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ベートーヴェンを毎日聴く317(2020年11月12日)

『ベートーヴェン/「時は長く」(第2稿)WoO116』を聴いた。

ベートーヴェンは同じ歌詞(ルソー作)でもうひとつの作品(第1稿)を作っている。

ベートーヴェン作品には他にも同じように同一の詩に複数の曲を付けたものは多くある。この第2稿では第1稿の短調と違い、伸びやかな長調になっている。

一日がとても長い。あなたから離れると自然でさえ私には意味がない。会えなければ悲しみのなかであなたの痕跡を探し、あなたを失えば魂を取り乱し死んでしまうだろう。

作品を作った背景は第1稿と同じように、ボンに残してきたエレオノーレに対する思いなのだろう。ウィーンからエレオノーレに贈った手紙には「最愛の友人」を書かれている。

しかし、短調と長調はかなり印象が異なる。短調の方は心の中の悲しみを直接訴えかけている。

この長調の第2稿はちょっとあっけらかんとして明るくも聞こえるのだが、ゆったりとしたテンポの隙間から滲み出てくるような寂しい思いが胸を打つのである。


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