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原ッパニテ

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第一詩集『いがいが』(midnight press刊)から15年が経ちました。久方ぶりの第二詩集です。なくなっていくものたちへ。
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2020年7月の記事一覧

晴れ、天満宮のクロッキー

よく冷えた神社。エールを握り汗ばむので うれしかった、天気予報信者は 傘を杖にしてしゃがみ…

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計測

発育測定の日 空からあたまに落ちてくる つめたい 鉄のカーソルにおびえていた、きみの せなか…

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無数の分岐は どの方角に芽吹こうと しないか 尖石を踏み分けながら 細足の 牡鹿がザッと駈け…

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水のものなる

本日は晴天なり を目ざましに吹きこむ、きみのえたかった フラット 紐をひいたら時刻が終わり …

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他人の波止場で

ねごと。 え? ねごと、言ってたよ 「海に行かなきゃ」って そっか で、帰らない方向の 始発が…

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ロコモーション

環七わたれぬ赤信号 いきりよぎる水平鉄車唸りのへりに アシタチ、傾ぎ、ぼー立ちの 一名のクチうすびらき 「タチアオイ、揺らしてる風」ト 洩らしているが タチアオイもアシタチも みずからの名を知らないだろう みずからの名を知らないスペキエスの 地上に伸ばすほそい翳りが 滲みながら 唖の青空を手招いている 数歩、つまさきのへりから 滑落してしまえば それっ切り 赤の なみだとなった(わたくし)が 熱せられた地肌にそっと 目玉を零す、日も あるだろう 生焼けの、可能事の、半とうめ

消息

ユニファーにはけはいがない 哄笑渦巻く 教室の中心に起立して うわばきの名を滲ませながら 滔…

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神楽坂のラーメン屋

神楽坂のラーメン屋で、大盛り七八〇円だった 詩が書けない、からだ、だからだ 壁をたくさん、…

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粘性の 夢の きもちいい メディウムに 古層のページが ゆちゃくしちゃって。げんざいじから め…

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叙情かもしれない

じぶんを数え忘れて予約したから ひとりふえますと言うのも考えてみれば なんか変だし、めんど…

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卒業、きみの泣かないわけは

気づいたら小さくて暗いところにいたんだ それでさ、おそるおそる目を開けたら 膝からごっそり…

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