ベートーヴェンを毎日聴く358(2020年12月23日)
『ベートーヴェン/カノン「美しいものを善き人へ」WoO203』を聴いた。
このカノンは、ハインリヒ・フリードリヒ・ルートヴィヒ・レルシュタープへの手紙に書かれていたもの。
レルシュタープは音楽評論家であり、当時、彼の評論はかなりの影響力を持っていたようだ。
ベートーヴェンはピアノ・ソナタ第14番を「幻想曲風ソナタ」と名付けたが、今では「月光ソナタ」と呼ばれている理由、それはレルシュタープがその作品の第1楽章を聴いて「スイスのルツェルン湖に写る月光の波に揺れる小舟のようだ」と評したことによる。
レルシュタープはベートーヴェンに作曲してもらうオペラの台本の提案をしている。彼は音楽評論家だけでなく、作家でもあった。ベートーヴェンのことは高く評価していたのだろう。そして自らの作品に作曲してほしかったのだろう。
「美しきものを善き人へ」と歌うこのカノンを添えて、ベートーヴェンはいろいろと意見を聞きたいと手紙で伝えた。
なかなか憎い演出ではないか。レルシュタープもきっと大喜びしたことだろう。
しかし、ベートーヴェンはこの話を断ってしまった。
理由は何かはわからない。喧嘩したということではなく、きっと体調が悪かったからではないだろうか。
もし、レルシュタープの台本によるオペラができていれば、どのような作品になったのだろうか。
Patou RicardによるPixabayからの画像
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