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「Sales is:著.今井晶也」を読んでミタ


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▪️本書の要点

  1. 新規営業においては、営業力を上げるより、ターゲットリストをメンテナンスするほうが効率的だ。リストの精度、鮮度、具体性、絶対数を磨き上げよう。

  2. 営業の成果をコントロールするプロセスは、「アカウントプラン」「アプローチ」「ファクトファインディング」「オーダーコントロール」「企画作成」「プレゼンテーション」「クロージング」の7つに分けられる。

  3. 差がつくのは、お客様と一緒に課題を見つける「ファクトファインディング」のプロセスだ。「事業理解」「問題特定」「課題設定」の3ステップのなかで「ビジネスモデルの理解」「現状」「理想」「問題」「原因」「示唆」「課題」という7つのファクトの発見をめざす。

▪️要約

新規顧客を見つける

「ターゲットリスト」をメンテナンスする

kazuma seki/gettyimages

新規営業で成果を上げるには、営業力を磨くよりもターゲットリストのメンテナンスが先決である。
営業力を身につければ「買わない」お客様を「買いたい」と言わせることができるかもしれないが、それでも買ってくれないお客様のほうが多いからだ。それなら、ニーズがあるか、買う可能性があるお客様を探すほうがずっと効率がいい。

ターゲットリストづくりにおいては、4つの要素に目を向けよう。
1:精度
┗「買ってもらえる可能性が高いリストになっているか」だ。企業属性よりも「購買動機=顧客のニーズ」を起点にしたリストにする。あなたが人材紹介サービスの営業なら、就活・転職クチコミサイトを見て、会社評価スコアで「待遇面」や「社風」の項目が高スコアの企業を選べばよい。そうすれば、採用を強化していて、従業員満足度の向上に力を入れている企業が見つかる。
2:鮮度
┗「購買可能性が高いタイミングで営業できるリストになっているか」だ。「同じようなサービスの契約を更新したばかりだから」と断られたなら、「次の更新はいつですか?」「いつごろから検討を始めますか?」と聞いておけば、購買可能性の高いタイミングを把握できる。
3:具体性
┗担当者名と会社の代表番号だけでなく、部署や決裁権者、キーパーソンなどを知り、ターゲット像を明確にする。アウトバウンドの新規営業の場合は、何度も接触することになる可能性が高いため、早い段階でリストに情報を書き込もう。電話をかけるたびに相手先企業のウェブサイトをチェックするのは、時間のムダである。
4:リストの「絶対数」
┗目標から逆算して、十分な数のリストを用意しておく。

「受付ブロック」を攻略する
営業電話をかけた際に「〇〇は不在にしています」と言われたら、半分くらいはウソや拒否だ。受付ブロックを回避するには、受付の方に「この電話は重要だ」と理解してもらう必要がある。

具体的には、「以前話したことがある」などと接点の情報を“チラ見せ”する手法や、自社クライアントである大企業の名前を出したり、役職者であることを名乗ったりして権威性を持たせる手法、「〇日まで無料でテスト利用」「限定モニターにご招待」とプレミアム感(特別感)を演出する手法が効果的だ。
受付の人に「勝手に断らないほうがよさそうだ」と感じてもらえるかどうかが分かれ目になる。

アポを引き寄せる3つの電話トーク術
キーパーソンに取り次いでもらえたら、次の3点を意識してトークしよう。

1つ目は、1分間に450文字のペースで話すこと。
┗聞き取りやすいペースは1分間に300文字だと言われるが、電話を切ろうとしている相手には、もっとスピーディーに話したほうがよい。
2つ目は、余計な前置きを省いて「相手にとってのメリット」と「なぜ、今伝えたいか」を結論から端的に伝え、ガチャ切りさせないこと
┗相手が電話を切ろうとする前に「本当に切っていいのかな?」という「0.5秒の余白」を作ることがポイントとなる。

最後は、「0.5秒の余白」の後にすぐ、耳より情報を伝えることだ。┗「私に会って提案させろ」では、相手にとってのメリットがない。事前に調べた改善ポイントなどをすかさず伝えて、「ここまで調べてくれたのか」と思わせよう。

営業プロセスを7つに分解する

「アカウントプラン」から「クロージング」まで

recep-bg/gettyimages

買わない理由をつぶし、商品を買った未来の可能性を見える化してお客様から合意や共感を得ていく。
営業の成果をコントロールするこの一連のプロセスは「アカウントプラン」「アプローチ」「ファクトファインディング」「オーダーコントロール」「企画作成」「プレゼンテーション」「クロージング」から成る。

最初の「アカウントプラン」は、攻略計画の策定のことだ。
「どうしたら受注できるか」という仮説を立て、全体の流れを組み立てる。

次の「アプローチ」は、お客様との関係構築のプロセスだ。
「あなたを信じて頼ってみたい」と言われるポジションをめざして、挨拶や目的の提示、短いプレゼンテーションなどを行う。

その後の「ファクトファインディング」では、お客様に商品導入や課題解決の必要性を認識してもらう。
表面的な質問だけでなく、課題の重要性や緊急性に自ら気づいてもらい、理想と現実のギャップを明らかにしていく。
では、どんな提案をすれば決断してもらえるのか。

これを明確にするのが、「オーダーコントロール」である。ここでは、課題や提案の方向性がマッチしているという言質を得ることが大切だ。

そこでいよいよ「企画作成」をし、「プレゼンテーション」の本番を迎える。その後の「クロージング」では、納得して決断してもらうためのサポートを行う。

懸念はその都度、払拭する
最終的には、意思決定をする場面でお客様に「買わない理由」がない状態をめざす。そのために、各プロセスで「違和感・不要感・不安感」を払拭して、常に共感や合意を得られているかを確かめていく。

合意と共感を得るには、営業担当者であるあなた自身が「商談で言われたくないこと」を想像するといいだろう。
「他社より高い」と言われたくないなら、営業プロセスにおいて「価格を高くしたことによって実現できる提供価値」を伝える。

「高いほうがむしろ安心だ」「ウチには高くても〇〇の機能があったほうがいい」という合意形成や共感が得られれば、その後のプロセスはうまく進むはずだ。

反論対策や懸念払拭をクロージングでやっていては、「時すでに遅し」だ。常に顧客の評価を確かめ、先手を打って進めていこう。

▪️必読ポイント:リードセールス:見込み案件を獲得する

アカウントプラン――攻略計画を策定する

新規営業の受注を決める要因の7割は、プロセスの前半、「アカウントプラン」「アプローチ」「ファクトファインディング」「オーダーコントロール」をあわせた「リードセールス(見込み案件の獲得)」にある。
なぜなら、ここで正しい課題を設定し、お客様がその課題を「解決したい」と認めれば、その後はニーズを満たす提案ができるからだ。

アカウントプラン(攻略計画の策定)は、そのための商談準備にあたる。アカウントプランの設計は、4段階に分けて進める。
(1)商談の流れにあたりをつける:どのような方向性で商談をしていくか、過去の事例を踏まえて想像する
(2)情報収集をする:Webの情報やイベント参加、ヒアリングなどを通じて、企業情報や企業の周辺情報、商談相手の情報を収集する
(3)仮説を構築する:ターゲット企業の困りごとや理想像を予測したうえで、想定ニーズを考える
(4)商談内容を決定する:用意した仮説をもとに、商談の内容や流れを決定する

ターゲット企業の情報収集においては、「お客様が驚くこと」を目安にしよう。「こんなに調べてくれたのですね!」という感動や「まさにその通りです!」と興奮する瞬間を生み出すことがカギとなる。

アプローチ――信頼を獲得する

show999/gettyimages

お客様と接触後のファーストステップは、「アプローチ」だ。
ここでめざすのは、自社や商品、営業パーソンを信頼してもらうことである。第一印象の準備、壁を取り除く、興味を持ってもらう、信用してもらう、の4ステップで進めていく。

壁を取り除くためには、アイスブレイクをうまく活用するのがいいだろう。ポイントは、天気や景気といった一般のニュースを使うのではなく、お客様が主役のニュースを取り入れることだ。

「アカウントプラン」で多くの顧客情報に触れ、そのなかでわかったお客様の事業プランや想いについて、あなたがとりわけ興味をもったり共感したりした部分を話すとよい。心からのメッセージを投げかけることが、信頼獲得に繋がる。

ファクトファインディング――課題を設定する

売れるか売れないかは、ファクトファインディング、つまり課題設定のプロセスで最も差がつく。
売れないビジネスパーソンは「今日のお客様は課題がありませんでした」というが、課題がないお客様などいるはずがない。
「用意した仮説と質問では、解決すべき課題として設定できませんでした」が正しいのだ。

ファクトファインディングは、ただのヒアリングではない。課題を聞き出すのではなく、「課題を一緒に見つける」という共同作業だととらえよう。
「事業理解」「問題特定」「課題設定」の3ステップのなかで「ビジネスモデルの理解」「現状」「理想」「問題」「原因」「示唆」「課題」という7つのファクトの発見をめざす。
7つのファクトを発見すれば、お客様ですらまだ気づいていない「潜在的なニーズ」や「めざすべき本当の姿」が見つかるだろう。

1つ目、事業理解のステップでは、お客様のビジネスの儲け方や提供価値を知る。具体的には、「どのようなコンセプトで」「どのようなターゲットに」「どんな商品を提供しているのか」といった情報を押さえる。

2つ目、問題特定のステップでは、「現状-理想=問題(ギャップ)」という公式を埋めて、問題を発見する。お客様が回答しやすいように、まずは現状から質問しよう。

3つ目、課題設定のステップでは、「なぜ、この問題が発生しているのか」「どうすれば解決できるのか」を確認する。原因を特定したり、示唆を促したりするような問いかけをすればよい。

オーダーコントロール――要件定義とネクスト設計

FangXiaNuo/gettyimages

オーダーコントロールとは、「お客様の発注内容の調整」だ。
ファクトファインディングのプロセスでお客様に「解決したい」と認めてもらった課題に対して、次の3つの項目を確認していく。

(1)どのような提案なら受け入れられるのか(要件定義)
┗提案書の大まかな内容をすり合わせ、お客様の求める提案と営業パーソンが提案する内容がズレないようにする。把握すべき要素は、目的・解決課題、方針、スケジュール、体制・プラン、予算、提案骨子の6つだ。

(2)提案をどのような評価基準で、誰が評価するのか(攻略情報の確認)
┗具体的な提案内容の作成に向けて「攻略に必要な情報」を確認する。主にリサーチすべきは「お客様の評価/判断の基準」と「決裁者・決裁ルート・登場人物・利害関係者」の2つだ。
この情報を知っておくと、そのあとの商談をコントロールしたり、提案内容をうまくアレンジしたりしやすくなる。

(3)具体的に提案を進める次のステップをどう設定するか(ネクストアクションの設定)
┗ここでは、次回の商談日程や内容の調整、営業側・お客様側それぞれの宿題や持ち帰り事項を確認する。オンライン商談がスタンダードになった今、お客様はあなたとの打ち合わせのすぐ後に、他の会社との打ち合わせが入っているかもしれない。
優先順位が下がってしまわないよう、当日中にはネクストステップを設定し、お互いが「優先度の高いイベント」として認識できるようにしよう。議事録や社内展開用資料を作り、商談相手をサポートしてスピーディーな行動を促すのもいいだろう。

この段階までくれば、商談相手はあなたのパートナーとなっているはずだ。

▪️すゝめ

要約では紹介しきれなかったが、いい提案書の型や起・“転”・承・結で組み立てるストーリー構成、勝ち筋を見つける「商談準備の奥義」、決裁者の「鶴の一声」を防ぐ方法など、思わず「なるほど!」とうなる、門外不出のノウハウが満載だ。
加えて最後の章では、「顧客エンゲージメント」というキーワードをもとに「購買者を成功させること=カスタマーサクセス」についても熱く語られている。

セールストークの事例や解説が図表入りで丁寧に解説されており、イメージしやすいのもうれしい。「Sales is cool」という時代にしたい――著者のそんな思いに共感する、素敵な一冊である。

要約サイト:flier参照


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