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2)田舎娘は素朴に育つ(3-18歳)

私は都市部から2つほど山を越えた田舎で育った。
村ではないが、立派な田舎だと思う。生まれ育って30数年経つが、いまだほとんど発展していない。

どのくらい田舎かというと、
・熊がでるので集団下校
・近所のおばあちゃんが猿に襲われる
・タヌキ・キツネ・キジ・イタチは子供より多い
・道路を横断しようとした亀が轢かれて潰れている

ぐらいのレベルなので、クソ田舎と言ってよいと思う。
田舎に「クソ」をつけるのは失礼だが、中学生くらいから徐々に故郷を「クソ田舎」だと感じるようになって外に出たくでウズウズしていたのを今でも覚えている。(今はむしろ田舎に住みたい)


私は男兄弟に囲まれてたくましく育った。
当時家にあったおもちゃはほとんど男の子のもので、ミニ四駆、コロコロコミック、大量のガンダムのガシャポンにスーパーファミコンなんかがあった。

セーラームーンよりドラゴンボールが好きだったので、8等身の目のキラキラした男子よりもマッチョで強い男の方が魅力的に感じていたと思う。カメハメハの練習も一度本気でしたことがある。念じれば両手の間からちょっとでも何かがひねり出せるんじゃないかと思ったりした。

「可愛いおもちゃひとつくらい持っといてもええんちゃう」といつだったか叔母さんがリカちゃん人形をくれたことがある。
でも私は全く興味がなかったらしい。

スクリーンショット 2021-04-16 午後2.14.08

「床屋さんだよ〜」と言ってリカちゃんの長くキシキシの金髪を早々に切り落とした。
無残な姿となったリカちゃんはそのままは日の目を見ることもなく、押入れの奥にそっと隠された。

私の両親はどちらも教育関係の仕事に就いていたこともあり、比較的厳しい家庭だったかとは思うがよく一緒に遊んでくれた。習い事はなんでも挑戦させてくれたし十分愛情を注いでくれたと思っている。

とはいえ小学校のころの母は怒るとけっこう怖くて、兄弟そろって時々家から締め出されることもよくあった。
私は「家のなかで反省するから!」と大黒柱にしがみつき抵抗したが、母は意地になって私を家から引きずり出した。

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今となってはなかなか考えられないことかもしれないが、当時はのび太やジャイアンのママみたいな感じで家から追い出された子供を見るのはごく普通だったように思う。

中学生になると力のついた私を柱から引き剥がすのも難しくなり、代わりにキッチンからおたまが飛んでくるようになった。

大学に入り実家を離れてからはいつも私の健康と幸せを願い、手紙や物資をしょっちゅう送ってくれている。

父も感情を表に出さないものの、真面目で一生懸命な人だ。
真面目で一生懸命で、そして定期的によく分からない怪我をする。
(「お父さんはバク転ができるぞ」と室内で走り出し壁に激突するなど)

現在は退職し、趣味の石拾いに勤しんでいる。そろそろよくわからないケガをする時期かと思う。

とにかくそんな両親のもとで育った私は自由奔放に、それなりに真面目に育った。


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