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ベートーヴェンを毎日聴く366-2(2020年12月31日)

『ベートーヴェン/カノン「新年おめでとう」WoO165』を聴いた。

「新年おめでとう」と書くには、今はまだ早いのだが、昨年の大晦日に聞いた作品なので。

ベートーヴェンのカノンは、冗談やユーモアあふれるものが特徴だが、知人などに対する挨拶やお祝いとして書かれるものも多かった。

この作品はヨハン・フォン・パスクァラティへの新年の挨拶として作られたもの。パスクァラティが所有していた家に住んでいたベートーヴェンは、多くの名作を生みだしたが、その家は現在ベートーヴェン記念館として残っている。

このカノンが作られる前年、パスクァラティは妻を亡くした。その時にベートーヴェンは「悲歌」op118を作曲して捧げている。

最愛の妻を亡くして初めての年明け。パスクァラティもきっとまだ、悲しみを抱えていたことだろう。

日本では年賀状を出すことも控えられるのだが、ベートーヴェンが新年の挨拶として贈ったカノン。その悲しみを忘れさせるような、新たな年を迎えるにふさわしいような、爽やかで晴れ晴れしたような響きを醸し出す。


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