体の硬い自画像 全作品解説

性格や考え方など、自分を自分たらしめる要素をそれぞれ作品にし、架空の旅行家が世界中で集…

体の硬い自画像 全作品解説

性格や考え方など、自分を自分たらしめる要素をそれぞれ作品にし、架空の旅行家が世界中で集めた珍品のコレクションという体で一つの棚に収める事によって コレクターの蒐集棚を漁るような感覚で一人の人間のことを知ることが出来るという作品。 全24作品の解説

最近の記事

01.ご自由にお取りください

ご自由にお取りくださいと書いてあるため取ってみると、 取れない上に「残念でした」がヌッと出てくるという物。 いきなり腹立たしい作品で申し訳ないが、 おそらくこういうフックがないと、 フリーペーパーだけ持って帰って、作品はあまり見ない という人が多いのではないかと思った。 「これなんか変だぞ?」と気になってもらうきっかけに なれば良いし、これでムカついて 見てくれない人が続出しても面白いなと思う。 いつも作品を作る上で、 「子供が悪戯をするように制作する」事を大事にしている

    • 02.ダイアリーオフ

      これは僕の趣味から来ている。 中古屋に行って、知らないCDや本の表紙(ジャケット)と タイトルだけを見て、どういう内容かを勝手に想像する。 という物だ。 これは、関係の浅い人に対して、その口調や表情から、 どういう人なのかを探る時に似ている。 相手はモノであり、今後のやりとりはなく、 一方的に妄想できるので、リスクが無い。 これによって、自分一人では思いつかなかった 発想のヒントが生まれたりする。 そんな趣味を作品にしたのがこれだ。 僕の人生のハイライトが25枚のCDにな

      • 03.石のスープ

        ライターや修正テープ、シャボン玉液の入れ物やフリスクのケースなど 要らなくなったモノに、歯間ブラシなどの安価なパーツを組み合わせて 機械っぽい生き物風オブジェに生まれ変わらせるというもの。 学生作品の展示・販売など様々な活動を通して、空き空間を活用し、 地域を元気にするプロジェクト「MAKINDO」にて 一年時に要らなくなった物の回収から計画していたが、 持って帰ってもらう際の強度の不安から、販売は諦めた。 石のスープとは、僕の好きな民話で、 ポルトガルをはじめとするヨー

        • 04.砂時計

          キャプションに書いた通り、焦っていると逆に (時間がゆっくり進んでいる)という錯覚に陥る事がある。 締め切り前になるとなぜか急に落ち着くという話はよく聞くが、 それと似ているかもしれない。準備をしたりトイレに行っている時は 焦っていたのに、急いで向かっている時は、なんならそれまでの負債が 精算されているような気さえする。 しかしいつも、最終的に遅れて注意されてしまう。

          05. 積読の為の本

          なぜやらなければならない事を先延ばしにしてしまうのだろうか 不思議で仕方がない。 積読用のくだらない本を作るだけではつまらないので、 以前からあった「分厚い本を真っ二つにしてみたい」という欲求と 掛け合わせて作品にした。 積んである本は厚ければ厚い方が威圧感があるし、 真ん中が開くというのは積読においては本の正しい向きだ。 積読は先延ばしを象徴するものとしてモチーフに選んだが 厳密にはかなり違う。僕は積読を良い事だと思っている。 その理由はこの本に嫌と言うほど書いたのでこ

          06.カプグラスの面

          カプグラ症候群をご存知だろうか キャプションに書いた通り、家族やパートナーなどの親密な人間が ある日を境に突然姿形はそのままに、中身だけが全く別の人に なり変わってしまったと感じる現象だ。 ソジーの錯覚とも言うらしい。 僕も幼い頃、なぜそう思ったのかはわからないが、 両親がある瞬間に、まるでそっくりな仮面をかぶったように 突然別人に入れ替わった事があった。 僕は初め、気付かないフリを装って何者かを探ろうとしたが、 それまで誰よりも信頼していた両親を失ってしまった事に対する

          07.生活の幽霊

          一番用意するのが楽だった物。 接着剤の蓋についている塊は、何かを接着できた 役に立ったはずの物が集まって出来ているという美しさがある。 たまにはルーペでじっくり見て欲しい。

          08.疲拓

          もしも疲れを視覚化できれば、他人の苦労がわかりやすくなり、 世の中のいざこざがいくらかは減るのではないだろうか。 これはそんなテーマに対して、 (まぁ無理なんだけどね)と冗談半分に考えた物だ。 僕はしょっちゅうパーカーを着ているのだが、 帰ってきたらそれを脱いで放り投げる。 そのシワなどの形を点描で記録し、 疲れている日ほどそれが乱れていて趣深いという作品だ。 教員や同級生からは、「本当に投げ方に意図が無いのか」 「本当にその日の物か」などを、確かめようが無いと指摘された

          09.Deer Dance

          これは昔、折り紙で作っていた自作のパズルを ちゃんとイラレで作り直した物だが、飾りとしての側面が大きい。 意外と難しい。 ディアダンスという名前についてよく聞かれるが、これについては まず解き方を見て欲しい。一つ一つ折っていくのでは上手くいかず、 四つの角を同じ動きで、まるで輪になって踊っているように 同時に畳んでいかなければならない。 というのはさておき、DeerDanceは好きな曲の名前から取っている。 キャプションに書いた通り、江戸時代には畳代わり絵という物が 流行

          10.居眠り運転専用車

          これは伝わるか微妙な物の一つなのだが、 ヘトヘトになりながらその日の作業を全部やってようやく眠れるという時、 布団に入った瞬間、いつも嬉しさで体が跳ねる。 伸びていたバネが突然緩んだような、 蝶が孵化してすぐにいらない水分を出す時のような、 あの時のよくわからないエナジーはなんなんだろう。 もしも僕の体にランプがついていたとしたら、 梅干しを食べた時やタンスに小指をぶつけた時と並んで 寝る前が一番光っているんじゃないかと思う。 ここまで書いているが、誰も共感してくれなかっ

          11.テンセグリティ

          テンセグリティは、糸の釣り合いで重そうな物体が浮いているように見える 不思議なオブジェクトで、見た目の面白さと、 それ以上に言葉の響きが好きで作った。 名前の響きの良さは意外と大事だ。 参加したプロジェクトがすごくダサい(あるいはよく見るような) 名前になると、やる気を出すのが大変になってしまう。 神話や童話でも、名前を与える事で相手を手懐けたり、名前を当てる事で条件を飲んだり、名付けるというのは重要な行為とされている事が多い。 一方でシェイクスピアが、薔薇の名前を変えて

          12.俺は俺がやるべき事をして キリンはキリンらしく高い葉っぱを食べる

          床の間には掛け軸があった方が良いとされているため書いた。 周りの人がしている事に比べて自分のやっている事が、なんの意味も無く 感じる(実際に意味が無い場合もある)時がある。 しかし自分は自分で良いのだと考え直すためのおまじないのようなものだ。

          12.俺は俺がやるべき事をして キリンはキリンらしく高い葉っぱを食べる

          13.迷宮の壺

          壺の側面が迷路になっており、それを解こうと壺をじっくり見ていると、 まるで骨董品に詳しい人みたいになる という作品。 かなり思い入れがある物で、好評時に最もウケが良かった。 僕は知らない街で迷子になるのが好きだ。後に用事が控えていたら尚良い。 緊張感の中で、なんという事もない景色の一部がヒントに変わる。 ガスタンクや、煙突、看板、お地蔵様などが光り出す時がとても楽しい。 迷子は競技性のある散歩だと思う。 迷路の途中には、迷子の時によく助けてくれる 標識やカントリーエレベ

          14.壊れた糸電話

          こちらが話している時、相手も話していて こちらが聞いている時、相手も聞いている 偶然それが繰り返されれば、糸電話が壊れているのかと思ってしまう でもそうじゃないかもしれない。 「ムカついた時は、相手の子供時代を想像するとなんだか笑えてくる」 と、有名な人も言っていたが、物事の裏を都合良く想像する事は 心の健康を保つためにとても有用な場面が多い。 父からは「相手の気持ちを考える事が何より大事だ」と教わった。 僕はまだまだ未熟だが、その訓練を続ける中で 副産物的に、相手の事情

          15.次世代おにぎり

          三角のおにぎりは、昔の人が運ぶのに便利であった事や山に似せたという説があるようだが、それによって真ん中にしか具が入れられず、角を食べると味が無い。 もう見慣れているから違和感が無いが、 もしも海外などで初めてコンビニおにぎりを見たとしたら 中心の帯を引いて開けると穀物が三角形にされているという光景。 かなり先進的な食べ物だと感じるのでは無いだろうか。 尖っている物が新しいなら、トゲが多いほど未来やろという 安直な発想のスケッチだ。

          16.アナロジーボット

          ほとんど言いたい事はキャプションに書いてある。 サイコロと言えば、鴨居玲さんの絵を思い出す。 現実的には一つのカメラで記録すれば良い話だが、 鴨居さんの絵のパロディとして、登場人物のギャンブルにふける人々を 1から6それぞれの目を数える担当のアンドロイドとして描くことで より馬鹿馬鹿しいものになったのではないだろうか。 色々言ったが、何も考えずにポンポン作りすぎるのも良くない。 明和電機の土佐さんも言っていたが、アイデアはやったもんがちであり、 同じアイデアを思いついて何