見出し画像

ベートーヴェンを毎日聴く249(2020年9月5日)

『ベートーヴェン/シェーナとアリア「初恋」WoO92』を聴いた。

10分を超えるドラマティックな作品。オペラを学ぶためにサリエリに師事していた頃の作品なので、その成果は充分に活かせたと言えるかもしれないが、残念ながらベートーヴェンはたったひとつのオペラ「フィデリオ」を世に出しただけだった。

最初この作品を聴いたとき、「初恋」というタイトルのイメージとは何か違うような印象を持った。「初恋」にしては、あまりにも劇的、それは何か嫌悪にも思えるような様相が漂ったからだ。

初恋。天の悦び。あなたは私の心を貫いた。私は最愛の人を見つけました!

と4つの部分に分かれること作品の最初は穏やかに開始される。が、第2部では

私の愛をまだ知らない私の意中の人が、他の恋人の腕の中に逃げ込んだとしたら。

という心配が突如起こる。そして第3部には「死」(morte)という言葉が飛び交う、なにかただならぬ雰囲気に。

その二人の矢が恋人同士として心に刺さったとしたら。。。  死、死、のみが私の慰めとなるのです!

最後の第4部は少し落ち着きを取り戻し、最初の詩に立ち返る。

このような愛、天の喜びが私の心を貫きました。愛する人を見つけました!

実際の世界とは違い、オペラなど劇における演出効果も含めると、「初恋」とはいえこのくらいの揺さぶりは必要だともいえる。詩の原作も判らないので、どのような背景があるのかもわからないが、ひとつの音楽の中で心情の変化を大きく付けていくという練習として考えれば、もしかしたらいい題材なのかもしれない。

恋多かったベートーヴェン。その熱い、恋に対する感情を反映させたのかもしれない。

S. Hermann & F. RichterによるPixabayからの画像

この記事が参加している募集

習慣にしていること

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?