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ベートーヴェンを毎日聴く362

『ベートーヴェン/練習曲 変ロ長調 Hess58』
『ベートーヴェン/練習曲 ハ長調 Hess59』を聴いた。

ベートーヴェンが作曲する際に曲を書き留めていたスケッチには、単一の曲だけでなく、複数の曲が書き留められているものが多い。ある作品を作曲している際に、他のアイデアがふと思い浮かんで書き留めたものもあるかもしれないが、恐らく別の機会に書いたものではないかと思う。

それは、楽譜として使用していた紙が貴重で高価なものであったことが関係するだろう。もし、以前使ったものに余白があれば、その後、取り掛かった作品をそこに書いていく。

それは完成されたものばかりでなく、メモのような走り書き程度のものや、どのような目的で書き付けたのかがわからないものも多くあるようで、ベートーヴェンの研究者がそれをいろいろ調べていくのである。

この2つの作品も、他の曲が書かれたスケッチの中に存在していたという。きっと出版目的ではなく、誰かの練習用として作曲したのだろう。

後年出版された楽譜には、変ロ長調Hess58のほうは "Zur Uebung der Faust"(手首の運動のために)、そしてハ長調Hess59のほうには "Die Hand so sehr möglich zusammen gehalten"(手をできるだけ近づけて)、"Auf das strengste Ligato"(最も厳格なレガートで)と補足事項が書かれているらしい。

確かにそのような目的のためのピアノ練習用の曲ではないかと思う。わたしはピアノが弾けないので効果のほどは良くわからないのだが。


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