守ってくれてると信じてる。

「家族」って未だによくわからないけど無くなったらきっと私は泣くんだろうなぁ。
あの時みたいに大泣きしても
それを笑ってくれる人がいなくなるってことだ。

もう後悔はしたくないから今の自分の精一杯で大切にしていく。大切にする方法は人それぞれだけどちゃんと伝わるようには努力しよう。

本当に好きな人って
どんな欠点があってもゆるせるものなんだ

家族の中で一番祖父に似てる私を、同じように優しい目線でいつもゆるしてくれる家族に感謝してる

~私の伊勢物語2020⑰~


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